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世界では赤ちゃんを1人で寝かせる西欧のほうが少数派。ベストセラー育児本が説く「寝かしつけで一番重要なこと」

マイナビウーマン

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毎日の「寝かしつけ」に苦労しているママ・パパは大勢います。睡眠不足でイライラしてしまうこともあるかもしれません。早く寝てほしい、1人で寝てくれたら、と思うこともあるでしょう。欧米では早くから親子別室で眠るのがスタンダードだとよく言われますが、イギリスの心理療法士が記したベストセラー本は真逆の方法を提示しています。

自分の親との関係を見つめ直し、感情を受け止めれば見えてくる子どもが幸せになるための心がけ

長年、親子関係・人間関係の悩みに向き合い続けてきた英国の心理療法士フィリッパ・ペリーさんが親子の絆を深めるための秘訣をまとめた話題の書。

私たちがどう育てられ、それが実際の子育てにどう影響するか、私たちがどんな間違いをおかしやすく、それにどう対処すればいいかを深い洞察とともに丁寧に解き明かした『子どもとの関係が変わる自分の親に読んでほしかった本』 (日経BP 日本経済新聞出版)から一部抜粋してお届けします。

今回は「寝かしつけと大人の睡眠」についてです。

寝かしつけと大人の睡眠

睡眠はとても大事です。乳幼児にとってではありません(子どもは寝たいときに寝るものです)。親にとって大事なのです。睡眠に関する作戦の話になると、親たちは感情的になりがちです。とくに、やっといい方法が見つかったと思ったのに、そこに私のような人間がやってきて、「乳幼児を夜中に1人で泣かせたままにしておくのは、思いやりや賢明さに欠ける行動です。子どもにきちんと関わっているとは言えません」などと言うときには。

私がこんなことを言うのは、乳幼児が夜中にあなたを必要としているときに1人で放置されているのがいやだからです。子どもにとって、1人で泣き寝入りしたり孤独を感じたりするのが愉快でないのは当然です。大人だってそうなのですから。

人を操るとか、「トレーニング」するといった考え方に接すると私は居心地が悪くなるのですが、子どもが相手のときにはさらにそう感じます。子どもは人格形成の途上にあり、主要な養育者との関係においてアタッチメントを築こうとしている最中だからです。「睡眠トレーニング」とは乳幼児が眠るまで泣かせておく、あるいは、一定時間泣かせておいてから相手をして、徐々にその時間を延ばしていくというものです。こうした条件付けによって子どもが眠りに就くまでの時間が短縮されるという研究や、子どもが親を求めて泣かないようにする条件付けにはなんの害もないという報告が過去にありました。しかしその後、問題点が指摘され、睡眠トレーニングが赤ちゃんの脳の発達を阻害することがわかっています。

一番重要な事実は、睡眠トレーニングをしても乳幼児が親を必要とする気持ちは消えないということです。つまり、親を呼ぼうとする気をくじく条件付けは、泣く行為だけをやめさせるものなのです。

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※画像はイメージです

親がどうしても眠りたいと思う気持ちはよくわかります。睡眠を中断されると疲れがとれません。しかし、子どもにはさっさと眠ってほしい、しかも1人で、できるかぎり早い時期から、という考えに凝り固まってしまうと、それが子どもとの関係を害する危険があります。結果として、子どもが幸せになるための能力を身につけるときに足を引っぱることになります。なぜなら、自分をなだめ、感情を制御する方法は、放っておかれては身につかないからです。養育者によってくり返しなだめられ、やがて成長してその記憶を内面化することでようやく身につくのです。人からなだめられることによって初めて自分で自分をなだめられるようになるのです。新米の親にとっては少なからずショックかもしれませんが、スタート時点ではこれが24時間続く仕事になります。

子どものなかで睡眠が快適さ、安心感、親と一緒に過ごした時間と結びつけば、眠ることを心地良いと思うようになるでしょう。眠ってもらいたいからといって子どもを押しやろうとすれば問題が生じます。おやすみの時間が孤独や拒絶と結びついてしまうからです。

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※画像はイメージです

概して西欧の文化圏では、子どもの1人寝を急かす風潮があります。大人の生活や社会からの期待を、泣き声に応えようとする本能より優先したいと思うからです。親や赤ちゃんに対する社会からの圧力は、人の自然な生態とは相容れないものです。子どもはいずれ自然と親から離れるということを、私たちは意識して覚えておく必要があります。親がそこにいていつでも頼れるとわかれば、子どもは自由に離れていけるのです。

親のほうから離れることで子どもの自立を促してはいけません。それでは自立のプロセスの邪魔になり、かえってプロセス自体が長引くうえに、安定したアタッチメントも阻害してしまいます。哺乳動物はみな子どもと一緒に眠りますし、現代人も同じです。南ヨーロッパやアジア、アフリカ、中南米、そして日本では、完全に離乳が済むまで(ときにはその後も)赤ちゃんは親と一緒に眠ります。赤ちゃんが親から離れて眠ることを容認する西欧のほうが少数派なのです。

夜は赤ちゃんの人生の半分を占めます。夜に泣いても反応してもらえない、ニーズが満たされない、孤独だと感じることが習慣化すると、それが子どもの「普段の」気分として定着してしまいます。もし泣いても、親やほかの家族のメンバーからなだめてもらえるなら、ストレスは我慢できる程度のものになります。しかし泣いているのに放っておかれたら、それは有害なストレスになります。

ストレスホルモンのコルチゾールが過度に分泌されると、赤ちゃんの脳のネットワーク形成に悪影響を及ぼします。親がものすごく疲れていて、泣いている赤ちゃんをそのままにしてしまったことが何度かあっただけなら、悪影響が長く続くことはないでしょう。修復を要するほどの断絶が生じる可能性があるのは、夜、1人で泣いている赤ちゃんを無視することが習慣化された場合だけです。修復とは、子どもの感情を受けいれ、条件付けをしたり叱りつけたりするのではなく、そばにいて気持ちの上でも寄り添うことです。自分は1人ではないのだと子どもが納得できるようにすることです。子どもが何歳でも同じです。

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※画像はイメージです

これは子育て全般に言えることですが、寝かしつけも、早い時期に時間をかければかけるほど、あとでかかる時間が減ります。寝かしつけるときには子どもと一緒に横になるか、でなければ子どもが寝つくまでそばにいるといいでしょう。そうすれば子どもは、愛されている実感や、一緒にいてもらえること、安全であることと睡眠を結びつけるようになります。

子どもを寝かしつけるための時間を捻出しているあいだは、親の睡眠のパターンは変わらざるをえませんが、これはふつうのことです。子どもが目を覚ましても、親のにおいがしたり、親に触れたりできればそれで済むこともあるので、赤ちゃんと同じ場所で寝ていれば、起きてなだめる手間が省けます。

人は一晩中熟睡しているわけではありません。標準的な大人の睡眠サイクルはだいたい90分前後です。乳幼児はおよそ60分です。ずっと眠っているように思えるかもしれませんが、じつは私たちの脳は途中で覚醒に近い状態になり、またすぐに睡眠に戻っているのです。赤ちゃんが半覚醒状態のときにあなたをそばに感じたり、あなたに触れたりできれば、完全に目を覚ますことは減るはずです。

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この続きは、是非書籍でご覧ください。

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『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』(日経BP 日本経済新聞出版)

※本記事は、『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』著:フィリッパ・ペリー、翻訳: 高山真由美/日経BP 日本経済新聞出版)より抜粋・再編集して作成しました。

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