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自閉症で重度知的障害の息子は入園願書ももらえず…障害児は問題児じゃない、理解ある社会へ

オトナンサー

ライフ・美容

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「見えない壁」とは?(写真はイメージ)
「見えない壁」とは?(写真はイメージ)

 保育園の入所者枠がいっぱいで、なかなか入れないという話をよく聞きますが「幼稚園になかなか入れない」事実もあることをご存じでしょうか。入園希望者が多くて入れないわけではありません。「発達の遅れがある」「障害がある」という理由で、幼稚園に受け入れてもらえない子どもがいるのです。

 12月3日から9日は「障害者週間」です。知的障害がある7歳の息子を育てる筆者が、実際に体験したことをお話しします。

「息子が拒絶された」現実

 2017年10月、筆者は東京都内の、ある幼稚園の園庭にいました。息子の入園を希望し、願書を受け取りに行ったのです。しかし、対応した先生から、入園願書の配布を拒否されました。入園の拒否ではありません。入園の手続きを踏むための書類を渡すことを拒否されたのです。先生の言葉は次のようなものでした。

「息子さんのような子を受け入れたことがないので、どうしたらいいか分かりません」

「うちは少人数で、一人一人をしっかり見ると言っていますが、教員が多くないため、実際は難しいです」

「どうしても、幼稚園じゃないとダメなんですか」

 これらの言葉とともに突きつけられた「息子が拒絶された」という事実は今でも、忘れられない苦い思い出です。筆者の息子は自閉症で、重い知的障害があります。7歳の今でも、言葉を発することができません。しかし、入園願書さえもらえないとは当時は想像もしませんでした。

目の当たりにした「差別」

 時間を息子が生まれた頃に戻します。今でこそ、障害があると分かった息子ですが、妊娠中や赤ちゃんの頃、発達の遅れの可能性を指摘されたことは一度もありませんでした。しかし、1歳を過ぎた頃から、徐々に発達の遅れが目立ってきたのです。息子は1歳のときから、入園前の子どもが親と一緒にお試しで幼稚園に通う、いわゆる「プレ幼稚園」に通っていました。

 筆者は息子の発達に不安があったので、集団生活に慣れさせるため、早い時期から、全部で3つのプレ幼稚園に通わせました。さらに、児童発達支援センターなどに通って療育も受けさせ、息子の発達を促すためにできる限りのことをしました。しかし、それでも、息子と他の子どもたちとの差はどんどん目立っていき、その差が埋まることはなかったのです。

 時は過ぎ、次年度の幼稚園入園のために入園願書が配布される時期になりました。夫と話し合い、これまで何度も足を運び、最も息子に合っていると思った幼稚園に願書をもらいに行きました。それが冒頭で紹介した園です。当日の状況をもう少し詳しくお話しします。

 願書配布の日、筆者が「入園願書を下さい」と主任の先生に言うと、先生は急に神妙な顔をし始めたのです。そして、唐突に「お子さんの障害とは、どのようなものですか」と聞いてきました。筆者と息子はこの先生と初対面ではありません。これまで何度も幼稚園を訪れ、息子の発達の遅れについて話をしてきたので、「どうして、またこんなことを聞くのだろう」と戸惑いました。

 そして、息子は言葉は発しないけれど、おとなしい性格で他害行為や多動の傾向はないこと、身体的には健康で脳をMRIで検査しても問題はなく、聴力も検査済みということを説明しました。すると、先生は何の脈絡もなく、「他の園を受けた方がいいのではないでしょうか」と提案してきたのです。筆者が何と返しても執拗(しつよう)に「他の園を見てきたら?」と繰り返しました。

 重苦しい空気の中、幼稚園側の「絶対にこの子を受け入れたくないけど、はっきりと拒絶して悪者になりたくはない」という意向が伝わってきました。障害がある息子を落とせば、「差別的な幼稚園」と言われかねないから、「入園はお断りです」と園側から言うことはせずに、私たちが自ら去ることを望んでいたのでしょう。

