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マリノス大改革1年目は失敗なのか? 56得点でも残留争い、超攻撃的サッカーの行く末

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後半戦で勝つためのバランスを見出したが、それによるメンバーの固定化は新たな課題を露見させた【写真:Getty Images】

後半戦で勝つためのバランスを見出したが、それによるメンバーの固定化は新たな課題を露見させた【写真:Getty Images】

横浜F・マリノスは今季、アンジェ・ポステコグルー監督を迎えてチームスタイルの大転換を図った。しかし、J1リーグ戦の最終順位は12位。指揮官の来季続投は決まっているが、この挑戦は成功なのか? あるいは失敗なのか? 理想と現実の狭間でもがく名門の2018シーズンを振り返る。(取材・文:舩木渉)

新指揮官が持ち込んだアタッキングフットボール

 横浜F・マリノスは今季、アンジェ・ポステコグルー監督を迎えてチームスタイルの大転換を図った。しかし、J1リーグ戦の最終順位は12位。指揮官の来季続投は決まっているが、この挑戦は成功なのか? あるいは失敗なのか? 理想と現実の狭間でもがく名門の2018シーズンを振り返る。(取材・文:舩木渉)

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 J1最終節でセレッソ大阪に敗れた後、日産スタジアムのスタンドからはブーイングが聞こえた。大きなうねりにはならなかったが、ファン・サポーターが少なからず結果に対する不満を抱いているのは確かだ。

 今季の横浜F・マリノスは12勝5分17敗、勝ち点41で12位という成績だった。18チーム制になった2005年以降ではクラブ史上最低順位。12位から16位までが同じ勝ち点41で並ぶ大混戦で、もし首位の川崎フロンターレに肉薄する56得点を奪った攻撃力がなければ、ジュビロ磐田ではなくマリノスがJ2クラブとの入れ替え戦に回っていてもおかしくなかった。

 アンジェ・ポステコグルー新監督を迎えたことで、チームのスタイルは一変した。これまでのマリノスのイメージといえば、やはり「堅守」。だが今季はボールを動かし続けることで主導権を握る超攻撃的なサッカーに取り組んだ。

 リーグ戦での56失点は、その一大転換の結末と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、もっと増えていたかもしれないし、やり方によっては減っていたかもしれない。マリノスにとって、とにかく今季は最適なバランスを見つけるのに苦慮した1年だった。

 シーズン序盤はビルドアップ時に中央へ絞る両サイドバックや、極端に高い位置をとるGK、連係の拙い中盤などを標的にされた。試合を重ねるごとに分析が進む中で、その度にポステコグルー監督はチームに少しずつ修正を加えていく。「我々のやるべきことは変わらない」と哲学はブレなかったものの、試行錯誤は繰り返されていた。

得点パターンは確立されたが…

 例えばGKの飯倉大樹は開幕当初、90分間で走行距離が7km近くを記録して話題になったが、最終的には概ね5km台まで落ち着いた。それに伴って最終ラインの設定もやや下がり目になった。飯倉の1試合あたりのプレー関与回数が「平均46.42回」という高い水準で保たれていることからは、失点のリスクを減らしながらもGKを活用したビルドアップを継続するための方策だったこともわかる。

 攻撃的なスタイルは56得点という形になってあらわれ、得点パターンが確立された。ポステコグルー監督の戦術を実行する上で最も肝になるアウトサイドと中央の中間スペースに走り込んだ選手が、低くて速いクロスをゴール前に送り、逆サイドないし中央のストライカーが決める形は練習から徹底して仕込んでいたパターン。組織の熟成にともなって、定番の崩しとなっていった。

 実は同様の中間スペースへの侵入、高速クロス、それに詰めるというパターンはポステコグルー監督がかつてオーストラリア・Aリーグのブリスベン・ロアーを率いていた時代にも多く見られた。当時の同クラブはスペインの名門バルセロナに引っ掛けて“ロアセロナ”と呼ばれるほどのパスサッカーでAリーグを席巻し、就任2年目と3年目のシーズンはグランドファイナルを制してリーグ連覇も果たしている。

