正しく取り組めば、最初の3万円を手にするには30日程度、その後、普通にやれば、週2回の仕入れで月収20万円を達成できるでしょう。うまくいけば、1人で月100万円の利益を上げることも可能です。月100万円あれば、大抵のお金の問題は解決しそうですね。
「これは至って普通のリアルな話です」。このように説明するのは、せどらー兼せどりコーチのクラスター長谷川さん。近著に「もっと世界一やさしいAmazonせどりの教科書1年生」(ソーテック社)があります。今回は、安定的に稼ぐ「せどりの技術」について伺います。
そもそも「せどり」って何?
せどり(競取り、背取り)とは、元々、古書店で相場よりも安く売られている本を買い付けてほかの古書店に高く売り、差額で利益を出す商いのことをいいます。江戸時代から存在するビジネスモデルで、今では、オンライン販売が主流のスタイルとなっています。商品も古本だけではなく、DVDやゲーム、おもちゃ、家電など広範囲に及んでいます。
販売先は、Amazon、楽天ショップ、Yahoo!ショッピングのようなネット店舗から、ヤフオク、楽天オークション、イーベイといったオークション、スマホアプリの、メルカリ、ラクマなどへ拡大しています。中でも、ポピュラーなAmazonが稼ぎやすいと長谷川さんは解説します。
「せどり業界では『ライバルが増えてしまって稼げない』『せどりはもう飽和してしまった』『地方だからもうからない』といったことがネット上にたくさん書き込まれています。私は一度たりとも、『稼ぐのが難しくなってきた』と感じたことはありません。現在は、稼げるツールもあふれ返っているので、昔とは比べものにならないくらい稼ぎやすくなっています」(長谷川さん)
「地方で稼いでいる人に聞くと、『地方はライバルが少ないので、せどりをするにはおいしいですよ』なんて言われます。北海道でも沖縄でも月商200万円くらい稼いでいる人がいます。正しくせどりをすれば、日本全国で稼ぐことが可能です」
稼げる人は、どのような環境にいても稼ぐことがうまいようです。これには、センスが影響します。そのためにも、正しい方法を覚えておかなければなりません。
なぜ、Amazonで販売するのが効果的なのか
Amazonでは、毎月4000万人以上の人が買い物をするので非常に回転率がいいと言われています。日本人の3人に1人が買い物をしている計算ですが驚異的です。また、Amazonにはフィフィルメント(FBA)という、Amazonが商品の保管や注文処理、出荷、配送、決済、返品なども全てやってくれるサービスが存在します。これを提供しているのはAmazonのみです。
「仕入れ商品をAmazon倉庫に送りさえすれば、あとは、お客さまが欲しい商品を勝手に買っていってくれます。2週間ごとに、売れた商品のお金が振り込まれるのを待つだけです。このサービスを使わずに全ての作業を自分でやるとなると毎日、発送業務に追われて、利益を生み出すための仕入れの時間がつくれなくなります」
「ほかにもメリットがあります。それは、販売率が飛躍的に伸びる上に、商品を高値で売れることです。Amazonで買い物をするお客さまは、今すぐに商品が欲しいと思っています。大きく稼ぐには、このサービスを使わなくてはいけません」
適切な価格で売り、随時見直す
長谷川さんは、Amazonに出品するときの適切な価格は「自分と同じ発送方法、同じコンディションの最安値」だと言います。FBAの価格設定は「自己発送の値段の5~10%の上乗せ価格」の範囲ならスムーズに売れます。仮に「ほぼ新品」で出品する際、価格を合わせる相手がいない場合、自分より1段落劣るコンディションの売値に5~10%上乗せした価格になります。
実は、筆者はいくつかのサイトで書籍紹介記事を公開しています。筆者が公開することでベストセラーになり、Amazonで完売になることも少なくありません。そのため、多い日に1日10冊程度の献本が届きます。今、本稿を書いているデスクの周りにも、100冊以上が積み上がっています。
これまで、ジャマになった本は近所の中古本販売チェーンに着払いで発送していました。便利ですが、買い取り価格は1冊10円程度です。中には新品も多数あるので、もったいないと考えていました。せどり未経験者ですが、Amazonなら試してみる価値はあるかなと思った次第です。成果については追ってリポートしたいと思います。
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之