interview 　水上恒司

INTERVIEW

Profile／水上恒司

1999年生まれ。2018年テレビドラマ「中学聖日記」（TBS）でオーディションを経て主人公の相手役に抜擢され、俳優デビュー。同作で週刊ザテレビジョン主催第99回ドラマアカデミー賞助演男優賞を受賞。その後、ドラマ「MIU404」、NHK大河ドラマ「青天を衝け」など話題作に出演。映画では、2021年『弥生、三月-君を愛した30年-』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』『望み』の3作品で第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。翌2022年『死刑にいたる病』で、映画初主演を果たす。2023年の映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で福原遥と共に主演を務め、第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。

権力のある人ほど自分の発言や振る舞いに責任を持つべきだと思う

発売開始から47年を迎え、世界20ヶ国以上で販売されている「たべっ子どうぶつ」。ワールドワイドな人気を誇るビスケット菓子がタイトルそのままに映画になったことを、情報番組などで知って驚いた人も多いのではないだろうか。しかも、パッケージを彩るキャラクターたちが、スーパーアイドルグループ「たべっ子どうぶつ」として世界を魅了しているという奇想天外な物語設定なのだからなおさらだ。本作でぞうくん役を務めた水上恒司さんに、これほどの注目作で声優デビューを飾った気持ちを伺ってみよう。

― まずは、本作出演のお話をいただいたときの気持ちを聞かせてください。

「初めての声のお仕事がおなじみの『たべっ子どうぶつ』だなんて誇らしかったです。しかも、新海誠でもなく宮崎駿でもなくギンビスさんが… ってところが好きですね。たぶんここはみなさん共感していただけるかなと思います（笑）。加えて、僕は声の器用さがないことから、これまで声優オーディションに落ち続けていたので、チャンスをいただけたということ自体、恵まれていると感じました」

― 収録は楽しめましたか？

「楽しいという気持ちは、ほぼほぼなかったですが、それは正しい感情だと思っています。プロとしてお金をもらう立場だからこそ通らなければならない道ですが、音響監督からのダメ出しも多かったです。たとえば、ぞうくんの体格に合わせた声の出し方を自分なりに研究していったのですが、僕の技量だと声がこもってしまい、音響監督から“そういうのは要らない”と言われました。普段の芝居では、身体が9割セリフ1割ですが、声優の場合はその真逆。思い通りに演じられない難しさを感じたからこそ、プロの声優さんのすごさがよくわかりました」

― ぞうくんはどんなキャラクターだと解釈されましたか？

「すごく知的なので、きっとモテますよね。相手がほしい言葉をちゃんと投げられるところも魅力です。でも、すべてに応えてあげるというわけではなくて、状況を見て何が最良であるかを判断していますし、自分の居方をきちんとわかっていると思います」

― ぞうくんを通して学んだことはありますか？

「相手によって態度を変えるのではなく、きちんと自分で考えて判断して、言うべきときは言う、言うべきでないときは言わないという、ぞうくんの姿勢には学ぶところが多かったです。この業界に限ったことではないかもしれませんが、周りの大人たちを見ていても、権力のある人に対しても言うべきことを言える人は少ないように感じます。だからこそ、本来は影響力を持つ人間ほど発言や振る舞いに気を付けないといけないと思うので、自分は今その立場にいるというわけではないのですが、改めて、自分の発言や振る舞いに責任を持てる人間でありたいと考えました」

― 最後に、作品を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。

「今の日本の景気の悪さや、トランプさんが大統領に再選することなんて、ちょっと前には予想もできなかったことだと思うんです。歴史というのは繰り返すものとはいえ、今の子どもたちが大人になったときなんてなおさら、何が起きているかわからない。思いもよらなかったことが起きて、それでも生きていかないといけないとなったとき、必要な知恵や勇気の花を咲かせるための“肥料”のような存在に、この作品がなってくれたらうれしいなと思っています。キャッチコピー通り、“ 武器なし、策なし、意気地なし”のたべっ子どうぶつたちが、どう困難に立ち向かうのか、ぜひ劇場でご確認ください」

『たべっ子どうぶつ THE MOVIE 』

©ギンビス ©劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

監督／竹清仁
出演／らいおんくん/ 松田元太、ぞうくん/ 水上恒司、ぺがさすちゃん/ 髙石あかり、さるくん/ 藤森慎吾、かばちゃん/ 蒼井翔太、うさぎちゃん/ 小澤亜李 他
公開／ 5 月1 日（木） 全国ロードショー
配給／クロックワークス　TBS テレビ

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