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消息を絶ったホームレス区長候補者を探す選挙のない暑い夏

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消息を絶ったホームレス区長候補者を探す選挙のない暑い夏
消息を絶ったホームレス区長候補者を探す選挙のない暑い夏
畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」小池都知事の再選で終わった7月の東京都知事選挙から約1カ月半。史上最多22名の立候補者たちはどんな夏を送っているのだろう。(撮影/畠山理仁)小池都知事の再選で終わった7月の東京都知事選挙から約1カ月半。史上最多22名の立候補者たちはどんな夏を送っているのだろう。(撮影/畠山理仁)

「選挙ロス」期間を救ってくれる元候補者たち

 選挙が終わると自分から候補者に連絡を取る機会は激減する。選挙中は一日に何度も連絡を取っていたものが、いきなり「ほぼゼロ」になる。だから私の心にはぽっかりと大きな穴が空き、強烈な寂しさを感じる。私はこれを「選挙ロス」と呼んでいる。
 選挙の候補者には本当に個性的な人が多い。旧知の人もいれば、新しく挑戦を始めた人もいる。とくに私は一人で取材をするため、直接、すべての候補者と対峙する。だから連絡の頻度が減る選挙後は、当然、寂しくなる。

 選挙に出る人は、もともとエネルギーあふれる人が多い。誰もが社会や有権者に対して伝えたいことを持っている。自分自身の中でとどめておくことができず、次から次へと外にあふれ出る。だから選挙が終わった後も、元候補者たちは気軽に私に連絡を取り、「熱い思い」を伝えてくれる。これが「選挙ロス」期間中の私を救ってくれている。

 もう20年以上の付き合いになる候補者からは、時々、思い出したように大量のファクスが送られてくる。
 現在の政治に対する思いを、一日20通以上ものEメールで送ってくれる人もいる。
 毎日、丁寧に封書で資料付きの手紙を送ってくれる人もいる。
 ちょっとした相談で私に電話をくれる人もいれば、LINEで近況報告をくれる人もいる。
「次の選挙の供託金を寄付してくれないか」
「供託金を貸してもらえないだろうか」
「今から会って話せませんか」
 そんな相談が突然来る。そうかと思えば、
「今日、立候補を届け出ました」
 と事後報告が入ることもある。

 断っておくが、これらはすべて違う人だ。
 世の中には、政治に対する熱い思いを持ち続ける人たちがいる。それが一人ではないことを、みなさんにもぜひ知ってもらいたい。

台東区長選挙に出続けるホームレス路上演奏家を覚えていますか?

 私は今のところ、元候補者たちのエネルギーを一人で受け止めている。私が選挙権を持たない地域の元候補者からも連絡が来る。時々、「なぜ私に?」と思うこともある。
 しかし、元候補者たちと話しているとよくわかる。元候補者たちは「政治の話を誰にしたらいいのか」と迷っているのだ。
 政治の話を堂々とする人はまだまだ少ない。だから他人に迷惑をかけてはいけないと思っている。そこで、記者である私なら大丈夫だろうと、思いの丈をぶつけてくれている。

 みなさんは連載第3回で取り上げたホームレス路上演奏家の武田完兵氏を覚えているだろうか。自宅を追われ、ホームレスになっても選挙に立候補している路上演奏家だ。

 武田は選挙の後も継続して私に手紙を送ってくれている。武田は自宅を失い、携帯電話などの連絡手段も持っていない。そのためこちらから連絡を取ることは難しいが、折に触れて消息を知らせてくれている。
 武田がホームレスになったのは2018年10月。私が武田をこの連載で取り上げた2019年12月の段階では、武田の荷物はまだ「元自宅」の前に積まれていた。しばらくはそこに行けば武田に会うことができた。

 ところがその後、武田は元自宅前に置いていた荷物や自転車も撤去しなければならなくなった。自宅の立ち退きをめぐる裁判に負けてしまったからだ。
 そこから武田と連絡を取ることは極めて難しくなった。知人から「JR浅草橋駅で武田がキーボードを弾いていた」という目撃情報が寄せられたときには「会えるのは今しかない」と思って現地に向かい、武田を探した。
 寒い冬の夜だった。武田はJR浅草橋駅近くの歩道に自転車と大荷物を置き、単一電池六本で動くキーボードの前に座っていた。
 武田はサンタクロースのような立派な白いひげをたくわえた風貌をしている。私が声をかけると、武田は大切にしているキーボードで軽やかに「ジングルベル」を弾いてくれた。

4月から武田の手紙が届かなくなった……

 それから8カ月が経った今年8月上旬。私は別の知人から「武田完兵さんは今どうしているんですか?」と尋ねられた。
 あっ、と思った。そういえば、武田から手紙が届いたのは4月が最後だ。しかし、こちらから連絡を取ろうにも手段がない。
 私はすぐに武田の元自宅跡を訪ねてみた。更地となった自宅跡にはアスファルトが敷かれ、駐車場になっていた。以前はその前の私道に置かれていた武田の荷物もきれいに片付けられていた。

 武田はどこへ行ったのか。

 昨年末、武田が路上演奏をしていた場所も訪ねてみた。しかし、そこには「駐輪禁止」と書かれたバリケードが厳重に設置されており、武田の荷物も姿も見つけられなかった。

以前、武田がいた場所は立ち入り禁止になっていた。(撮影/畠山理仁)以前、武田がいた場所は立ち入り禁止になっていた。(撮影/畠山理仁)

