美容のために、顔の整形手術を受ける人がいます。最近では、10代の若い人が整形手術を受けるケースが増えているようです。
ところで、ネット上では、「顔の整形手術を受けると、老後に顔が崩れる」という内容の情報が流れていますが、本当なのでしょうか。整形手術後も定期的なメンテナンスが必要なのでしょうか。整形手術の注意点などについて、美容外科クリニック「e-clinic(イークリニック)東京院」(東京都港区)の医師・田中里佳さんに聞きました。
加齢によるメンテナンスが必要なケースも
Q.そもそも、持病や体質の関係で顔の整形手術を受けられないケースはあるのでしょうか。
田中さん「あります。糖尿病のほか、全身の血管や皮膚などに炎症が生じる『膠原(こうげん)病』といった持病がある人は、手術の種類によっては受けられない場合があります。また、真皮と呼ばれる皮膚の深い部分で強い炎症が起きる『ケロイド』が生じやすい人は、手術後に傷が残る可能性があるため、手術をお勧めしないことがあります。
ただ、体にあまり負担がかからない手術であれば、持病があっても受けられる場合があるほか、自分がケロイド体質かどうかは、実際に医師の診察を受けないと分からないことが多いため、まずはクリニックに相談してみるのがよいでしょう。
このほか、麻酔や薬などにアレルギーがある人も注意が必要です。クリニックによっては別の方法で対応してくれる場合があるため、医薬品に関するアレルギーは、事前に医師に正確に申告することが大切です」
Q.ネット上では、「顔の整形手術を受けると、老後に顔が崩れる」という情報がありますが、事実でしょうか。
田中さん「顔の整形手術が原因で、老後に顔が崩れるというわけではありません。しかし、整形手術を受けても、その部分が一生老けないわけではないため、加齢に伴い、再度メンテナンスが必要になるケースがあります。そのため、『老後に顔が崩れる』といった情報が流れているのだと思います。
例えば、20歳で二重切開の手術を受けた人でも、30年後には加齢によりまぶたにたるみが出るため、二重の幅が狭くなります。その場合、『眉下切開』などのまぶたのたるみを取る手術が必要となる場合があります」
Q.顔の整形手術を受けた後は定期的なメンテナンスが必要なのでしょうか。
田中さん「手術後、特に異常がなければ、必ずしも定期的なメンテナンスが必要になるわけではありません。例えば、『プロテーゼ』と呼ばれる人工の軟骨を挿入して鼻筋を高くした場合、特に異常がなければ、プロテーゼを取り換える必要はありません。ただ、かなりまれですが、『プロテーゼが飛び出してきた』などの異常があれば取り出す必要があります。
また、しわやたるみを改善する手術の場合、ほうれい線や鼻などにヒアルロン酸を注入したり、皮膚に吸収されるタイプの糸でたるみの箇所を引き上げたりすることがあります。この場合、ヒアルロン酸や糸が吸収された段階で再度注入するなど、定期的なメンテナンスが必要になります」
Q.顔の整形手術を受けた後に副作用が生じる可能性はあるのでしょうか。
田中さん「整形手術は医療行為のため、手術後に副作用が生じる可能性があると言えます。よくある副作用は腫れや内出血ですが、時間とともに症状が改善されていきます。
まれな副作用としては、細菌の感染があります。主な症状としては、治療部位の異常な腫れや赤み、熱感などがあり、悪化すると膿(うみ)が出てきたり、全身から熱が出てきたりします。
手術後の経過観察はきちんと受け、異常を感じたらすぐに担当の医師に相談し、すぐに対応してもらうことで、副作用による最悪の事態を防げます。そのため、手術後のアフターケアをしっかり行うクリニックや医師を選ぶことが大切です」
オトナンサー編集部