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最初のアンパンマンは「太ったおじさん」だった。大人には大悪評の絵本だったが「冷酷な批評家」の反応は……

マイナビウーマン

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子どもたちに大人気の「アンパンマン」の生みの親・やなせたかしさん。やなせさんと妻・暢さんをヒロイン夫婦のモデルとして描くNHK連続テレビ小説『あんぱん』もはじまり、今あらためて、その生き方に注目が集まっています。「アンパンマン」の絵本が世に出たとき、やなせさんはどんなことを感じていたのでしょうか。

\やなせたかしさんの半生と、「アンパンマン」のもとになった考え方/

正義とは何で、正義の味方とはどのような人なのか。
戦争を生き抜き、「アンパンマン」をはじめ数々の絵本や作詞で名作を残したやなせたかしさんは、90歳のときに、正義についてあらためて考えた一冊を遺しています。

「今、ぼくたちが生きている社会は、世界の戦争や環境問題、不安な政治、殺人事件、怒りの気持ちになることが毎日起こっています。 
でもぼくは多くの人を喜ばせたい。」

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やなせさんが「アンパンマン」シリーズの最初の絵本を出版したとき、編集者や読者から酷評されてしまいます。その後に起こった逆転劇とは? 書籍『新装版 わたしが正義について語るなら』(ポプラ社)から一部抜粋してお届けします。

絵本『あんぱんまん』が生まれた日

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※画像はイメージです

アンパンマンが最初に世に出たのは、まだ四十歳の頃にラジオドラマのコントとして登場させた時でした。ラジオやテレビの仕事をたくさんやっていた時です。とにかくなんでもたたきこんでいた。この時に一回だけアンパンマンを登場させたのですが、どういう具合のものだったか、ぼくもほとんど覚えていません。
 
二回目に登場したのは「やなせメルヘン」の一編として大人向けに書いたもの。

このアンパンマンは、自分の顔を食べさせるのではなくて、あんパンを配るおじさんだったんです。自分でパンを焼いているから、マントには焼けこげがある。太っているし、顔もあんまりハンサムじゃありません。非常に格好の悪い正義の味方を書こうと思ったのです。正義の味方は自分の生活を守ってくれる人ではないかと思っていた。子どもから見れば、おなかをすかして泣いている時に助けてくれる、地味な正義の味方を書きたかったんです。

そしてぼくが五十四歳になった一九七三年、絵本『やさしいライオン』が好評で、フレーベル館から二冊目の絵本を書いてほしいと注文がきました。そこでぼくは「あんぱんまん」を書いたのです。幼児用に書いたから平仮名にしたので、特に平仮名に意味はありませんでした。この時、あんパンを配るよりもパンそのものが飛んでいってしまう方が面白いなと思って、自分の顔を食べさせる話にしたのです。

砂漠で疲れて動けなくなった人のところにアンパンマンがやってきて、自分の顔を食べさせます。

それまでの絵本に幼児向けの作品はなく、この『あんぱんまん』が初体験でした。幼児用の絵本らしくなくて、主人公があまりかわいらしくなく、マントもぼろぼろです。

本は大悪評でした。特に大人にはダメだった。

出版社の人には「やなせさん、こんな本はこれ一冊にしてください」と言われるし、幼稚園の先生からは、顔を食べさせるなんて残酷だと苦情がきました。

絵本の評論家には、こんなくだらない絵本は図書館に置くべきではない。現代の子どもはちっとも面白がらないはずだ、と酷評される。アンパンが空を飛ぶなんてくだらないし、今の子どもにはもっとメカを使ったりして勇ましい話でなければウケるはずがないと言われました。

作者のぼくも自信がなくて、これはダメだと思いました。
 
この最初の絵本でぼくが描きたかったのは、顔を食べさせて顔がなくなってしまったアンパンマンが空を飛ぶところです。
 
顔がないというのは、無名ということです。
 
顔パスという言葉がありますね。この世界は顔で通用するところがあります。政治家もそうだし、タレントもそう。自分の顔を売って、それで生活するところがあります。顔売り商売ですから、プライバシーがないと騒ぐのは間違っている。顔を売った以上はプライバシーは失います。覚悟しなくてはいけません。
 
