ヘアスタイルを変えるときに髪を染めるかどうか迷ったことがある人は多いと思います。例えば、黒髪が似合う人もいれば、髪を染めた方が似合う人もいますが、両者は何が違うのでしょうか。また、職場の規則で髪を染めることができない場合、黒髪をおしゃれに見せるにはどうしたらよいのでしょうか。見直すべきポイントやお勧めの髪形などについて、美容院「Grace Avenue」(東京都港区)サロンマネジャーで美容師の原木佳祐さんに教えていただきました。
マッシュルームヘアはやぼったい印象に
Q.まず黒髪が似合う人、髪を染めた方が似合う人の違いについて、教えてください。
原木さん「まず瞳の色が一つの判断ポイントになります。黒髪が似合う人の多くは瞳の虹彩(瞳孔の周囲)が黒に近い印象です。逆に、染めた方が似合う人は虹彩が明るく、ベージュやブラウンといった色です。カラーコンタクトを着用したことがある人はすでに経験があるとは思いますが、瞳の明るさや色味は少なからず髪色に影響します。
また、顔の形で言うと色彩心理学では、目や鼻、口などのパーツの大きさは色の彩度(濃淡)に比例するといわれています。つまり、顔のパーツがはっきりしている人は黒髪が似合う傾向が強く、顔のパーツが柔らかい印象の人は染めた方が似合うとされています。体感的にもこの理論は当てはまっていると思います。
体形でいえば、黒は引き締まって見える効果がある一方で、明るい色は膨張色と言われていますが、『痩せて見える=似合っている』とは必ずしも言い切れません。それ以上に、ご自身の肌や瞳の色に合わせてあげた方が似合いますよ」
Q.では黒髪が似合わないと感じている人がおしゃれに見せたい場合、どうすればよいのでしょうか。見直すべきポイントはありますか。
原木さん「簡単な方法としては、ヘアアイロンを使ってアレンジしたり、ヘアアクセサリーで髪を華やかにしたりするのがお勧めです。そういった手間をかけたくない人は、髪質できれいさを全面に出していくのも一つの方法です。
おしゃれに見せたり、あか抜けた印象を与えたりするには、髪の色や長さ、形がポイントになります。職場の規定で染めるのが難しい場合は、長さや形をご自身の魅力が引き立つように近づけることが重要です。
例えば、髪は装飾の一部なので、長すぎると身長が低く見えたり、全体のバランスが悪く映ったりします。ネックレスもロングネックレスが似合う人ばかりではありませんよね。結んでいる方が似合っていると思ったら結んだり、自分に似合う長さに切ったりするのもお勧めです。逆に短すぎると髪は扱いやすくても洋服が似合わなくなったり、バランスが取りにくくなったりします。
今は自分にどんな髪形が似合うかを知ることができるパーソナルカラー診断や骨格診断、顔タイプ診断があります。髪を染められない場合でも、長さや形を理想に寄せるだけでも十分すてきに見えますよ」
Q.黒髪がおしゃれに見える髪形、黒髪がやぼったく見えてしまう髪形について、それぞれ教えてください。
原木さん「黒髪がおしゃれに見える髪形は、ワンレングスのボブやロングのストレートヘアです。黒という色が鋭さやシャープな印象を与えます。その魅力が生きるのが、直線的なカットのワンレングススタイルです。もちろんそれ以外の髪形が合わないわけではありませんが、黒髪が際立つ髪形としてお勧めです。
逆に黒髪がやぼったく見える髪形は、丸みが協調されるマッシュルームヘアです。個性的に見える反面、曲線的な要素が黒髪の印象に反して、やぼったく見える傾向があります。
また、黒髪は重さや質量を最も印象づけます。癖で広がったり、毛量が増え過ぎたりすると、ワンレングスであってもやぼったく見えてしまいます。そのため、縮毛矯正やストレートパーマ、髪質改善など他の施術が必要な場合もあるのでご注意ください」
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似合う髪色は、瞳や肌の色で決まることが分かりました。また、何らかの理由で髪を染められない場合であっても、さまざまな診断ツールを使って似合う髪形を知ることができるので、髪形だけでもそれに近づけてみるとよいかも知れません。いずれにしても、美容師に一度相談してみるとよいでしょう。
オトナンサー編集部