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河井克行被告が弁護人解任、繰り返せば裁判を開けない? 期間延長に問題は?

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河井克行被告(2020年1月、時事)、河井案里被告(2019年8月、同)

河井克行被告(2020年1月、時事)、河井案里被告(2019年8月、同)

 公職選挙法違反(買収など)の罪で起訴され、東京地裁で公判中の河井克行被告(元法相、衆院議員)=自民党を離党=が9月15日、6人の弁護人全員を解任したとの報道がありました。保釈請求が認められなかったことが不満だったようですが、全員の解任によって公判の遅れが懸念されます。

 今後、新たな弁護人を選任したとしても、その後も解任、選任を繰り返せば、大幅に公判が遅れ、河井被告は衆院議員の地位にあり続けるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

「弁護人は必須」が原則だが…

Q.裁判で、弁護人が必ずつかなければいけない理由を教えてください。

佐藤さん「刑事訴訟法289条1項は『死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない』と定めており、そのほか、『公判前整理手続きまたは期日間整理手続きに付された事件』(同法316条の29)なども、弁護人がなければ開廷できないとされています。

こうした刑事裁判で、弁護人が必ずつかなければならないとされているのは『公平な裁判』を実現するためです。被告は必ずしも法律に詳しいわけではなく、身柄拘束されている場合もあり、たった1人で国家権力(検察)に対抗し、十分な主張をしていくことは困難です。そのため、法律では軽い事件を除いて、必ず弁護人をつけることにしています。

法律の専門家である弁護人は裁判において、法的に被告の言い分を十分主張し、冤罪(えんざい)を防いだり、被告の責任の重さが適切に刑罰に反映されたりするよう活動します。今回の事件で、河井克行被告は選挙運動の『総括主宰者』として起訴されており、刑が加重され懲役・禁錮の上限が4年となるため、この事件は刑事訴訟法289条1項が定める裁判に該当します。

なお、必ず弁護人がつかなければいけない事件でなくても、弁護人がいない場合、裁判所は必要と認めれば、職権で弁護人をつけることができるため(同法37条5号)、実際には多くの事件で弁護人がついています」

Q.弁護人が不在となり、新たな弁護人がなかなか選任されない場合、裁判所は催促をしたり、弁護人を指名したりできるのでしょうか。

佐藤さん「弁護人がなければ開廷できない事件について、弁護人が不在となったとき、裁判長は自らの権限で弁護人をつけなければなりません(刑事訴訟法289条2項)。いわゆる国選弁護人です。また、弁護人が出頭しない恐れがあるときも、裁判所は弁護人をつけることができるとされています(同289条3項)。今回の河井被告のケースでも、河井被告が新たな私選弁護人の選任をずっとしないままの場合、裁判所が弁護人をつけることになります」

Q.被告は何度でも、弁護人の選任、解任を繰り返せるのでしょうか。

佐藤さん「被告が自分で選んだ弁護人(私選弁護人)であれば、選任、解任を自由に行うことができます。

一方、裁判所が選んだ弁護人(国選弁護人)は裁判所でなければ解任することができません。そのため、被告が国選弁護人を解任したい場合は、裁判所に対して『解任請求』をすることになります。刑事訴訟法38条の3には、裁判所が国選弁護人を解任できる場合が定められており、解任請求が認められるのは、被告が私選弁護人を選任し、国選弁護人をつけておく必要がなくなった場合などに限られています」

Q.弁護人の選任、解任を繰り返した実例はありますか。そのような場合、裁判所は裁判を進めるための何らかの対応ができるのでしょうか。

佐藤さん「弁護人の選任や解任を繰り返した事例はわずかながら実在します。『暴力行為等処罰に関する法律』違反などを問う裁判で、一審の大津地裁での審理が1969年4月に始まり、最高裁が1995年3月27日に上告棄却を決定するまで、26年近くかかった裁判です。

一審では、国選弁護人に対し、裁判期日に出頭しないよう被告が要求し、裁判所に対して弁護人の解任請求をしました。このようにして、一審の段階で、国選弁護人の選任と解任が繰り返され、延べ8人の国選弁護人が審理に関与することになりました。その後の控訴審や差し戻し審でも、弁護人やその家族に対して、被告が数時間にわたり法廷に出ないよう脅迫するなどし、国選弁護人の選任や辞任、私選弁護人の選任や辞任が繰り返されました。

この間、裁判所は弁護人に対し、再三の出頭要請を行うとともに、刑事訴訟法規則に基づき、地域の弁護士会に働き掛け、会の推薦を受けた上で、弁護士会会長を含む弁護士を国選弁護人として選任するなどしました。しかし、被告の妨害により、いずれの弁護人も公判期日に出頭しなくなってしまいました。

この事例において、最高裁判所は『裁判所が弁護人出頭確保のための方策を尽くしたにもかかわらず、被告が、弁護人が在廷しての公判審理ができない事態を生じさせ、かつ、その事態を解消することが極めて困難な場合』には、『弁護人がなければ開廷することができない』と定めた法律(刑事訴訟法289条1項)の適用をなくすと判断しました。

このような事態は、被告の防御の利益を守り、適正かつ迅速に裁判を実現することを目的とする刑事訴訟法が本来想定していない状態だからです。従って、弁護人の選任と解任が繰り返され、審理が阻止されてしまい、弁護人の立ち会いのもとに裁判を開くことが事実上不可能になったような特殊なケースでは、弁護人の立ち会いのないまま、裁判所が審理を進めることもあり得ます」

解任で裁判期間が延びたら…

Q.弁護人の全員解任によって裁判期間が延びることが、有罪になった場合の量刑に影響する可能性はあるのでしょうか。また、裁判を遅延させること自体は罪にはならないのですか。

佐藤さん「迅速に進めるべき裁判において、証拠調べが進んでいる段階で弁護人を全員解任するというのは、裁判の遅延につながるため、感心できる方法とはいえないでしょう。しかし、私選弁護人との信頼関係が崩れれば、被告はいつでも弁護人を解任することができるのですから、弁護人を解任したからといって、量刑で不利に扱われることはありません。

また、被告本人が裁判に出頭しないなど裁判を遅延させた場合でも、それ自体を罪と定めた法律はないため、罪に問われません」

Q.河井被告の裁判は、同じく公選法違反の罪で起訴されている妻の河井案里被告(参院議員)=自民党を離党=が初当選した2019年7月の参院選を巡る買収事件についてです。公選法違反に関わっており、「百日裁判」ということですが、百日裁判の概要とその裁判が遅れることの問題点を教えてください。

佐藤さん「公職選挙法は連座制などの適用が想定される選挙犯罪に関する刑事事件について、訴訟の判決は『事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない』と定めており(253条の2第1項)、『百日裁判』と呼ばれています。百日裁判の場合、裁判所は起訴から30日以内に初公判を開き、その後は1週間に1回以上期日を入れることになります(253条の2第2項)。

このように、百日裁判では、審理を迅速に進めることが求められますが、『100日以内の判決』は努力目標であり、実際には、100日を過ぎて判決がなされることもあります。選挙犯罪に関する裁判が長引くと、当選した候補者の任期中に結論が出ず、連座制(候補者と一定の関係にある者が買収などの違反をすれば、候補者本人が関わっていなくても、当選が無効となり、同一選挙区から5年間立候補できなくなる制度)の厳しい効果が失われるという問題点があります。

また、選挙の結果がなかなか確定しないことも問題でしょう」

オトナンサー編集部

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