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沿線に10年住んでわかった! 中央線の「高円寺」「阿佐ケ谷」「荻窪」を徹底比較、住むならどこ?

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1駅違うだけで全然違う暮らし方

 東京を東西に横切るJR中央線は、住宅街と新宿などの都心を結ぶ人気の路線。近年は恵比寿・目黒やベイエリアなどほかのエリアに人気が移行しつつあるものの、日常にカルチャーが満ちている独自性から、住みたい街として今なお高い人気を誇る地域です。

中央線の線路越しに、荻窪駅の北口を望む(画像:増山かおり)

 今回は、その中でも杉並区にある3つの駅を、「住む」という観点から徹底比較。高円寺界隈に10年在住していた筆者が3駅のメリットを、デメリットも交えつつひいき目抜きにお伝えします。

楽しさ&人とのふれ合い重視なら高円寺

 古着や音楽の街として知られる高円寺。小田急線の下北沢と比較されがちですが、高円寺の最大の特徴は、若い世代のカルチャーが日常生活圏と完全に同居しているということです。

近年最も大きく姿を変えているのが、北口にある「あづま通り」。コーヒースタンドやアンティークショップなどのオシャレな店にもひと癖あるのが高円寺らしい(画像:増山かおり)

 ライブハウスのそばに100g90円を切るような肉が買えるスーパーや肉屋があったり、奇抜なルックスの若者の横をおばあさんが平然と歩いていたりします。四畳半フォーク的なイメージに反して家賃がさほど安いわけではありませんが、安い飲み屋やリサイクルショップ、古本屋などが街のいたるところにあり、とことんお金をかけない暮らしが可能です。

 分類不能なジャンルの店が乱立し、「法に触れる行為でなければOK!」というゆるやかなムードが街じゅうに漂っています。気さくな店主やお客さんが多いため気軽に話しかけられることも多く、ひとり暮らしでも居場所を見つけやすいのもメリット。

 深夜まで開いている店がたくさんあるため、かえって夜道のひとり歩きが安心という利点もあります。人嫌いでさえなければ、居心地のよさや楽しさは3駅の中で圧倒的です。日常に面白みを求めているなら、間違いなく高円寺を選ぶことをおすすめします。

 また、今まではどちらかというと泥臭い印象が強かった高円寺ですが、2015年頃からコーヒースタンドやアンティークショップ、オシャレな食器が買える店などが明らかに増えています。サブカルはちょっと……という人や、西荻窪や吉祥寺は都心から遠いし、と考えている人にもおすすめできる街に深化しているのです。そしてどんなにオシャレな店が増えても、それと同じくらいヘンな店も増えるのが、高円寺の変わらぬ魅力です。

実は最もいいとこ取りの阿佐ケ谷

実は最もいいとこ取りの阿佐ケ谷

 先ほどお伝えしたような高円寺の雰囲気は、阿佐ケ谷に来るとガラリと変わります。個人営業の店が多い点は一緒なのですが、サブカル度が低くなり、より「日常」を感じさせる店が多いのです。駅前には、洋服や生活用品も買える大型の西友が24時間で営業していますし、高円寺にはないスターバックスやTSUTAYAもあります。また、区役所や大型の郵便局が3駅の中で最も利用しやすい立地も見逃せないポイントです。荻窪のほうが規模が大きいため注目されがちですが、潜在的な利便性は阿佐ケ谷に軍配が上がると言っていいでしょう。

小さな飲み屋や飲食店が所狭しと建ち並ぶ北口の商店街「スターロード」には、今もノスタルジックな風景が残る(画像:増山かおり)

 高円寺との大きな違いは、雑貨屋やライブハウスが少なく、店の多くが食材店や飲食店だということ。高円寺が趣味の街なら、阿佐ケ谷は生活の街と言っていいでしょう。日々の食材の買い出しには困りませんし、生活用品をうっかり切らしたときにも遅くまで西友が空いています。

 また高円寺に比べて、大人が落ち着いて飲める店が多いのも特徴。大人数でワイワイやる飲み会ではなく、日々の仕事帰りに一杯やるのに向いた静かな店が多いのです。演劇関係など文化人が飲んでいることが多いというのもうなずけます。