 ただ、指導哲学こそ不変なれどマリノスの場合はまだ1年目。そこで出た大きな課題の1つはメンバーの固定化だ。公式戦9試合を7勝1分1敗で駆け抜けた9月から10月前半にかけて、ここで継続的に起用されていた選手の組み合わせが、おそらく今季最も力を発揮した。

 GK飯倉、DFに右から松原健、ドゥシャン、チアゴ・マルチンス、山中亮輔、中盤アンカーに扇原貴宏、大津祐樹がインサイドハーフで走り回り、天野純が攻撃にアクセントをつける。右ウィングの仲川は絶好調でゴールを量産し、左ウィングの遠藤渓太も自信を深めてプレーの精度が向上。前線ではウーゴ・ヴィエイラや伊藤翔が仕事をする。

 彼らが躍動した約1ヶ月半の公式戦9試合でシュート数が二桁を切ったことは一度もなく、敗れた浦和レッズ戦以外は全て複数得点。3点以上奪った試合は4つもあった。だが、当然のことながらこれを見た他のチームは次の対戦機会に向けて対策を練り、マリノスにもけが人などが出てくる。そこで対策を上回る次の一手を打ち出せるほどの余力はまだなかった。

シーズン最後の2試合の意味

 象徴的だったのはJ1第33節のサガン鳥栖戦だ。勝ち点1でも積めば自力でJ1残留を決められる試合だったが、日本代表から戻った今季4得点8アシストの山中が負傷により不在。戦術上のキーマンが1人欠けたことによって、否が応でも変化が求められた。

 ところが、ただ闇雲にハイプレスをかけてくるのではなく、スペースを埋めながらけん制してきた鳥栖の罠にまんまとはまってしまった。自慢のパスワークは鳴りを潜め、簡単にボールをプレスの網に絡め取られてしまう。そして鳥栖の強烈なカウンターを食らう、という繰り返しで1-2というスコア以上の後味の悪さの残る敗戦だった。

 シーズン序盤に対戦した鳥栖とは明らかに違った。やはり対戦相手もただカウンターを狙うだけでなく、ボールの奪い方にも工夫を加えてくる。そうした相手の意図を試合中に外していくようなプランを、チームとして打ち出していけなかった。

 飯倉は鳥栖戦を終え、シーズン最終戦となるC大阪戦を前にこんなことを言っていた。

「(鳥栖戦は)ショックだった。今年やってきたものをやろうよ、何でやらないんだろう…というのがすごくあって、残念な気持ちが強かった。次のゲームはどういう気持ちで入るのかだよね」

 残留争いのプレッシャーからほぼ解放された中で迎えた鳥栖戦、1年間積み上げてきたものを来季に繋げていくための試合にできたはず。だが、選手個々の意識にばらつきがあり、「まだシーズン中盤とかだったら、確実に落ちている」と背番号21の守護神は危機感も口にしていた。「J1に残って、それでOKなのか。来年より良い戦いをするために、この2試合を大事にしなければいけないのではないか」という疑問も投げかけていた。

 そうして迎えたJ1最終節のC大阪戦。結果的には1-2で敗れたが、確実に来季に向けて「アタッキングフットボールを続けていく」という意思表示はあった。夏場に幾つかの試合で導入し、うまく機能しなかった3バックに似た布陣でスタートしたが、中身は全く違う。形こそ変えても、「いつも通り」の攻撃的な姿勢を続けていく姿勢が見られた。

 ビルドアップ時には3バックの左に入った畠中慎之輔が高い位置を取り、山中がサイドバックで担っているセントラルMFに近い役割も担う。ドゥシャンとチアゴ・マルチンスは左にスライドして4バック時のセンターバックのような位置に立ってパスの供給源となった。

課題は山積み。来季の戦い方は?