「落としてくれてもいいから、受けさせてほしい」とも言ってみましたが、先生はひどく困った顔をして、「でもねえ…」とつぶやくだけでした。「息子のような子どもは受け入れたくない」「厄介ごとを抱え込みたくない」と思っているのが分かりました。とても耐えられず、その場を後にしました。

 ところが、その直後、筆者の背後で、その主任の先生が次に来た他の親子に満面の笑みを浮かべて、すんなり願書を渡しているのが見えたのです。とめどなく涙があふれ、もう振り返ることはできませんでした。筆者と息子がいるのは世間から隔離された異次元のような場所で、周りの人との間には、目には見えないけれど分厚い「壁」がある…。

 どう頑張っても、壁の向こう側に私たちは行けないのだとそのとき思い、がくぜんとしました。

「よく来てくれましたね」

 当時、自宅から通える範囲にある幼稚園は全部で5カ所ありました。その全てに足を運び、息子を受け入れてくれないか相談しましたが、全ての幼稚園から言葉を濁されました。息子の発達の遅れを話すと、園内を見せることすらしてくれない園もありました。中には「受け入れますよ」と言ってくれる園もありましたが「一切、特別扱いはしない」と念を押されました。

 障害があると、どうして、こんなに居場所を得られないのかと悔しくてたまりませんでしたが、嘆いていても誰も助けてはくれません。東京中の地域を視野に入れて、都内の数十カ所の幼稚園や役所、相談機関に電話をしました。「どこかに息子を迎え入れてくれる幼稚園はあるはずだ」と信じて、ひたすら動いたのです。

 そして、やっと出会いました。息子を拒絶するどころか、大歓迎で迎え入れてくれる幼稚園と先生に。初めて、その幼稚園に行ったとき、園長先生は満面の笑みを浮かべて、こう言ってくださったのです。

「よく来てくれましたね」

 その言葉に涙があふれました。入園願書を渡すことさえ拒否されたときの涙とは違います。今度はうれしさと安堵(あんど)からの涙です。息子には加配(障害のある子どもに対応するため、追加で人員を配置する制度)の先生がつくことになり、翌年春、ようやく、幼稚園に入園できました。筆者の家族は息子の入園のためだけに、その幼稚園のある地域に引っ越したのです。

 先生たちの手厚いサポートを受け、息子は楽しい幼稚園生活を送り、並行して、療育の施設にも通いました。地域のたくさんの人たちに支えられて、筆者と息子はやっと、「居場所」を手に入れたのです。

「障害児」は「問題児」ではない

 こうして、わが家は引っ越しまでしてようやく、居場所を手に入れました。しかし、本来は地域や障害の有無にかかわらず、誰もが安心して過ごせる居場所を得られるべきですし、自由に通園先や通学先の選択ができる世の中であってほしいと思います。発達の遅れや障害があるというだけで、入園前からひとくくりに「厄介ごと」「問題児」として切り捨てられるのは、あまりに理不尽だと思うのです。

 最近では「インクルーシブ(障害の有無などにかかわらず、あらゆる立場の人を社会の構成員として受け入れる理念)」という言葉が広まり、共に生きる社会に向けての理解が進んでいる面もありますが、間接的に地域から障害者を排除している事例はまだ、多いのではないでしょうか。

「障害児」は障害があるというだけで「問題児」ではありません。息子は引っ越し先の幼稚園で、卒園まで、一度も問題を起こしたことはありませんでした。先生からも友達からも他の保護者たちからも、とてもかわいがられて育ちました。だから思うのです。

「障害児」を「問題児」にしてしまうのは合理的配慮のない環境と、周囲の無理解ではないのかと。障害がある子どもがどこにいても、地域から受け入れられる社会であってほしいと思います。どんな親子も笑顔で毎日を過ごせるように願ってやみません。

ライター、イラストレーター べっこうあめアマミ

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