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「エア暗渠」意外な構造 見えない川と交差する東京の環状道路

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「橋」の名が付く交差点、でも川がない

 東京23区西部は、武蔵野台地がもたらす高低差により、多くの河川が西から東に流れ、東京湾に注いでいます。そのため、23区西部を南北に走る道路は、これらの川を橋で越えていくことになります。そうした道路の典型例が、都道317号(環状6号線)「山手通り」です。

Large figure1 gallery17山手通り清水橋交差点。すぐ南側に暗渠の和泉川が流れる。交差点の巨大構造物も含め、橋の欄干風モニュメントが複数見られる(乗りものニュース編集部)

 山手通りの起点は品川区の「新東海橋」交差点で、終点は板橋区の「仲宿」交差点までとなっています。この山手通りが交差する主要河川と橋は南から、目黒区の「目黒橋」で「目黒川」、中野区の「長者橋」で「神田川」、新宿区の「中井富士見橋」で「妙正寺川」の順です。

 ただ、目黒川を渡る部分の内回り(南行き)本線は「菅刈陸橋」となって目黒橋のさらに上を通っているほか、妙正寺川は西武新宿線とともに長い橋でオーバーパスしているため、“川を渡る”という実感に乏しいかもしれません。

 そしてこの山手通りには、川との交差がさらにわかりにくくなっているところが複数あります。それは暗渠になった川、つまり上部が覆われて遊歩道などになっている川との交差です。

 たとえば渋谷区本町で山手通りが都道14号「方南通り」と交わる「清水橋」交差点は、交差点名に「橋」が付いているものの、周辺に川らしきものはありません。じつはこの南側には暗渠化された神田川の支流「和泉川」が流れており、その川を渡る橋が清水橋だったのです。

 その清水橋交差点から約1.3km北、中野区中央で都道433号「大久保通り」と交わる「宮下」交差点のすぐ近くでは、大久保通りと並行する「桃園川緑道」と交差します。この緑道は、その名が示すように、神田川の支流「桃園川」を暗渠化して作られた遊歩道です。

 なかには自然の川ではなく、人工の水路と交差するところもあります。

 かつての江戸は世界有数の規模の大都市で、増加する人口をまかなう清潔な水の供給は大きな課題でした。そのため幕府は、多摩川などを水源とする「六上水」を整備しました。その名残りの「玉川上水」「千川上水」と山手通りとが交わる部分が、いまも人知れず、しかし特徴的な形で残されているのです。なお正確には、平川をもとにたびたび付け替えが行われた前出の神田川も、ほぼ人工の川です。

「線路だった玉川上水」と交わる山手通り 線路はどこへ?

 玉川上水は、多摩川の羽村から武蔵野台地上を東に流れる水路で、江戸時代は現在の新宿区四谷付近の「水番所」から江戸市中に分配されていました。しかし1970年代の中央自動車道高井戸IC〜調布IC間の工事にともない、杉並区久我山から都心側が暗渠となり、現在は水道施設としては利用されていません。

Large figure2 gallery18山手通りと国道17号(左)が合流する仲宿交差点付近。上空の首都高もC2中央環状線と5号池袋線が合流する板橋JCTだ(画像:PIXTA)

 山手通りと交わるのは、「甲州街道」との「初台」交差点のすぐ南で、東西には遊歩道「玉川上水旧水路緑道」があります。この緑道が、そもそもの玉川上水を暗渠化して作られた道で、玉川上水は山手通りの下を走っています。

 なおこの緑道の地下には「京王線/京王新線」が走っていますが、かつて京王線が地上を走っていた時代、この区間は玉川上水の暗渠上に軌道が敷かれていました。つまり玉川上水の用地は時代ごとにその役割を変え、現在に至っているのです。

「エア暗渠」、いいえ「暗渠サンドイッチ」

 そしてもうひとつ、千川上水と山手通りが交差する部分では、「暗渠である千川上水の下を山手通りが走る」という奇妙な構造が特徴となっています。

 千川上水は玉川上水の中流から北に分岐する支流で、練馬区関町付近から23区内は、ほぼ暗渠となります。

 この千川上水の暗渠は都道439号「千川通り」に沿って東進しますが、豊島区内で北東に流れを変え、板橋区大山から板橋区役所付近に抜け、豊島区西巣鴨に至ります。この板橋区大山から板橋区役所までの間で、暗渠の千川通りが山手通りと交差するのです。

 山手通りはこの区間、外回り(北行き)は地上を走り、仲宿交差点で国道17号「中山道」と合流します。内回り(南行き)は中山道上りと分岐したあと、中山道下りとの平面交差を避け、仲宿交差点をアンダーパスして南に向かいます。このアンダーパスは上空を横切る構造物を3つくぐりますが、そのふたつ目が、千川上水の暗渠です。

 つまり山手通りは外回り、内回りのそれぞれで千川上水の暗渠を上下からサンドイッチしていることになります。しかし、付近にはここに千川上水が流れていたことを示すものはなにもなく、クルマはもちろん、歩く人もその存在に気付くことはないでしょう。

 こうして千川上水が山手通りを渡る部分は残されましたが、この部分の千川上水は、玉川上水の都心側と同様に、水道施設としての利用は終了しています。

 千川上水はここから東側では緑道などの形態をとっていませんが、JR板橋駅に近い旧中山道平尾宿から西巣鴨までの間は、暗渠の部分が周囲の道路より不自然に高く、注意して見ればそれと分かる形となっています。

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