子どもの耳にあかがたまっていたときに、保護者が綿棒や耳かきを使って耳掃除をすることがあると思います。その際、子どもが急に動いてしまい、耳の中を傷つけてしまいそうになったことはありませんか。保護者が子どもの耳を掃除する際は、どのような点に注意すべきなのでしょうか。耳鼻科医の瀬尾達さんに教えていただきました。
子どもの耳掃除の目安は月1~2回
Q.そもそも、子どもの耳掃除は必要なのでしょうか。また、保護者が綿棒や耳かきで子どもの耳を掃除しても問題はないのでしょうか。
瀬尾さん「まず耳掃除自体は、特に小さなお子さんには必要なことといえるでしょう。なぜかというと、子どもの方が大人よりも代謝が活発なため、より耳あかがたまりやすい状態にあるからなんですね。
しかし、だからといって保護者が毎日のように子どもの耳掃除をするのはお勧めできません。あかがたまる耳の通り道は、大人よりも子どもの方が短く、そしてより曲がりくねった構造になっています。そのため、むやみに耳掃除をすると傷つけてしまう可能性が高くなります。
耳の中に傷ができると、細菌に感染したり、痛みやかゆみが出たり、余計に耳あかが増えたりなどのトラブルが起こりやすくなってしまいます。
『耳掃除だけで受診してもいいの?』と思われるかもしれませんが、耳かきが不安な人はぜひ耳鼻科を受診していただければと思います」
Q.では、家の中で子どもの耳のケアをしたいときは、どうすれば良いでしょうか。
瀬尾さん「子どもの耳を清潔に保つためには、むやみに耳の中を掃除するのではなく、耳の入り口付近をガーゼなどで優しく拭き取るだけでも実は十分です。
耳には『自浄作用』というものがあり、耳の奥で生まれた耳あかが自然と入り口側に押し出されていき、排出されやすくなります。ところが、頻繁に耳掃除をすると自浄作用が行われなくなり、反対に耳あかがたまりやすくなるリスクがあるのです。
そのため、耳掃除は月に1~2回程度を目安としていただき、入浴後など耳あかが柔らかくなっているタイミングで耳の周囲を優しくなでるように拭き取っていただくだけでも、十分に耳を清潔に保てるようになりますよ」
Q.改めて子どもの耳を掃除するときの注意点について、教えてください。
瀬尾さん「特に避けていただきたいのは、竹や金属などの硬い耳かきを使うことですね。それだけでも耳を傷つけるリスクは高くなりますし、もしも耳の奥をむやみに触ってしまうと鼓膜を傷つける恐れがあります。
保護者が丁寧に掃除をしようと思っても、お子さんが動いたり、嫌がったりすることで傷つけてしまうこともありますから、『ちょっと怖いな…』と思ったら、ぜひ耳鼻科の受診をご検討ください。もちろん保険適用の範囲内です。
耳掃除で耳鼻科を受診する場合は、おおよそ3カ月に1回程度を目安にしていただくと良いと思います」
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家庭では耳の入り口付近をガーゼや綿棒などで軽くぬぐうだけでも問題ないということですが、耳鼻科では専門の器具やピンセットなどを使い、きれいに耳掃除ができる技術や設備があるといいます。家庭での耳掃除が不安な場合は、ぜひ耳鼻科の受診を検討してみてくださいね。
オトナンサー編集部