大阪北部で阪急線をまたぐ大きな陸橋がまもなく開通予定。広域なネットワークを担う幹線道路がいよいよつながろうとしています。ただし、まだ“残念な”部分が残ります。全てつながると、どのような道になるのでしょうか。
イナイチがイマイチのエリアに新たな幹線
大阪と京都を結ぶ阪急京都線をまたぐ大きな高架橋が、まもなく開通する見込みです。現地では「令和7年春頃開通」との看板が随所に見られます。
開通を待つ十三高槻線「正雀工区」の阪急京都線跨線橋(乗りものニュース編集部撮影)。
場所は大阪府吹田市、阪急京都線の相川-正雀間に架かる都市計画道路「十三高槻線(正雀工区)」の橋です。1999年に着手され、これまで何度も延期されてきましたが、26年もの歳月を経てようやく開通しようとしています。
十三高槻線は、この地域の幹線道路である府道「大阪高槻京都線」から、JR京都線(東海道本線)の南側に並行するバイパス的な路線です。現在は大阪市内から高槻市内まで“おおむね”開通しているものの、分断区間がいくつかあります。正雀工区もそのひとつです。
この地域は、2車線で渋滞が激しい大阪高槻京都線を除くとJRや阪急に並行する一般道がなく、かといって北摂の幹線国道たる国道171号(通称イナイチ)は山側すぎて遠いという課題を抱えています。
しかも、正雀工区の近くはJRの吹田機関区、大阪メトロの東吹田検車場、阪急の正雀車庫と3つの車両基地が集まるほか、随所で線路や川に分断されています。開通を待つ陸橋の東側は、正雀川をくぐるアンダーパスに接続しており、移動はかなりスムーズになりそうです。
なお、3月上旬の時点で、陸橋は付帯設備も含めてほぼ完成していますが、陸橋を下りた東側はまだ舗装されていない状態です。この道路の整備に合わせて、地下で阪急線をくぐる下水道管の工事が行われており、それが長びいていることから2023年度末の開通から延期されていました。下水道管の工事は継続中で、陸橋の開通については、「改めて発表する」との看板も立っています。
正雀工区が開通すると、大阪市内から大阪の「内環状線」こと国道479号を経て、そのまま近畿道が通る「中央環状線」まで抜けられるようになります。
ただ、十三高槻線は中央環状線より“先”も、ほぼ4車線の立派な快走路が続いています。今後、広域な道路ネットワークの整備でこの路線の重要度はかなり上がりそうですが、ちょっと残念な状態なのです。
まだまだある分断区間
前出の通り、十三高槻線は中央環状線で“分断”されており、正雀方面から来ると中央環状線の北向きにしか行けません。
阪急をまたぐ陸橋の東側は、そのまま正雀川のアンダーパスに通じる(乗りものニュース編集部撮影)。
この前後は中央環状線をまたぐ高架橋を架けられそうなスペースが確保されているものの、近畿道をまたぐ大きなものになることから実現に至っていません。
さらに、高槻市内は檜尾川より先に分断区間があります。川沿いの堤防道路でつながっているため、開通済み区間と行き来は可能なものの、走りづらさは否めません。最終的には、その先の高槻市井尻で国道171号に合流し、京都方面に通じています。この檜尾川の分断区間より先は、国道170号のバイパスとして府が建設を進めています。
また、この国道170号バイパス(十三高槻線)の国道171号合流部近くへ、「新名神のアクセス道路」を接続させる計画もあります。新名神の高槻ICから国道171号まで、信号ナシで通れる「高槻東道路」を、十三高槻線まで延伸させる事業が2020年から進められています。
兵庫がつながって“ナイスな道”になる…!
折しも兵庫県内では2025年3月と秋、尼崎市内で大阪の内環状線に通じる東西道路「園田西武庫線」の未開通部が相次いで開通し、「兵庫と大阪を結ぶ新たな東西幹線」になるとアピールされています。
ここが開通すると、武庫川東岸から内環状線を経て、吹田で十三高槻線に接続し、阪急神戸線と阪急京都線沿線の都市部を直接連絡するネットワークが出来上がります。
さらに、十三高槻線と中央環状線の交差部が通り抜け可能になれば、北摂を縦断する幹線道路としての機能が高まりそうですが、その実現はまだまだ時間がかかりそうです。