 高円寺と同様、土日には快速が停まらないのですが、そのせいもあって特に土日に混まないというのもメリット。高円寺は休日に買い物に訪れる人がグッと増え街が騒がしくなりますが、阿佐ケ谷は七夕まつりやジャズストリートなど特別なイベントの時期を除き、年中ほどよく穏やかな雰囲気です。

 その一方で、「阿佐ケ谷Loft A」や「よるのひるね」のようにサブカル関連のイベントを行うスポットや、映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」などがランドマーク的に点在し、日常の中に文化があるという中央線らしさもしっかり味わえます。

 このように、便利かつ温かみがあり、しかも騒がしくなく、そのうえカルチャー要素も備えているというほどよいバランス感から、高円寺よりも肌に合うという声もよく聞かれます。一見捉えどころのない街にも見えますが、実はかなりいいとこ取りの街だといえるのです。

「中央線っぽさ」が苦手なら荻窪

「中央線っぽさ」が苦手なら荻窪

 荻窪は、中央線(中野〜吉祥寺あたりの、いわゆるザ・中央線)の駅の中ではちょっと特殊な立ち位置にいます。ロック、ヒッピー文化、アジア……といった中央線のサブカルイメージが、荻窪にはほとんど見られないのです。

大きな施設に埋もれがちだが、「北口駅前通商店街」のようなレトロな飲食店街もある。また、駅のそばにバッティングセンターやボウリング場があるのも3駅の中では荻窪だけの特徴だ(画像:増山かおり)

 サブカルスポットの代わりに、駅から少し離れると高級住宅街が並び、家賃や飲食店の平均単価もやや高め。そんなところから、「中央線っぽくない!」という声が時おり聞かれるのも事実です。従って、荻窪だけは従来の中央線カルチャーからいったん切り離して捉えたほうが魅力が見えてきます。

 まずわかりやすいのが利便性。高円寺や阿佐ケ谷と違って、土日も含め毎日中央線快速が停車しますし、丸ノ内線の始発駅ともなっています。通勤・通学で混み合う朝も確実に座って目的地に向かえますし、駅前には「タウンセブン」や「ルミネ」などの大型商業施設や、「ユニクロ」、「洋服の青山」などの各種チェーン店も完備。新宿まで行かずともたいていのことは荻窪内でまかなえます。

 また、食のレベルが高いのも特徴です。お酒を伴う外食の平均予算は高円寺や阿佐ケ谷に比べひとり1000円程度高くなるイメージですが、接待や大人のデートにも利用しやすいイタリアンや和食などの高級店があるのが大きな特徴です。その一方でラーメン店や町中華などカジュアルな店も揃っており、外食を充実させたい人には荻窪が向いていると言えるでしょう。

 また、近衛文麿が最期を遂げた邸宅「荻外荘(てきがいそう)」や、回遊式日本庭園のある「大田黒公園」、洋間を取り入れた住宅の先駆け「西郊ロッヂング」など、歴史や緑を感じられるスポットが多いのも荻窪ならでは。ごちゃごちゃしがちな中央線沿線の中でなにかと広々とした空間を感じやすく、知的な文化の香りやリラックスした日常を求める人には荻窪がベストです。

 そのため、家は荻窪に置きつつ、休日や仕事帰りの時間は阿佐ケ谷や高円寺で過ごすというライフスタイルもおすすめします。自転車があれば阿佐ケ谷や高円寺は散歩のノリで出かけられる距離です。また、西荻窪や吉祥寺さえもご近所圏内に入ってきます。一見刺激が少なく物足りなく思えるかもしれませんが、3駅の中で最も賢い選択といえるかもしれません。

 このように、高円寺・阿佐ケ谷・荻窪の3駅は地図で見ただけではわからない驚くほどの違いがあります。家賃や駅からの距離だけでなく、暮らしに何を求めているか自己分析して街を選べば、確実に暮らしの充実度が変わるはずです。

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