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戦闘機が今もズドドド!!ってタマ撃つ必要ある? ミサイル時代にも「ガンポッド」 見た目ジャマでも欠かせない理由

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戦闘機が翼の下などにぶらさげている大きなコンテナが機関砲の「ガンポッド」。空力性能や機動性を犠牲にしているとしか思えないガンポッドを、昔はともかく現代の軍用機でも捨てられない理由を紐解きます。

装弾数や火力を上げる外付け装備

 軍用機の翼や胴体に外付けする武装には、爆弾やミサイルだけでなく、機銃や機関砲をコンテナに収めた「ガンポッド」と呼ばれる装備があります。

Large 240911 gunp 01 F-35Bがガンポッドを初めて試射した時の様子(画像:ロッキード・マーチン)。

機体にぶら下げたガンポッドは見るからに邪魔で、明らかに航空機としての性能低下につながりそうです。しかしどういうわけか、搭載するミサイルが高性能化し、機体にはステルス性能が付与された第5世代戦闘機においても、依然としてガンポッドは健在なのです。そこには軍用機に求められる役割にまつわる、やむにやまれぬ事情があります。

 まずは歴史をさかのぼってみます。金属製の単翼機が主流になった第2次世界大戦では、機銃がコックピット前方や主翼に内蔵されるようになりました。敵機と空中戦では機銃の口径が一般的に7.7mmや12.7mmで、B-17や「ランカスター」といった四発重爆撃機を迎撃するには、零戦に装備されていたような20mm以上の機関砲が有効とさされました。

 しかし、機関砲は初速が遅く命中率が落ちるうえに重量がかさむなど問題を生じやすく、後から内部に増設するには機体設計の見直しが必要になります。そこで後付けとして主翼に機関砲を吊り下げたのがガンポッドでした。このガンポッドを最も多用したのがドイツ空軍でした。

大型爆撃機や地上攻撃用に活用

ドイツ軍のメッサーシュミットBf109の基本設計は、主翼に機銃を内蔵しない代わりに、プロペラシャフトを貫通して弾丸を発射するモーターカノンを主力兵器としていました。ところが当初は振動など技術的な問題が解決できず、初期型はコックピット前方に内蔵した13mm機銃しか装備できませんでした。

そこで主翼の設計を工夫して翼内に機銃を収納するなど改良が重ねられ、ようやくF型で20mmまたは30mm機関砲のモーターカノンが実用化します。その代わりに翼内の機銃は廃止されました。しかし、大型爆撃機対策のため機関砲の増設が求められた結果、この後のG型では主翼に20mmのガンポッドや爆弾、ロケット弾を装備するようになりました。

 また、スツーカの愛称で知られる急降下爆撃機Ju87も、地上の装甲車両攻撃用に後付けのガンポッドが活用された機体でした。

Ju87は第2次世界大戦初期の電撃戦で猛威を振るいましたが、1942年後半には旧式化していました。それでもドイツ軍は後継機を開発するよりJu87の改良を選びます。物量で戦局を巻き返す旧ソ連軍に対抗するため、主翼の下に37mm機関砲のガンポッドを搭載したJu87Gが1943年春から東部戦線に投入されました。

Large 240911 gunp 02 Ju87「スツーカ」に搭載された37mm対戦車機関砲ガンポッド(画像:パブリックドメイン)。

 ただ、外装の爆弾や燃料タンクとは違い、飛行中に切り離せないガンポッドは常に大きな空気抵抗をもたらすため、Ju87Gの操縦は非常に困難だったといわれます。しかし、そうしたデメリットを忍んで運用され、Ju87のエースであるルーデルなどが、大戦後期の東部戦線で旧ソ連の戦車を相手に少なからぬ戦果をあげています。

ミサイル時代に入っても機銃は必要だった…

 戦後、世界の空軍ではジェット機が主流になります。速度が上がったことで戦闘機同士の空中戦であっても機銃を命中させるのは困難です。加えてミサイル技術の発達で「ミサイル万能論」が広まり、1960年代には空中戦で機銃は不要だといわれました。

 その影響を受けてアメリカ空軍はF-4「ファントムII」の初期型で機銃を廃止してしまいます。ところがベトナム戦争では未成熟な誘導ミサイルの命中率が低く、機銃を搭載した北ベトナム軍のMiG戦闘機に苦戦を強いられました。

そこでF-4は、機首の下部に急造のガンポッドを搭載するはめになったのです。またベトナム戦争ではヘリコプターが多用されましたが、これらにもガンポッドを増設する例が多く見られました。

Large 240911 gunp 04 ダグラス A4D-2 艦上攻撃機の爆弾ラックに取り付けられたガンポッド(画像:アメリカ海軍)。

やがて、単座や複座の軍用機は翼や胴体のハードポイントに大量の爆弾やミサイルを搭載するようになりましたが、ガンポッドは残りました。ミサイルを打ち尽くした際に最後の防衛手段として機銃が有効と考えられており、ガンポッドは機銃を搭載しない戦闘機の増設オプションとして位置づけられています。

現代におけるガンポッドの用途とは・

 現状最新鋭の第5世代ステルス戦闘機では、アメリカ空軍のF-22が右翼の付け根に20mmガトリング砲を内蔵しています。F-35では空軍のA型が25mm機関砲を内蔵しているものの、海兵隊のB型と海軍のC型にはなく、胴体下部にガンポッドを増設するようになっています。

 現行のアメリカ軍の戦術においては、まず戦闘初期にステルス性を活かしてウェポンベイの爆弾やミサイルで敵戦闘機やレーダー施設、対空陣地を無力化します。こうして航空優勢を確保したのち、ガンポッドを含む外装兵器を使用して軍事施設を攻撃、あるいは機銃掃射を行うとなっており、全てのミサイルを撃ち尽くした後の最終手段というよりは、対地攻撃用という傾向が強くなっています。

 結局、軍用機が大きく進化しても、すべてをまかなう万能の搭載兵器というものはない、ということでしょう。その用途は少しずつ変わっても、ガンポッドはいまだに必要とされているといえます。

【動画】音がヤベえよ…これが、F-35の25mm機関砲です

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