飼い犬の中には、人間の食べ物を欲しがる犬がいます。その際に、飼い主がかわいいからといって与えてしまった場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。また、犬が薬を飲み込んでしまった場合、どのように対処する必要があるのでしょうか。犬を飼っているときの注意点について、動物看護士のfujimaruさんに聞きました。
肥満や病気の原因に
Q.犬が発症した病気が、人間にも感染することはあるのでしょうか。
fujimaruさん「人間にしか発症が認められないものもありますが、犬からヒト、そしてヒトから犬への感染が認められる病気もあります。そういった病気のことは『人獣共通感染症』や『ズーノーシス』と呼ばれています。
ペットを媒介としたこうした病気に感染しないためには、『野生動物と接触させない』『口移しをするなどの過剰な接触を避ける』『ペットや自宅などを清潔に維持する』『ノミやダニが付かないようにする』『混合ワクチンを接種する』といった対策が有効です」
Q.もし、犬が人間の食べ物を食べてしまった場合、どのようなリスクが生じる可能性がありますか。また、薬を口に入れてしまった場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
fujimaruさん「原則として、人間の食べ物は与えないというのが基本です。タマネギのほか、カフェインが含まれたものなどは、犬や猫などにとっては中毒になるほど危険性の高い食べ物です。
また、たとえ食べて問題がなかったとしても、『飼い主と同じものを食べたい!』という欲求行為が加速する可能性があります。一度だけでは問題がなかったとしても、常習化してしまうと肥満や他の病気の原因になり得るため、犬の行動範囲に人間の食べ物をむやみに置かないようにしましょう。
薬に関しても同様です。人間とは体内の働きや体の大きさも異なるため、飲み込んでしまったことが分かったらすぐに動物病院に連れて行きましょう。動物病院では、薬を適切に吐かせて取り除く処置を行ってくれるはずです」
Q.暑さや寒さなど、人間が感じる温度や感覚は犬も同じように感じているのでしょうか。
fujimaruさん「はい、犬も暑さ・寒さを感じているため、どのような行動をしているかによって見分けることができます。
まず、犬が暑さを感じている場合、舌を出してハァハァと息づかいが荒くなるという行動を示します。暑い時期に散歩をするときなどは熱中症などに注意して、人間と同じように水分補給を小まめにするようにしたいですね。
毛皮がある犬種の中には比較的寒さに強い犬種も多いのですが、ずっと室内で飼われてきた犬の場合、温度変化に敏感になりやすいことがあります。
犬が寒さを感じているときは、丸くなって体温を保持しようとしたり、人間と同様、ガタガタ震えたりします」
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愛犬が安全な環境で過ごせるかどうかは、すべて飼い主にかかっています。飼い主が正しい知識を持ち、意識を変えることで、日常生活におけるさまざまな危険を排除できるのではないでしょうか。ペットと長く一緒にいられるようにするために、改善できることから取り組んでいけると良いですね。
オトナンサー編集部