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「エンジン音の違いで分かるだろ」ベテランが原因?「ガソリンと軽油の入れ間違い」誘発する「玄人の無茶ぶり」とは

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毎年必ずといっていいほど発生するガソリンと軽油の入れ間違い、「軽自動車に軽油を入れる」など素人のトラブルと思いがちですが、実はそうともいい切れないようです。

固定観念は入れ間違いの一因でもある

 定期的に注意喚起が行われても、全国で毎年一定数発生する、クルマの燃料の入れ間違い問題。ガソリン車に軽油を入れたり、その逆でディーゼル車にガソリンを入れたりするケースもありますが、なぜ発生するのでしょうか。関係者が相次ぎ、その間違いをやってしまったという会社の幹部に話を聞くと、なかなかリアルな実態がわかりました。

Large 231206 gd 01給油のイメージ、大抵の場合ガソリン車では「レギュラー」を給油する(画像:写真AC)。

 話を聞いたのは、埼玉県にある金属加工会社の幹部。社用車は平ボディタイプでガソリンエンジン搭載型のマツダ「ボンゴ」とのことです。同車にはディーゼルエンジン搭載型も存在し、外見上はほぼ区別がつかないため、1度目は協力会社の社員に貸したところ勘違い給油され、2度目は入ったばかりの新人社員に間違われたそうです。

「1度目は燃料満タンにして返却しようという協力会社の親切心で、2度目は新人の勘違いでなった感じだね」とのこと。そもそも、現場や工場作業などで部材を運ぶ社用車は、『ディーゼルだろう』という固定観念が根強いため、しっかりと車検証などで燃料の種類を確認しない人が多いそうです。そのため、ガソリン車である場合は、しっかり伝えないとトラブルが起きがちだといいます。

「新人の子が、社用車使って出かけた後に、社長が『だれかあの子にガソリンだって教えたか?』ってなって、『あっ…教えてない、ヤバいかも』って感じだったよ」

 ガソリン車に軽油を入れても、しばらくは動くそうですが厄介なのがまさにこの部分。気づかずそのまま走ってしまいます。

 そのためちょっとエンジンの出力が下がったとしても、完全にストップするまで走らせてしまう人が多いようで、その新人も完全にガソリンがなくなった状態まで動かしてしまったそうです。そうすると、燃料を抜き取るだけでは不可能で本格的な修理が必要になります。

「音」でクルマに詳しい人は分かる!?

 結局、ほかの社員が新人にガソリンエンジンであることを伝えなかったため起きたトラブルということで、新人はお咎めなし、約22万円になるという修理費は会社が全て負担したとのことでした。

 今回話を聞いた金属加工会社では、2度も入れ間違い事件が発生したということで、今後は運転席のわかりやすい場所や、給油口の近くなどにラベルプリンター、いわゆるテプラで「このクルマはガソリン車である」と表記して貼ることを考えるとのことです。

 そもそもなぜ、2回間違われるまでそのような処置を取ってこなかったのか。そこには、ものづくりに関わる職人特有の「わかるだろ」という認識があるとも話します。

「そもそも現場や工場の人間は、『ガソリンとディーゼルの差異くらい、エンジン音や臭いの違いでわかるだろう』と思ってる人が多いよね。だから注意書きとか、トラブルを避ける一言を伝えない人が多くなっちゃう」

 確かにディーゼル車のエンジン音には、特有の「カラカラ音」が混ざっているほか、振動もガソリン車より大きかったりします。ただ、あまりクルマに詳しくない人には判断が難しいのかもしれません。

Large 231206 gd 064代目マツダ「ボンゴ」ディーゼルとガソリン両方のモデルが存在する(画像:マツダ)。

 ちなみに、ガソリン車に軽油を入れてしまった事例としてJAF(日本自動車連盟)が2022年12月に発表した資料によると、「軽自動車なので軽油を入れた」という目を疑うようなコメントもあります。人にクルマを貸す場合はしっかりと燃料の種類を伝えた方がよさそうです。

※一部修正しました(11月18日10時15分)。

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