普通の人は無名です。顔は知られていません。

顔がなくなってしまったアンパンマンは、エネルギーを失って失速します。ぼくはこの部分が描きたかったのです。
 
でも、不評でしたから、しばらくアンパンマンを描く機会がありませんでした。その代わりほかの作品をどんどん書いていました。『いねむりおじさん』や最初にお話しした『チリンのすず』などの絵本をたくさん創作しました。

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※画像はイメージです

でも、アンパンマンへの愛着はなぜか残っていて、自分が編集長をしていた雑誌「詩とメルヘン」に大人向けの『熱血メルヘン怪傑アンパンマン』の連載を始めました。
 
物語のはじまりは、嵐の夜にアンパンマンが登場するシーンです。これは映画「フランケンシュタイン」が下敷きになっています。そして、もうひとつ、メーテルリンクの『青い鳥』も重なっています。『青い鳥』の中で、チルチルとミチルが帽子のダイヤモンドをまわすといろんな妖精が登場するところがあります。それがぼくには面白くてたまらなかった。光の精や水の精はいかにもという感じでしたが、パンの精というのも出てきてびっくりしたのですね。
 
このパンの精が幼児体験としてインプットされて、フランケンシュタインと合体してアンパンマンになったのだと思います。
 
でも、後から書いた漫画のアンパンマンはちょっと違っていて、生命の星がブラックホールから逆に飛び出して、ジャムおじさんの工場の煙突に飛び込みます。アニメ版の誕生は、この漫画の方のストーリーから作りました。
 
いずれにしても超自然の力が偶然に作用して、アンパンマンに生命が宿ります。
 
最初に平仮名で書いていた「あんぱんまん」をなぜ片仮名にしたかというと、ぼくの子どもの頃のパン屋さんは全部「パン」で、それが強烈に記憶されていたのですね。「ぱん」だと「まんじゅう」という食感の気がします。
 
アンパンは日本人が発明したものです。いかにも日本的で、かたちもいいし、ファストフードにもなればスナックみたいにも使える。おやつになります。ぼくは子どもの時にアンパンが好きでした。そうやってアンパンマンが誕生した。
 
一九七三年に最初の絵本『あんぱんまん』が出版されてから、約五年が過ぎました。表面的には変化なし。けれども目に見えないところで何かが動く気配がありました。
 
ある日近所のカメラ店にフィルムの現像を出しに行くと、店の主人が言いました。
「先生、うちの坊主があんぱんまんが好きでね。毎晩読んでくれというもんだから、私までおぼえちゃったよ。子どもは気に入ると何度でも読めって言うんだね」
 
これが最初の予兆でした。へえ、とぼくは思いました。出版社では評判が悪かったし、ぼくもみんな見向きもしないと思ってた。
 
でもそれから、似たような話をあちこちで聞くことになりました。幼稚園や保育園では人気で、図書館では『あんぱんまん』がいつも貸し出し中。新刊を入れてもすぐにボロボロになるというのです。

ぼくはえらいことになったと思いました。
 
アンパンマンを最初に認めたのは三歳から五歳の幼児です。この世に生まれたばかりで、まだ文字をあまり読めず、言葉もおぼつかない赤ちゃんです。なんの先入観もなく、欲もなく、すべての権威を否定する、純真無垢な魂を持った赤ちゃんは、冷酷無比の批評家です。
 
幼児は気に入らない絵本は放り投げます。絵本評論家が難しい理論を言っても通じません。好きか嫌いか、明確に判定します。しかも今年の幼児と来年の幼児は違う。たえず入れ替わっています。
 
この読者に対して、大人はどうすればよいのか。甘い赤ちゃん言葉で「かわいいウサちゃん」くらいのところでお茶をにごしているのではないか。
 
アンパンマンがなぜウケるのか、今でもぼくには分かりません。でもぼくは真剣に考えるようになりました。そして自分のメッセージをしっかり入れることにしました。

「正義とは何か。傷つくことなしには正義は行えない」

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この続きは、是非書籍でご覧ください。

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『新装版 わたしが正義について語るなら』ポプラ社

※本記事は、『新装版 わたしが正義について語るなら』著:やなせたかし/ポプラ社 より抜粋・再編集して作成しました。

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