かつては必ずと言っていいほど見かけた横断歩道の「自転車横断帯」、最近はその数を減らしています。横断歩道とセットだったものが、なぜ消えてしまったのでしょうか。
「自転車横断帯」があるはゆえの混乱とは?
横断歩道の横に設けられた「自転車横断帯」が数を減らしています。塗り替えなどの際に、この部分だけ削り取られ、横断歩道のゼブラを延長させるといったケースがあるのです。ひと昔前までは自転車のマークや、文字で「じてんしゃ」と書かれた横断帯は定番でしたが、なぜ少なくなっているのでしょうか。
「自転車横断帯」が塗り潰されている横断歩道(乗りものニュース編集部撮影)。
自転車横断帯が少なくなった直接的な理由は、2011年10月に警察庁が自転車の走行場所について「車道が原則、歩道は例外」(自転車安全利用五則)というルールの徹底を打ち出したことにあります。「自転車本来の走行性能の発揮を求める」利用者は、車道や自転車レーンを通行し、「歩道を通行することがやむを得ない場合には、歩行者優先というルールの遵守を徹底させる」などと通達したことが発端です。
そのなかで、幅3m未満で「自転車通行可」としている歩道は、これを見直すとともに、その「自転車通行可」の歩道をつなぐ自転車横断帯を撤去するという原則を打ち出しています。
道路交通法第63条の6には「自転車横断帯がある交差点においては、自転車横断帯を通行しなければならない」とあります。このルールを順守すると、交差点で車道を直進する自転車も、自転車横断帯がある場合は、いったん左折するようにして横断帯へ入らなければなりません。
警察庁によると、これによって左折しようとする自動車と自転車が交錯するなどの危険な状況が生じる可能性があるほか、歩道上で歩行者との交錯も発生。このため「歩行者の通行量が極めて少ないような場合、車道の交通量が多く自転車が車道を通行すると危険な場合等を除き、見直すこと」としています。
そして、撤去された自転車横断帯の代わりに増えているのが、車道の左端に引かれている「青い矢羽根」と呼ばれるガイドです。このマークは直進する自転車の走行位置と方向を示しており、左側通行であることも明確になり、逆走の防止にもつながっているようです。