ビジネスシーンでハーフパンツを着用しても問題ない?(画像はイメージ)
5月ですでに最高気温が30度を超える地域も出ており、暑さが本格化しつつあります。そんな中、東京都の小池百合子知事が4月3日、暑さ対策の「東京クールビズ」の一環として、業務内容によってはハーフパンツ着用も推奨すると表明した件が注目されています。
4月下旬には、都職員がハーフパンツ姿で勤務している様子が新聞やテレビなどで報じられるようになり、SNS上では「ハーフパンツの何が悪いのか」「昔とは気温が全く違うから、ハーフパンツ許容」「キモい」「すね毛ボーボーだと不潔感がある」「ハーフパンツをはくなら、すね毛くらいそったら」など、賛否両論の声が上がっています。
ハーフパンツを着用した状態で勤務することは、仕事上のマナーとして問題ないのでしょうか。ヒロコマナーグループ代表で、企業価値を高める人財育成コンサルティングをはじめ、皇室のマナー解説やNHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」などのマナー指導などでも活躍するマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。
まずは職場の規則ではけるかを確認
Q.そもそも、ビジネスシーンでハーフパンツを着用しても問題はないのでしょうか。
西出さん「一概に『あり』『なし』と決めつけるのではなく、まず会社の規則を確認しましょう。会社の規則に従うことが大切で、判断しやすいです。
その上で、職場の雰囲気や仕事内容、会う相手に応じたTPOで判断することが大切です。近年は暑さ対策や働きやすさの観点から、服装の自由度が高まっています。東京都では、クールビズの一環として仕事中の職員のハーフパンツ着用をNGにしていないことが一般に知られることとなり、他の企業においても、これまでの『ビジネスは必ず長ズボン』という価値観に変化が出てきています。
ここで大切なことは、ビジネスの服装は自分だけがよければOKというものではないということです。相手に安心感や信頼感を与えられるかどうかも大切な視点です。ハーフパンツを選ぶ場合も、『涼しいから』だけでなく、『この場にふさわしいか』『不快に感じる人がいないかどうか』を考えることがマナーと言えるでしょう」
Q.ではハーフパンツは、相手に失礼な印象を与えることがありますか。
西出さん「場面によっては、失礼に受け取られる可能性があります。例えば、初対面のお客さまとの商談、謝罪訪問、式典、採用面接、役員会議、公的な場への訪問などでは、ハーフパンツはカジュアルに見え過ぎる場合があります。
一方で、社内勤務の日、外回りではない日、クリエイティブ系やIT系など服装の自由度が高い職場などでは、会社が認めていれば問題ないケースもあります。マナーの観点からは『自分が快適か』だけでなく、『相手が安心して仕事を任せられる印象か』という視点です。
ここで思い出していただきたいことがあります。2005年に地球温暖化対策の一環で、ノーネクタイが提唱されました。当時はそれに対して、『ノーネクタイは失礼ではないか』などの声も上がり、多くの人が困惑した時代もありましたね。しかし、今やどうでしょうか。ノーネクタイに違和感を覚える人は、ほぼいなくなったのではないでしょうか。
仕事中のマスクも同様です。コロナ前は、特に営業、接客業の人のマスクはNGなどと言われていた中、コロナ以降、今ではそのような風潮はありません。
人は、今までとは異なるものを見たり聞いたりすると、少なからず違和感を覚えます。しかしそれらが継続し、習慣になれば、失礼などと思わなくなることもあります。今回のハーフパンツも、そういう日が来る可能性もあるかもしれませんが、TPOは大切です」
Q.ハーフパンツを仕事で着用する場合、どのようなデザインならよいですか。
西出さん「ビジネスの場で着用するなら、座ったときに膝が隠れる丈、黒や濃紺、ネイビー、グレー、ベージュといった落ち着きのある色合い、デザインを選ぶことが周囲に対する配慮の一つです。
スポーツ用やリゾート感の強い素材ではなく、サマーウール、コットン、麻であれば『きちんと感』を表現できます。麻はシワが気になるため、レーヨンを混紡した生地だとシワになりにくく美しいシルエットが保てるでしょう。
反対に、派手な柄物や短すぎる丈、ダメージ加工、ヨレヨレの素材、部屋着のように見えるものは、ビジネスの場では避けた方が安心です。ビジネスシーンにおいてハーフパンツをはく際は『カジュアル』と『だらしなさ』の境界線に意識と注意が必要です」
Q.ハーフパンツに合わせる靴や靴下はどう選べばよいのでしょうか。
西出さん「ハーフパンツは足元が目立つため、靴や靴下の選び方で印象が大きく変わります。ビジネスで着用するなら、一般的にはサンダルやビーチサンダルは避けるのが無難です。ただし、もちろん職種や業種によってそれらでもOKの場合もあります。やはり、TPOは大切です。
靴下も重要です。派手すぎる柄やヨレた靴下、汚れが目立つものは避けましょう。素足に見える場合でも、フットカバーなどを活用し、清潔感を保つことが大切です。ハーフパンツは脚が見える分、足元の手入れも身だしなみの一部になります」
すね毛処理は必要?
Q.すね毛や脚の清潔感も気にした方がよいのでしょうか。
西出さん「はい。ハーフパンツを着用する場合、脚も人目に触れる部分になりますので、清潔感への配慮は必要です。ただし、体毛そのものを否定する必要はありません。大切なのは、不快感を与えないように整える意識です。肌が乾燥して粉をふいていないか、汗のにおいが気にならないか、虫刺されや傷が目立つ場合はどう見えるかなど、全体の印象を確認するとよいでしょう。
身だしなみとは、身体的特徴を責めることではありません。相手に不快感を与えないよう整える、思いやりの行動です」
Q.女性からは「おじさんのハーフパンツ姿は見たくない」という声も上がっています。どう考えればよいですか。
西出さん「そのような声がある背景には、『清潔を感じられない』『職場にふさわしく見えない』『目のやり場に困る』といった感覚があるのだと思います。
ただし、年齢や性別で一律に否定するのは望ましくありません。大切なのは『誰が着るか』ではなく、『どう着るか』『どの場面で着るか』です。若い人ならよくて『年配の人はだめ』『男性はだめ』という考え方ではなく、職場にふさわしい清潔感や品位が保たれているかで判断することが大切です。ハーフパンツを着用する側も、反対意見を『古い』と言い放つのではなく、相手がどう感じるかを想像することがマナーです」
オトナンサー編集部