 中盤は扇原と喜田拓也が守備時はダブルボランチで、攻撃時は畠中とともにトリプルボランチのような形となる。扇原がアンカー的に振る舞い、喜田と畠中はより高いポジションを取った。そして両ウィングバックの遠藤と松原が高い位置に張り出して、普段の4-3-3のウィングに近い役割に。2シャドーの天野と仲川が、ストライカーの伊藤の近くでプレーできるような形を作った。攻撃時の見た目は2-3-5と言って差し支えないだろう。

 飯倉は「鳥栖戦は自分たちのサッカーができなくて、結果もそうだし、自分たちのやっていることにも歯がゆかったけれども、今日は本当に1人ひとりチャレンジする気持ちで、前半から自分たちのショートパスをつないで相手のゴール前までいけた。点は取れなかったけど、しっかり後ろからビルドアップという部分についてはできた」とC大阪戦を振り返っていた。

 GKと2人のセンターバックで攻撃の組み立てを始めるのではなく、執拗に追い回してくるC大阪の2トップの背後まで、プレスの1列目を越えるGKからのボール出しをいつも以上に増やすなど工夫が見られた。「いつものメンバー」が揃わずとも、他の選手でその役割を補いながら相手の対策を上回り、一貫した哲学を表現するという明確なメッセージも透けて見えてきた。

 現時点で課題が山積み状態である事実に変わりはない。失点するとチーム全体のプレー強度が下がってしまい、さらなる失点を呼んでしまうこと、それに付随するピッチ上での各選手のリーダーシップにも改善の余地がある。

より結果が求められる2年目へ

 守備面で失点を減らすことも、タイトル獲得への絶対条件だ。「今のサッカーをやるのであれば、攻めきらなきゃいけない」と栗原が言うように、攻撃力を最大限に発揮するための守備のメカニズムを、あくまでアタッキングフットボールが前提であることを見失わないよう構築していくべきだ。

 来季も継続して指揮を執ることが発表されたポステコグルー監督は、就任1年目のシーズンを総括して「来年はもっと継続的に良いプレーができるようにしなければならない」と説いた。アタッキングフットボールの哲学を貫くと同時に、「来年はずっと良いチームになる、このクラブは14年間リーグ優勝から遠ざかっていて、5年間トロフィーを獲得していない。だからこそ成功をもたらすことが重要」とチーム力向上とタイトル獲得への自信を説いていた。

 補強に関しても、「クオリティが高いだけでなく、我々のスタイルに合っていてチームを進歩させてくれる選手を獲得できる自信がある」と指揮官は言う。戦術理解度が高まった現有戦力に加え、来季は即戦力を加えてタイトル獲得を目指すことになるだろう。

 黒沢良二社長も「新しい魅力あるサッカー、人々に感動と笑顔を与えられるサッカーを目指してきて、それをやるのはやっぱり簡単ではない。非常に技術の高い選手がいて、本当にチームとして完成度が高くならないと、ああいうのは効いてこない」と述べたうえで、チーム作りの難しさに理解を示しながら「来年はより結果を求めていく」と強調していた。

 攻撃的なスタイルの確立は、天野や山中の日本代表初招集や、仲川らのブレイクにもつながった。YBCルヴァンカップでは決勝まで勝ち進んだ。リーグ戦の順位こそ振るわないが、現時点でマリノスの新たな挑戦が成功か失敗かを断ずるのは早急すぎる。

 来季は哲学を貫きつつ、今季出た課題を改めて見直し、今のスタイルを維持しながら攻守のバランスをどこに見い出すか。試合ごとのパフォーマンスのばらつきを減らしていけるかもカギになる。ポステコグルー体制2年目はタイトルに近づけなければ失敗、サッカーの内容だけでなくこれまで以上にシビアに結果も要求されるシーズンとなる。

(取材・文:舩木渉)

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