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雑多な街並みが生むストレスフリーな空間 東京23区地価最安の葛飾区「水元」とは【連載】東京下町ベースキャンプ(7)

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地価相場は都心エリアの10分の1以下

 かつて江戸近郊の農村部だった東京東部の「下町」。そんな同エリアを、ブログ「限界ニュータウン探訪記」管理人の吉川祐介さんは新たな「拠点」と位置付け、再解釈を試みています。

※ ※ ※

 当連載で取り上げている江戸川区、足立区、葛飾区は、東京23区における基準地価(都道府県が調べた1平方メートルあたりの土地価格。年1回発表)の平均価格において、下位3位の区です。

 これはあくまで23区内のみに限定した順位であり、区外や隣接県の地価と比較すれば高額なので、下町の地価の安さを強調するのは道理に合いません。しかしそれでも中央区、千代田区といった都心エリアの10分の1以下となる相場である点は、荒川以東の下町エリアの特性を形成する重要なファクターのひとつと言えます。

 そうなるとランキングの最下位である葛飾区内において地価が最も安い地域、すなわち23区で地価の1番安い地域が気になるのは人の性(さが)でしょう。結論を先に言えば、それは常磐線の金町駅の北側と、中川の支流である大場川の南側の間に位置する水元エリアです。

2020年度の基準地価の下位3位を占める葛飾区北端の水元エリア(画像:吉川祐介)

 水元には菖蒲まつりで知られる水元公園(葛飾区水元公園)がありますので、知名度は葛飾区でも比較的高い方です。ただ、水元エリアの北端部は金町駅から徒歩で向かうにはかなり遠いうえ、目立った商業地域もないため、北端部のあるエリアでは1平方メートルあたり16万円超となっており、2020年度の23区内の最安値となっています。

 東京23区の下位3位はすべてこのエリア周辺の価格であり、隣接する三郷駅(埼玉県三郷市)周辺の基準地価よりも大きく下回るものです。

多く残る生産緑地地域

多く残る生産緑地地域

 しかし味深い点は、コロナ禍に見舞われた2020年度においても、水元を含めた葛飾区内の基準地価算定地点はすべて前年度より上昇しているか、もしくは横ばいであるのに対し、隣接する三郷市内は水元よりも利便性が高いと思われる地域ですら、基準地価の下落が起きている地域が目立つことです。

 これはおそらく「東京都」「東京23区」というネームバリューの強さを反映した現象ですが、それ以上に、東京は隣県と比較して潤沢な予算に裏打ちされた手厚い行政サービスや公共設備が充実しており、それが市場において強みを持っているということでしょう。

 実際に歩けばすぐに分かりますが、水元は一目見て非常に雑多な印象です。元々葛飾区は旧来の農村や町工場が急激に住宅地として転用されてきた地域が多く、今でも住宅地の合間に古い工場や農地が残る光景は区内各所で見られます。

 水元の場合、その地価の安さを反映してか、そんな住宅や町工場に加え、まとまった敷地を要する運送会社や重機置き場、貸し切りバス会社などの事業所も随所に見られるうえ、清掃工場や浄水場などのインフラ施設も置かれています。

 そして今なお生産緑地地域が多く残されていて、畑やビニールハウスなども目立ち、複数の野菜の直売所が営業しています。その一方、高層のビルやマンションはほとんど存在せず、郊外的なミニ分譲地や建売住宅の販売が至る所で行われていて、その光景は「東京」という地名のイメージが持つものとはかけ離れたものです。

今も住宅の合間に生産緑地地区が多く残る水元の町(画像:吉川祐介)

 また、桜並木やショウブの見頃には多くの見物客を集める公園を擁する一方、周辺は、都会とも農村とも住宅地とも工業地とも言えない、つかみどころのない様相を呈しているのが現状です。

 しかしイメージやポリシー、ブランドとは縁遠そうに見えながら、23区ゆえ地価の下落に見舞われず一定の水準を維持し続けている水元は、ある意味、区の外縁部の下町を象徴しています。

「王道」を外れても、なお有り余る魅力

「王道」を外れても、なお有り余る魅力

 東京に限らず日本全国の多くの自治体は、今なおそのポテンシャルを高めるために、時には不必要とも思える予算規模で再開発事業や都市整備を続けていますが、都市に暮らす人は、その皆が自らの居住地のポテンシャルを高める必要がある動機を持ち合わせているわけではありません。

 確かに道路や商業施設、教育施設などが効率的に配備された都市は必要ですし、基本的には多くの人はそのような都市に住まいを求めるものです。

町の光景に統一感はなく、ブランドイメージとは程遠いが、画一的な生活を迫る空気もない(画像:吉川祐介)

 しかしその一方で、町のブランドやイメージ、コンセプトなどは求めておらず、そこそこ安い地価・賃料でそこそこの利便性を確保し、かつ「東京23区」に属するメリットも享受する人たちの受け皿として機能してきたとも言えます。

 生活動線まで細かく想定した計画的な街並みでなくても街として機能し、「王道」の人生設計からも少し外れたような生き方を選ぶ人にとっては、このぐらい雑多な町の方が、気負いせず暮らしやすいことは言っておかねばなりません。これほど雑多であれば、住民ひとりひとりの生活動線がバラバラでも何の不思議もなく、そのようなことを気にする人もいないでしょう。

 現在は新型コロナウイルスの影響など、先の見通しが立たない閉塞(へいそく)的な状況が続き、それまで想定していた計画が白紙になった人も多いと思われます。

 不本意ながらも1からやり直しする人、あるいは心機一転再挑戦を目指す人、そんな人々にとっても、誰でも分け隔てなく受け入れる下町が、強力な「足場」として機能することを願ってやみません。

※参考サイト:土地代データ東京23区

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