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風邪やインフルエンザに「抗生物質」が効く…誤った認識はどうして広がった?

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誤った認識はどうして広がった?

誤った認識はどうして広がった?

 風邪やインフルエンザが流行する季節となりました。すでに体調を崩して病院に行った人もいることと思いますが、風邪やインフルエンザ患者の中には、抗生物質(抗生剤、抗菌薬)の処方を求める人がいるといいます。風邪やインフルエンザに抗生物質は効かないとされているにもかかわらず、医師の側も処方することがあるようです。誤った認識が広がった背景を医師に聞きました。

細菌が原因の感染症を治療する抗生物質

 国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)は2018年10月、国民の抗生物質に関する理解度を把握するための調査「抗菌薬意識調査レポート2018」(全国の10〜60代の男女が対象)の結果を発表しました。それによると、「抗生物質がどのような病気に有用か知っていますか」(複数回答、回答者は679人)との問いに、風邪が49.9%、インフルエンザが49.2%と約半数が誤って認識していました。

 同院AMR臨床リファレンスセンターの担当者(医師)に聞きました。

Q.そもそも抗生物質とは何ですか。どんな病気や症状に効くのでしょうか。

担当者「抗生物質は、細菌が増えるのを抑え、細菌が原因となる感染症を治療する薬です。細菌による感染症には、さまざまなものがあります。膀胱(ぼうこう)炎や腎盂(じんう)腎炎などの尿路感染、肺炎はその代表例です。抗生物質は細菌そのものに効く薬で、感染症が改善すれば、結果的にその症状がよくなると期待できます」

Q.風邪やインフルエンザに抗生物質が効かないのはなぜですか。

担当者「風邪やインフルエンザはウイルスが原因です。抗生物質はウイルスに対する効果はないので、風邪やインフルエンザには効果がありません」

Q.ウイルスと細菌の違いは。

担当者「ウイルスの方がはるかに小さく、構造も単純です。ウイルスは自分で増えることができず、ヒトなど他生物の細胞内に入り込み、その仕組みを利用して増えます。一方、細菌は自ら増えるための仕組みを持っており、分裂して増えていくことができます」

Q.風邪やインフルエンザと診断されても、抗生物質を処方する病院があるそうです。効かないのに処方するのはなぜですか。

担当者「理由はいくつか考えられます。まず、風邪と診断したものの、『本当は風邪ではなく、風邪と似た症状にみえる細菌感染症かもしれない』と医師が考え、処方する場合です。ただ、その場合は医師が説明すべきでしょう。

また、風邪やインフルエンザの後に細菌性の肺炎になることがあります。それを予防しようと考えて処方しているのかもしれません。ただ、予防効果よりも副作用など悪い影響の方がはるかに大きいことが分かっています」

Q.風邪の患者が自ら抗生物質を求める場合もあると聞きます。

担当者「『風邪の患者さんが抗生物質の処方を強く希望すると、医師によっては煩雑な説明を避けて抗生物質を処方することがある』という調査結果があります。患者さんの『すぐに治したい』『強い薬が欲しい』との要望を、『抗生物質を希望している』と解釈して処方することもあるかもしれません。これは医学的には正しくないのですが、医師と患者との関係の中で処方に至ってしまっているのです」

Q.「抗生物質が風邪やインフルエンザに効く」という誤った認識を持つ人がいるのは、どのような要因からですか。

担当者「抗生物質は、細菌による感染症の治療に目覚ましい成果を上げてきました。その効果から、『感染症なら何でも抗生物質が効く』と誤って理解している人がいるようです。以前は、風邪をこじらせたり重症化したりするのを防ぐという理由で、しばしば抗生物質が処方されていました。その延長で『風邪には抗生物質』というイメージが定着してしまったのかもしれません。現在ではそのような抗生物質の処方は適切でないとされています」

Q.「抗菌薬意識調査レポート2018」は、若い人ほど抗生物質の効果を誤解していたり、正しく服用できていなかったりするという結果が出ています。理由は何でしょうか。

担当者「学校教育の中で、医療の知識に触れる機会が極めて少ないためだと思います。誰しも感染症にかかるわけですから、その基本的な対処法や薬の使い方について教育の場で学ぶ機会がもっとあってよいと思います」

Q.抗生物質の使用頻度が多いと副作用が出ますか。

担当者「抗生物質の副作用としてよくあるのは、下痢や皮膚の症状です。これらは抗生物質を短期間飲んだだけでも起こります。さらに、抗生物質を飲んでいるうちに細菌側が抵抗力を持ち、抗生物質が効かなくなってしまうこともあります。これを薬剤耐性(AMR)といい、国内外で増加して安全な医療を脅かしつつあるため、さまざまな取り組みがなされています」

オトナンサー編集部

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