 なにか他に手がかりはないか。そう思ってSNSを検索すると、武田による路上占拠を厳しく糾弾する人物の書き込みを見つけた。その人物の情報によると、武田は何度も警察に通報され、今年1月下旬に荷物ごと移動させられたようだった。
 以前、私に武田の目撃情報を教えてくれた知人にも聞いてみた。

「そういえば最近、見ないですねえ」 

 元自宅を追われた武田はかなり多くの荷物を持っている。一時期、それらの荷物をトランクルームにあずけており、その支払いが生活を圧迫しているという話も聞いていた。
 それとは別に、武田はリヤカーを所有している。自転車も5台持っている。その置き場所を訪ねてみると、荷物を覆うブルーシートには裁判所からの呼出状が貼られていた。

 呼出状を読んでみると、武田が自宅を立ち退く際に失った財産の損害賠償を求める裁判に関するものだった。裁判の期日は8月3日。私が訪ねた時には、すでに期日は過ぎていた。リヤカーの様子から想像すると、しばらく武田が訪れた様子もみられない。
 私は急に不安になった。武田は大丈夫なのか。元気でいるのだろうか。

 私は武田の消息につながる情報を探すため、武田が私に送ってきた100枚以上の手紙を再び最初から読み返した。
 すると、手紙の中に、ある簡易宿泊所の名前が登場していたことに気づいた。
「ここはすぐに出るつもり」
 武田の手紙にはそう書かれていた。その手紙からはすでに4カ月近く経過している。しかし、手がかりはこれしかない。私は台東区内にある簡易宿泊所を訪ねることにした。

武田のリヤカー置き場。(撮影/畠山理仁)武田のリヤカー置き場。(撮影/畠山理仁)リヤカーには呼び出し状が貼られていた。(撮影/畠山理仁)リヤカーには呼び出し状が貼られていた。(撮影/畠山理仁)

山に登る人に「なぜ」と聞くのと同じ。そこに選挙があるから出る

 簡易宿泊所を訪ねた私が入り口から中を覗き込むと下着姿の男性がいた。すいませんと声をかけると宿泊所の大家さんだという。
 空振りを覚悟で聞いてみた。

「こちらに武田完兵さんという方が泊まっていたと聞いたのですが」
「ああ。今もいらっしゃいますよ」

 ビンゴ!
 大家さんはそう言って、開けっ放しになっている一階の部屋を覗き込んで声をかけた。
「お客さんですよ」
「はーい」

 5分ほど待つと、帽子をかぶった武田完兵が部屋から出てきた。暑い部屋の中では裸でいたため、急いで服を着てくれたのだという。
 よかった。生きていた。しかも、思いのほか元気そうに見える。

無事に武田と会うことができた!(撮影/畠山理仁)無事に武田と会うことができた!(撮影/畠山理仁)

「今はどうしてるんですか」
「生活保護を受けています。そこから月々3万円〜4万円を貯金に回しています。このペースで貯金を続ければ、2023年の台東区長選挙までに100万円の供託金を貯められそうです。また必ず選挙に出るつもりです」

 私はこの日、自立支援のNPOで働く友人から受け取った手紙で「ホームレスはホープレスだ」という言葉に触れたばかりだった。しかし、武田には「選挙」という希望(ホープ)があった。
 武田は食費を月1万円以内に抑えると決めている。安いスーパーで単価19円のうどんを買い、半額の商品を選んで買って節約をしている。すべては選挙に立候補するためだ。もし、2年半後の台東区長選挙に立候補すれば、武田にとっては10回目の選挙になる。
 それにしても、どうしてそこまで苦労して選挙に出るのだろうか?

「生活していて不満があるからね。私は台東区のまちづくりに参画できていないという思いがあるんです。私は浅草橋に駅ビルを作るべきだと思うし、隅田川に橋をかけたいという目標もある。それを主張できる機会が選挙なわけですよ」

 武田の主張は何度聞いてもブレない。私が「世の中の多くの人は立候補しようとしないじゃないですか」と言うと、武田は不思議そうな顔をしてこう答えた。

「そう? もっと出るべきだよ。みんなチャンスがあるんですよ。みんな勝手に出られる。出なきゃ出ないで波風は立たないけどね。出て落ちればいいし、出てればそのうち当選する。本当に庶民が政治家をやるようになれば、二世三世ばっかりが当選するなんてことにはならない。本当の民主主義になるよね」

 武田は現在、路上での演奏活動はしていない。かつて演奏をしていた歩道からは排除されてしまい、もう同じ場所には戻れない。

「もう完兵さんの演奏は聞けないんですね」

 私が残念そうに言うと、武田は一枚のビラを取り出した。
「今は台東区にある映画喫茶『泪橋ホール』で月・火・金の週3日、12時15分から13時30分までピアノを弾かせてもらっています。そこに来れば私はいますよ」

 ようやく連絡手段が確保できたことで私はひと安心した。しかし、最後にもう一度聞きたかった。なぜ、武田はそこまでして選挙に出ようとし、ピアノを弾き続けようとするのか。

「山に登る人に『なぜ』と聞くのと同じですよ。私はそこに選挙があるから出る。生きていく中で、政治は根本だとたどり着いたんです。人間、夢がなきゃ生きていけないでしょ」

(文中敬称略)

●映画喫茶・泪橋ホール(台東区日本堤2-29-10)にて月・火・金の週3日、12:15〜13:30までピアノ演奏中 (8月17日時点の情報です)。(撮影/畠山理仁)●映画喫茶・泪橋ホール(台東区日本堤2-29-10)にて月・火・金の週3日、12:15〜13:30までピアノ演奏中 (8月17日時点の情報です)。(撮影/畠山理仁)

泪橋ホールでのピアノ演奏「Over the Rainbow」はこちらの動画で!

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