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高速バス運転手「働き方」の実態は 路線で異なる乗務形態、長距離運行にどう対応?

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全国のバス事業者が運転手を募集するなか、運転手の勤務のあり方へ懸念の声も聞かれます。その実態はどうなっているのでしょうか。なかでも長距離を運行するのが高速バスですが、その乗務シフトの体制はかなり多様です。

路線距離に応じて「日帰り」「泊まり」など

 バス運転手の不足が顕在化するなか、「長時間勤務」「不規則なシフト」といった乗務形態についての報道がしばしば見られます。なかでも、一般的な路線バスより長い距離を運行する高速バスにおいては、実際どうなっているのでしょうか。

Large 190802 jomu 01バスタ新宿に停まる伊那バスの飯田行き。新宿〜飯田線は「ワンマン日帰り」乗務が原則(2019年7月、成定竜一撮影)。

 高速バスには、運転手がひとりで運転(ワンマン運行)する路線、ふたりで交替しながら運転(ツーマン運行)する路線、途中で乗り込む別の運転手に交替(乗り継ぎ運行)する路線などがあり、運転手の勤務も「日帰り」「泊まり」など多様なシフトが組まれています。

日帰り勤務

 最もわかりやすい乗務形態は、中距離(おおむね片道100kmから250km)の昼行路線を、ワンマンで1日に1往復するものです。業界では「日帰り仕業(しぎょう)」などと呼ばれ、起点から終点までの所要時間(実車時間)が、片道当たりおおむね2時間から4時間の路線で見られます。たとえば東京から福島県南部や長野県、静岡県などへの路線や、大阪から岡山県や鳥取県、徳島県、香川県などへの路線が当てはまるでしょう。

 運転手は営業所に出勤し、車両点検や出庫点呼(運行管理者らによる運行内容の指示や健康状態の確認、検知器によるアルコールチェックなど)のあと、始発停留所に車両を回送して営業運転に入ります。終点に到着したあと、共同運行する事業者の営業所などに回送し、休憩ののち復路を運行。その後は営業所に回送し、給油作業などを行ったうえで帰庫点呼を受けて勤務終了です。

 仮に片道3時間の路線であれば、運転手の出勤から退勤までが9時間から10時間程度になります。このうち所定労働時間を超える労働時間については、超過勤務(残業)手当などの対象です。

 法令では、「運転時間は前後2日の平均で1日当たり9時間以内」「拘束時間(出勤から退勤まで)は13時間以内、例外で16時間以内の日も」「実車距離が1日に原則500km以内」などと決められています。会社と労働組合とのあいだで、より厳しい規程を設けている事業者もたくさんあります。なお、渋滞などで遅延した場合でも、法令や規程の範囲内に収まる必要があるので、実際にはより短い距離、時間を上限として運行計画が立てられています。

片道100kmでも「泊まり勤務」のケースも

 2日以上にまたがる勤務形態は、比較的短距離の路線でも行われます。

2日勤務

 片道100kmくらいまで、所要2時間以下の短距離路線では、同じ区間を1日に1往復半ないし2往復するケースもあり、前者は「いってんご」、後者は「ふたっころ」などと呼ばれます。こうした路線で2日勤務となることがあるのが、1日に1.5往復を担当する場合です。共同運行先の営業所の仮眠室、またはその近くに会社が用意する宿舎(以下、「現地」という)で宿泊する「泊まり仕業」となり、翌日も同じ区間を1.5往復して勤務終了となるケースが中心です。

 2日勤務に最も向いているのが、片道350km前後、所要5時間程度の路線でしょう。東京発だと仙台、新潟、名古屋、大阪発だと長野、広島などへの路線がこれにあたります。このなかでも、運転手が午後に出勤、夕方便に乗務したのち終点側に宿泊し、翌日の午前便で戻ってきて昼に勤務終了となる「泊まり仕業」と、往復のどちらかが夜行運行(「夜行便で行って午後便で戻る」または「午前便で行って夜行便で戻る」)となる「片夜行」とがあります。いずれの場合も、運転手は現地でいったん勤務を終了し、仮眠を取ります。退勤から翌日の勤務開始まで8時間以上空けることが法令で決まっており、このように現地で仮眠や宿泊をする場合でもそのルールが適用されます。

