スペックだけ聞くと「夢のような貨物機」ですね!
「777F」より3t多いペイロード
ヨーロッパの航空機メーカー、エアバス社が2021年11月に実施されたドバイ航空ショー内で、アメリカの航空機リース会社であるALC(エア・リース・コーポレーション)と、全エアバス機ファミリーを発注する基本合意書を締結しました。この発注の内容に含まれているのが新型貨物機「A350F」です。
A350Fは、ALCが初めて発注を正式発表。それからまもなくして、フランスのCMA CGM グループが同型機の発注を発表しました。ついに公式的に”始動”となったこの新型貨物機は、どのようなスペックなのでしょうか。
ALC仕様のエアバス「A350F」のイメージ(画像:エアバス)。
A350Fはエアバス社の主力旅客機「A350」をベースとしています。A350旅客機は、国内ではJAL(日本航空)が導入していることでも知られています。
エアバス社によるとA350Fは109tのペイロード(運搬能力)をもちます。この値は「ジャンボ・ジェット」をベースとしたボーイングの大型貨物機「747F」と同容量で、現在製造中のボーイング社の主力大型貨物機「777F」と比べると、3t多い容量を持つとしています。
A350導入で運用コストはどう変わる?
一方、燃料消費量については747Fの40%減、777Fの20%減をうたっています。エアバス社は整備コストも従来比で1600万米ドル(約18億2500万円)削減できるとしており、導入すれば「5000万ドル(約57億円)の追加価値がもたらされる」(エアバス社)としています。
デルタ航空のエアバスA350旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。
また、A350FはICAO(国際民間航空機関)が新型機製造の際に定める新たなCO2(二酸化炭素)排出基準も下回っており、2028年以降も、設計変更なく運航を続けられる唯一の大型貨物機であるとエアバス社はアピールします。
2021年11月現在、貨物機はボーイング社製のほうが大きなシェアをもっており、ボーイング社の担当者によると「貨物機による空輸は90%がボーイングの機体で実施されている」とも。A350Fは、エアバス社がライバルにより作り上げられた”牙城”を切り崩すカードのひとつになるのかもしれません。