パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLED(東京都千代田区)は、世界で初めて「印刷方式」で生産した有機ELパネルの出荷を、2017年12月5日に開始した。
有機ELでは、サムスン電子など韓国勢が先行しており、JOLEDは印刷方式の特徴である低コストを武器に巻き返しを図る。
発光材料のロスを抑えられる
出荷したのは、4K画像に対応した21.6型の有機ELパネルで、ソニーの医療モニター向けに供給を始めた。
有機ELパネルは液晶パネルと比べて、薄型、軽量、低消費電力などの特徴を有し、次世代ディスプレイとして注目を集める。生産方式は、大きく分けて「印刷方式」と「蒸着方式」の2つがある。
JOLEDの広報担当者は、2017年12月6日のJ-CASTニュースの取材に、「印刷方式は蒸着方式と比べて発光材料のロスを抑えられる」と話した。蒸着方式のように、真空容器の環境をケアする必要もないため、その分のコストも削減できるという。
現在、株主のジャパンディスプレイがもつ石川県内の工場で少量生産している。量産体制の新設備を構築するため、工場を建設する資金を外部調達しており、2017年期末までのクロージングを目指している。
JOLEDは、ソニーとパナソニックの有機EL事業を統合し、2015年1月に設立。パナソニックは従来、印刷方式を研究・開発しており、JOLEDでも、その資産を引き継いでいた。
有機ELの出荷開始にあたって、JOLEDの東入來信博社長は「創業3年目で、ついに当社のRGB印刷方式による有機ELパネルを製品出荷できることを、たいへんうれしく思います。今後は製品展開を加速し、お客様のニーズにあった有機ELパネルの提供を進めるとともに、当社の技術と製品によって世界の有機EL市場に革新を起こしてまいります」と、コメントしている。