駐車マス不足が指摘されている高速道路のSA・PAで近年、数が増えているのが、小型車と大型車の「兼用マス」です。両車種の需要に応じた柔軟な運用ができるものの、利用マナーを意識する必要もあります。
高速道路SA・PAの駐車マス不足に対応する小型/大型兼用マス
主要な高速道路のSA・PAでは近年、大型車を中心に駐車マス不足が顕在化し、深夜などはランプウェーの路肩まで大型車があふれている状況が見られます。このため高速道路各社は数千台規模の駐車マス増設など、駐車場の改築に取り組んでいますが、そうしたなかで増えているのが、小型車と大型車の「兼用マス」です。
これは、長い大型車の駐車マスを前後ふたつに区切り、小型車2台分にも、大型車1台分にも利用できるものです。NEXCO中日本によると、小型車はおもに日中の駐車需要が高いのに対し、大型車は夜間に利用が集中するためで、車種ごとの駐車エリアの方向を示す駐車場入口の電光掲示も、兼用マスのエリアについては「小型車用」「大型車用」と時間帯により切り替えて表示しているところもあるといいます。
小型車・大型車「兼用マス」のイメージ(画像:NEXCO中日本)。
たとえば新東名高速の駿河湾沼津SAでは、小型車用と大型車用で駐車エリアを大きく分けていましたが、2018年度に小型車用の多くを兼用マスに変更するなどして、施設を大きく拡張することなく、大型車の駐車可能台数を上下線とも約2倍に増やしました。このように兼用マスの整備は、大型車の駐車台数を増やすことに主眼が置かれています。
ところが、小型車の利用マナーによって、大型車が停められず、駐車マスが不足するケースも起きているといいます。
駐車場の兼用マスでは「縦列駐車に協力を」のワケ
NEXCO各社は小型車で兼用マスを利用する場合は、なるべく2台の「縦列駐車」に協力してほしいと呼び掛けています。というのも、兼用マスの前方側に停めようとするクルマが多く、前後2台分のスペースを必要とする大型車が停められなくなるのです。
「どうしても、退出時のバックを避けて『前から出たい』という意識がありますので、小型車が横並びになってしまい、大型車のスペースがなくなる、という意見があります」(NEXCO中日本)
駐車マス増設後の駿河湾沼津SA上り線。小型車(普通車)マスの多くが兼用マスに変更された(画像:NEXCO中日本)。
一方で、大型車が小型車エリアに停めるケースも多く見られ、双方のドライバーからマナーについて指摘する声があるとのこと。兼用マスでも小型車マスでも、大型車が枠をはみ出して斜めに駐車し、小型車4台分のスペースを占有してしまうようなケースもあるといいます。
このためNEXCO各社は、小型車、大型車それぞれの専用駐車エリアを優先的に利用し、それぞれのエリアが満車だった場合に兼用マスを利用するよう呼び掛けています。