サッカー⽇本代表キャプテンの遠藤航選手が、親⼦向けの留学⽀援プロジェクト「SEKAI NI WATARU PROJECT」を⽴ち上げ、6⽉17⽇に都内で発表会が実施されました。さまざまな分野で世界に挑戦する子どもたちをサポートする本プロジェクト。発表会には遠藤選手が登壇し、本プロジェクトにかける想いなどを語りました。
子ども一人一人の最適解を考えて設計する留学支援プロジェクト
「SEKAI NI WATARU PROJECT」は、約1年間の育成+最低数週間の海外単身留学によって、子どもの成長機会を提供する奨学金プログラム。
留学の成果を最⼤化するため、留学前に約1年間の育成期間を設けていることが最大の特徴のひとつです。さまざまな分野で情熱を持つ子どもたちと対話を繰り返し、子どもたち一人一人の最適解を共に考え、最適な渡航先を個別に設計します。
本プログラムでは遠藤選手の体験と思考哲学をベースに開発した育成サポートプログラムを活⽤。また、⼦どもだけでなく保護者を学びのパートナーと位置づけ、効果的なコーチング方法などのワークショップを定期的に実施していく保護者プログラムを用意している点も特徴です。
募集対象は神経伝達系の発達が最も進むと⾔われ、その後の⼦どもの成⻑に重要な時期とされるゴールデンエイジ期(9 歳〜12 歳)を含む、7〜12歳の子どもたち。募集後のセレクションでは、子どもの「なぜ」という問いの深さ、挑戦の意欲と情熱、保護者の成長へのコミットメントなどのポイントを重視して選考を進めるとのことです。
さらに特別な枠を設けることで、被災地域や過疎地域の子どもたち、経済的な困難など、厳しい環境に直面している家庭を積極的に支援。経済的な理由や環境的な理由で夢を諦める子どもがいない社会を目指します。
発表会の冒頭、遠藤選手は本プロジェクトを発足した理由について次のように紹介しました。
「自分が父親になって子育てをするようになり、父がどんなふうに自分に接していたのか感じられるようになりました。子どもの頃の僕は土日・休日によく父親とサッカーしていましたが、それは僕にとって本当に素晴らしい経験になっており、父親の考え方や子育ての思いを、全国の子どもたちや親御さんに伝えていければと思います。
また、僕は25歳でベルギー、ドイツ、今はイギリスでプレーしていますが、とくにイギリスなどは社会貢献活動が活発なことに感銘を受けたことも、今回のプロジェクト発足の2つ目の理由となっています」
続いて、遠藤選手は本プロジェクトを発足させた一番の理由として、鹿児島県・沖永良部島の子どもたちとサッカーをした経験を紹介。子どもたちのサッカーに対する純粋な姿勢に感銘を受けたと語りました。
「実際にサッカーがとても上手な子も多かったんですが、離島ということもあって、さまざまなチャレンジをしたくても難しい環境でもあり、そうした子どもたちにいろんなサポートができればなと考えました。海外での経験を通じ、さまざま将来の選択肢を提供していきたいです」
7つの柱に基づく“自考流”育成サポートプログラム
遠藤航選手の経験と哲学、そして国内外の専門家の知見を基に構築した7つの柱に基づく、新たな探究型の教育プログラムをつくり上げ、レッスンや講演等を通じて約1年間の“自考流”育成を行う本プロジェクト。
一般社団法人によって継続的に運営できる体制が構築されており、子どもたちが自ら問いを持ち、考え抜く力の育成が主眼に置かれています。
「子育てにおいてもサッカーにおいても正解というものはなく、ひとつの正解にこだわりすぎてしまうと、なかなかうまくいかないことが多いと僕は感じています。サッカー選手としても一人の父親としても、僕が常に大切にしているのは正解ではなく、“自考流”という自ら深く考え抜き、その都度、自分にとって“最適解”を見出す思考力です。ぜひこのプロジェクトを成功させ、世界で活躍する日本人が増えてほしいと思います」
潮田玲子さんとのトークセッションも実施
発表会では元バドミントン⽇本代表選⼿の潮⽥玲⼦さんをゲストに迎えたトークセッションも実施されました。
潮田さんは現在、7歳と9歳の2人の子どもの母という立場から、「もちろん、自分の子どもにも積極的に世界で挑戦してほしいという想いはあるんですが、母親の目線だととても心配(笑)。なので、事前に1年間かけてしっかりと準備してくださるのは安心ですし、メンタル面も含めて保護者の方々のサポートも用意されているのは、とても心強いなと思いました」とコメント。
その後、練習方法から進路に至るまで口出しをせずに自分で決めさせる遠藤さんパパの教育方針に話題が移ると、
「私の両親も見守る姿勢でした。いま自分が親になって、“無言のサポート”がどれだけすごいことか、痛感しています。強制されるようなことは一度もなくて、自分が迷っている時にはそっと挑戦する背中を押してくれるというスタンスだったんですが、そんな両親のありがたさを今はすごく感じますね」と語ってくれました。
子どもとのコミュニケーションを大切にしながら一緒に成長していきたい
発表会後にはマイナビ子育て編集部の個別インタビューにも答えてくれました。
遠藤さん自身のゴールデンエイジ期に当たる年齢の思い出について尋ねると、「よく遊んでいましたね。もちろんサッカーも習っていましたし、水泳もやったり、土日も父親と野球やったりサッカーやったり、いろんなスポーツをやっていて、けっこう活発な子どもでした」とコメント。
また、「父親の立場になって、自分の父のこともリスペクトするようになりました。普段の接し方はそこまで大きくは変わっていないですけど、子どもの頃、全く不自由なく生活していたので、自分が父親になることによって、こんなこともしていた親ってすごいという感覚にはなりました。そういうことを学べたことはすごくよかったです」と語ってくれました。
最後に、チャレンジすることに不安を感じている子どもや保護者に向けて、メッセージを送ってくれました。
「子育ては本当に難しくていろいろ悩むこともあると思います。兄弟姉妹でも一人一人全く違うし、それぞれの最適解があると思うので。ポジティブに子どもとのコミュニケーションを楽しみながら、一緒に成長していけたらいいのかなと。私も父親として一緒に成長していきたいです」
「SEKAI NI WATARU PROJECT」は6 ⽉17 ⽇よりセレクション参加希望の募集を開始しています。
(取材・文:伊藤綾)