特急「すずらん」は、途中の東室蘭から終点の室蘭まで、普通列車として運行されていました。それが2024年春から、終点の室蘭まで特急となります。なぜこのような変化をするに至ったのでしょうか。
特急車両に普通運賃だけで乗れたケースが
札幌と室蘭をむすぶ特急「すずらん」(画像:写真AC)。
JR北海道は2024年春から、札幌~室蘭で運行される特急「すずらん」について、全車指定席化するとともに「東室蘭~室蘭は普通列車として運転」という特殊な運行形態をやめるとしています。
この特殊な運行形態のおかげで、東室蘭~室蘭では普通運賃で特急に乗ることができます。「青春18きっぷ」「北海道・東日本パス」など普通車乗り放題きっぷでも乗れるので、ファンにはお得な存在です。それを無くし、札幌から室蘭まで丸ごと特急列車として運転する理由は何なのでしょうか。
JR北海道は「特急としての行先を正式に『室蘭』としたかったのです」と話します。
これまで、あくまで特急「すずらん」のとしての終着駅は東室蘭駅でした。車両や駅案内板の行先は「室蘭」と書いてあるものの、各種の案内では「東室蘭行き」となっているものが見られます。しかしその情報を見た利用者にとっては「室蘭には行かないのか?」と混乱を招いていたそうです。実際はそのまま乗り続けていれば室蘭駅まで行けるのですが、この状況を解消するため、全線特急で運行して「特急・室蘭行き」を堂々と名乗れるようにしたといいます。
なお、今回あらたに特例が追加され、「東室蘭~室蘭間だけ乗る場合は、これまでと同じく普通運賃だけで乗車が可能(空席があれば着席可)」とされます。さらに、特急を名乗りながら、途中にある母恋・御崎・輪西の3駅には引き続き停車します。
つまり、これからも「すずらん」は、特急と地域利用を兼ねた列車として使われるのです。現場では、ほとんど変化は無いと言えるでしょう。
ただ、普通運賃で乗れるとはいえ、あくまで「特急すずらん」に格上げされる以上、東室蘭~室蘭は「青春18きっぷ」の乗車は不可となってしまうのでしょうか。
青春18きっぷには、いくつかの区間で特急に乗れる特例が存在します。特急しか走っていない石勝線の新夕張~新得や佐世保線の早岐~佐世保など、全国に数例あり、18きっぷとあわせて発行されるルール紙片にも明記されています。ここに「東室蘭~室蘭」も追加されることになるのかとJR北海道に聞いたところ、「まだ調整中で、発表できるものはありません」との回答でした。