駅のエレベーターに「優先レーン」を設ける取り組みを東京メトロが開始。話を聞くと、エレベーターを必要としている人がないがしろにされる状況が見えてきました。従来から「心のバリアフリー」が訴えられていますが、ただの掲示では解消されない問題があります。
エレベーターに“優先レーン”が必要なワケ
東京メトロが駅のエレベーターに「優先レーン」を試験設置、2023年11月16日(木)から表参道駅と明治神宮前駅の一部エレベーターにて、運用を始めました。
東京メトロの駅エレベーターと優先レーンの掲示イメージ(画像:東京メトロ/乗りものニュース編集部)。
優先レーンの掲示には、「お並びのお客様がいらっしゃるときはお譲りいただきますようご協力をお願いいたします」と書かれています。
ここで優先される人として、車いすの人や高齢者、けが人、妊婦、子連れやベビーカー利用者、身体内部に障害がある人などが明示されています。東京メトロは、こうした人に「優先的に利用してもらうことが最大の目的」と話します。「もともとエレベーターは平等ですが、場所によっては、こうした方々がなかなか利用できない場面がありました」とのこと。
たとえば、車いすの人が並んでいてスペースがなく乗れない場合、空いているスペースに健常者が次々と入り、車いすの人が取り残されるようなケースがあるといいます。「今までも、譲り合いに協力いただいきたいという掲示はしていましたが、より明確化」したということです。
車いすの人はエレベーターを利用するしかありません。こうした人が利用できない課題について、東京メトロは「社員からも、お客様からもお声があり検討していたなかで、取り組みを始めることになった」と話します。
国土交通省や鉄道事業者はかねて、バリアフリー推進のためには相互理解が重要として、「心のバリアフリー」を啓発し、それにまつわるポスターなどをエレベーターなどに掲出しています。しかし、その掲示・啓発だけでは理解につながりにくいケースもあるのかもしれません。