Large 190802 jomu 02弘前〜仙台線を担当する弘南バスの車両。同路線は「ツーマン日帰り仕業」が原則だが、一部の便は夏場のみ「ワンマン泊まり仕業」に変更(2018年7月、成定竜一撮影)。

 なお、同じ路線で季節により乗務形態が変わることもあります。たとえば東北地方では、夏期はワンマンで「泊まり仕業」を行う路線について、冬期には、積雪によるチェーン装着や迂回運行というケースが増えるのに備え「ツーマン日帰り仕業」とする例が存在し、共同運行先とのあいだで季節により担当ダイヤを交換するなどして調整しています。

3日勤務

 片道400km以上、所要6時間を超えると、ほとんどの路線が夜行便となり、交替運転手とふたりで乗務する「ツーマン運行」が中心になります。運転手は夜に出勤したのち出発、朝に目的地へ到着し夜に再び出発するまでのあいだ、まるまる空いており、現地でゆっくりと仮眠を取れます。今晩出庫する運転手が明後日(3日目)に戻ってくることから、「夜行3日仕業」などと呼ばれます。

長距離路線の乗務、効率化するには?

 夜行路線は必ずしもツーマン運行とは限りません。片道400km前後の夜行路線の一部では、ワンマン運行を行い、途中のサービスエリアなどで2時間程度の長い休憩を取り、そのあいだに運転手はバスの床下や後部に設置された仮眠室で仮眠することがあります。

 また、途中の停留所などで運転手が入れ替わる「乗り継ぎ運行」を行う夜行路線もあり、その代表に首都圏と京阪神を結ぶJRバスの夜行「ドリーム号」(ジェイアールバス関東、西日本ジェイアールバス)が挙げられるでしょう。東名高速 三ヶ日IC(静岡県浜松市)前にあるジェイアールバス関東の東名三ケ日支店などを境に、東半分を同社の運転手が、西半分を西日本ジェイアールバスの運転手が、それぞれワンマン運行します。同区間の昼行便も同様の運行としながら運転手のスケジュールをやりくりすることで、効率的な運行を実現しています。

 このようなさまざまな勤務形態を組み合わせて、高速バス運転手の勤務シフトが決まります。決まり方は会社によって様々です。「5勤2休(5日出勤したら2日休み)」など決まったリズムで休日が回ってくる会社もあれば、月間の休日数が8日間と決められ、前月半ばに翌月のシフトが決まるというような会社もあります。また、高速バスを専任の運転手が担当する会社と、毎日のシフトのなかで、ひとりの運転手が貸切バスや路線バスも含めて担当する会社などにも分かれています。おおむね、路線バスは土休日ダイヤが平日に比べ便数が少なく、逆に高速バスは週末に便数が増えるので、週末には路線バス担当が高速バスに応援で乗務するシフトが組まれる会社も多くあります。

Large 190802 jomu 03海部観光の徳島〜東京線「マイフローラ」車両。運転手は「ツーマン夜行3日仕業」となる(2011年4月、成定竜一撮影)。

 近年、法令違反が常態化していた一部のバス事業者で重大な事故が相次ぎました。その結果、バス運転手の仕事が実際以上に過酷だという印象が広がっています。また、早朝や深夜にかかる勤務シフトが多いことから、長時間拘束というイメージを持たれがちです。

 しかし、運転時間や拘束時間の上限などが法令に定められており、違反が露見するとバス事業者には行政処分も行われます。今後は、行政による監査を徹底するなどして、法令違反をなんとも思わないような悪質な事業者を退出させることが重要です。また、最新の車両技術を活用し運転手の負担を軽減するとともに、国による「働き方改革」の流れに沿って、より効率的な勤務シフト作りなどの工夫が求められています。

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