採用ブランディングサービス「talentbook」運営するPR Table(東京都千代田区)は2023年9月21日に、24年新卒学生のうち、内定承諾済の学生517人と転職経験のある社会人579人を対象に、就職/転職活動の意思決定に寄与する「コンテンツ」実態調査を行った。
それによると、企業が新卒学生に示す「キャリアや働き方の事例」が入社移行に影響を与える人は「とても影響を与える」が29%、「まあまあ影響を与える」が53%であわせて82%の入社意識に影響を与えることがわかった。
また、新卒学生の企業探しにおいて、企業の提供する情報で不足していることは「働き方」の情報(46.0%)、「働く人」の情報(40.4%)、「職種」の情報(40.0%)という結果が出ており、学生の不安を解消するコンテンツが不足している実態があるようだ。
初めての就活で不安感じる学生 知りたかったのは「どんな働き方があるのか」46.0%、「どんな人が働いているのか」40.4%、「どんな職種があるのか」40.0%
今回の調査は内定承諾を終えている24卒入社の学生と、転職経験のある社会人を対象とした。それぞれ企業が発信するコンテンツによる態度変容を明らかにするため、インターネットを通じてアンケート調査を実施した。PR Tableの自社の調査で、調査期間は2023年9月。対象は18歳から59歳の学生および社会人1096人。内定承諾か、転職経験がある人。
はじめに、就職活動を終えた24年卒学生に「就職/転職の意思決定をする際に、どんなことに最も不安を感じましたか?」と質問した。最多になったのは「自分が求める仕事ができるのか」で「29.2%」、次いで「自分が求める働き方ができるのか」で「24.4%」、「どんな人たちと一緒に働けるのか」は「23.0%」という結果になった。
そうした不安のあるなか、「自分に合った職種、業界、企業を明確にするために、どんな情報が不足していると感じたことがあるか」と聞いた。すると、「どんな働き方があるのか」(46.0%)、「どんな人が働いているのか」(40.4%)、「どんな職種があるのか」(40.0%)が上位を占めた。学生の不安を解消するには現在の情報提供では足りない側面があるようだ。
では、どんな情報が学生の入社意向に影響を与えるのか。「キャリアや働き方の事例コンテンツの有無が入社意向に影響を与えますか」と質問すると、「とても影響を与える」が「29%」、「まあまあ影響を与える」が「53%」となり、あわせて「82%」となった。
一方で、「入社意向が下がるコンテンツの要素」を聞くと、「採用サイトの情報が古いままで更新されていない」が「53.5%」と過半数を占めた。次いで、「働く人やキャリアの事例が不足している」が「43.5%」、「検索結果や口コミサイトで情報があまり出てこない」は「39.5%」となった。
就職者・転職者がテキストでじっくり読みたいのは、「企業や職種に対してより深く調べたいとき」56.7%
さらに、学生の就職先探しの方法を具体的に挙げてもらうと、「企業名を検索」が「64.6%」となり突出した結果になった。以降、「職種で検索」が「24.4%」、「働き方に関連したキーワードで検索」が「7.7%」となった。
続いて、「デジタルコンテンツの形式について適切な手法」について質問。「キャリア・働き方の事例」では「記事(図やイラスト含む):58%、動画:28%、音声:3%」、「働き方・制度について」では「記事(図やイラスト含む):60%、動画:24%、音声:5%」となった。
いずれのカテゴリにおいても企業情報を深く知りたいと思ったときには「動画」よりも「記事」コンテンツが望ましいという結果が得られた。
続いて、24年卒学生と転職経験のある社会人を対象に、「就職/転職活動においてどんな時に記事コンテンツを読みたいと思いますか」と聞いた。その結果、「企業や職種に対してより深く調べたいとき」は「56.7%」でほかの回答を上回った。
以下、「どんな人がどんな思いで働いているのか知りたいとき」は「37.5%」、「短い時間で企業の情報を知りたいとき」が「37.3%」を占めた。企業情報を深く知りたいと思った時には、「動画」コンテンツよりも、「テキスト」コンテンツを選ぶ傾向がありそうだ。
最後に、調査元では以下のようにまとめている。
「求職者が『働き方、人、職種』に関する事例コンテンツを特に必要としているという結果から、最近の就活は能動的に情報を検索することで『企業探し』から『事例探し』へと行動が変化してきている傾向が見えてきました。
その背景として、ジョブ型への移行や職種の多様化、働き方の選択肢の増加により、失敗したくない、自分で仕事や働き方を選びたいという意向も調査から明らかになりました」
「知りたい情報によってテキストと動画に求めるものが異なり、より深く企業について調べたいときにはテキストコンテンツを求めている、という結果となりました。
企業や消費者に届けるマーケティング活動と同様、適切な媒体や手段を選びながら『はたらく事例づくり』をしていくことが、パーソナライズ化が求められる採用マーケティングにおいて最も効果的な手法なのかもしれません」