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「不許可」覆した自衛隊初の災害派遣 現場からの直訴 国を動かす

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陸上自衛隊の源流は、朝鮮戦争の勃発によって誕生した警察予備隊です。当時は再軍備への懸念から、警察予備隊の出動命令は内閣総理大臣しか出せませんでした。それが、初の災害派遣のときに足かせとなったのです。

自衛隊初の災害派遣は台風の被災地

 2020年は陸上自衛隊が発足して70周年の節目です。1950(昭和25)年8月10日に陸上自衛隊の母体である警察予備隊が発足しましたが、太平洋戦争ののち、幸運にも日本は戦禍に巻き込まれることなく現在に至っています。そのため陸上自衛隊も発足以来、実戦は経験していません。  むしろ日本国民にとって、自衛隊は災害派遣(人命救助)で活動するイメージの方が強いというのも統計的に出ていますが、その先駆けとされているのが、警察予備隊発足の翌年、1951(昭和26)年10月に起きた「ルース台風」での救助活動です。しかし、この警察予備隊(自衛隊)初となる災害派遣は、今と違って迅速に出動できたわけではありませんでした。

Large 200731 saigaihaken 01「令和2年7月豪雨」における災害派遣のため、九州で活動する北海道の第12施設群(画像:陸上自衛隊)。

「ルース台風」は、10月14日から15日にかけて山口県東部へ襲来。これに対し山口県知事は、県内に所在する警察予備隊の駐屯部隊に救援要請を出します。当時、山口県に配置されていたのは、県西部の下関市にあった小月駐屯地(現・海上自衛隊小月航空基地)に所在していた、普通科第11連隊(現・陸上自衛隊第11普通科連隊)でした。

 第11連隊は、さっそく県の災害対策本部に隊員を派遣し、情報収集を開始します。その後、指示を仰ぐために上級司令部である福岡県の第4管区総監部(現・第4師団司令部)へ連絡を入れました。

 しかし第4管区総監部は、首相から命令が出ていない、かつ自然災害で警察予備隊が出動したという前例がない、その2点を理由に「出行留保」という、事実上の出動不許可という決定を下します。

 当時、警察予備隊の出動許可権は首相(内閣総理大臣)にしかなく、県知事をはじめ自治体の首長からの要請があっても部隊が動くことは許されなかったのです。

指揮系統を飛び越えた直訴が奏功

 このとき福岡の第4管区総監部が出動不許可を下した理由としては、初の出行(出動)は軽々しく実施すべきではない、警察関係者が非常呼集されていないのに先んじて出行するのは問題である、また情報が不足しているといったこともあったようです。

 しかし、山口の第11連隊には時々刻々と死傷者多数、家屋倒壊、食糧や医薬品の不足といった様々な被災情報が伝わります。しかも警察予備隊が出動しない(できない)一方で、県西部の岩国飛行場に駐留するアメリカ軍が、ヘリコプターを用いて被災地に食料や医薬品、毛布の提供を始めました。

 そこで、しびれを切らした連隊長は、部下である副連隊長を直接、福岡の第4管区総監部へ派遣し、説明にあたらせることにします。副連隊長には被災地の写真26枚を持参させ、10月20日朝一番の急行列車で福岡に送り出しました。

Large 200731 saigaihaken 021960年5月に起きた「チリ地震津波」による災害派遣のため、三陸沿岸で活動する陸上自衛隊員(画像:陸上自衛隊)。

 第4管区総監部に着いた副連隊長は、ナンバー2の副総監に会おうとします。しかし副総監は出張中で、その後は官舎に直帰すると告げられ、副連隊長は官舎で副総監の帰りを待つことにしました。なんとか副総監と直接話し写真を見せることはできたものの、副総監は、「一度決定した命令は変更できない」と叱りつける始末で、決定が覆ることはありませんでした。

 そこで副連隊長は命令系統の逸脱を覚悟で、上級者である総監へ直訴するため総監部に戻り、帰宅直前の総監へ被災地の状況を報告。これを受け、総監は直ちに東京の警察予備隊総隊総監部(現在の陸上幕僚監部に相当)へ連絡を入れ、そこから吉田 茂首相(当時)に出行要請が届き、派遣が決定したのです。

 その結果、10月20日夕方、小月駐屯地から第11連隊を中心に隊員約300名が出動、26日までの約1週間、山口県玖珂郡広瀬町(現・岩国市)で救助活動を行ないました。

災害派遣は試行錯誤の繰り返し

 とはいえ、当時まだ「災害派遣」という制度が確立していなかったため、小月駐屯部隊は警察予備隊令第3条1項「警察予備隊は、治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動するものとする」という規定に基づく首相命令によって活動しました。

 これを教訓として、1952(昭和27)年3月3日に初めて災害派遣に関する規定が作られます。これに基づき、3月4日にさっそく十勝沖地震に対する災害出動として北海道の帯広部隊が出動したほか、4月17日には鳥取大火への対応として鳥取市に対して米子、姫路、千僧など複数の駐屯地から大規模な災害派遣が行われました。

Large 200731 saigaihaken 031991年の雲仙普賢岳噴火災害において現地で活動する陸上自衛隊員と60式装甲車(画像:陸上自衛隊)。

 同年8月1日に警察予備隊を改編して誕生した保安庁および保安隊では、新たに作られた保安庁法のなかに「災害派遣」が明記されたため、災害派遣活動もおもな任務のひとつとして規定されました。

 さらに1954(昭和29)年7月1日に防衛庁(当時)および自衛隊が発足すると、自衛隊法にも「災害派遣」が盛り込まれ、そののち幾多の改正を経て、現在では「要請派遣」「自主派遣」「近傍派遣」が可能になっています。

 なお、前述した「ルース台風」の災害派遣よりも前に、福知山駐屯部隊(京都府福知山市)や善通寺駐屯部隊(香川県善通寺市)が、それぞれ現地部隊長の現場判断という形で派遣された例はありました。しかし、これらは独自判断による応急措置という位置付けで、首相が出した命令によるものではないため、正式な派遣は1951(昭和26)年10月の小月駐屯部隊(普通科第11連隊)が初として記録されています。

 2020年も日本各地で自衛隊に対して災害派遣が要請されています。その端緒となると、実は69年前の警察予備隊時代にさかのぼるのです。

※参考文献:自衛隊十年史(防衛庁)、波乱の半世紀―陸上自衛隊の50年(朝雲新聞社)

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