ウイルス情報が少なかった2020年3月に出産
感染対策で立ち合いができない、地元に帰れない、普段通りの外出ができない等、コロナ禍での妊娠・出産は不安がいっぱいです。
本稿では、実際にコロナ禍で出産を経験した筆者による体験談のほか、病院の対応や東京都の出産応援事業を紹介します。
筆者は2020年3月末に出産を経験しました。ちょうどお笑いタレントの志村けんさんが新型コロナウイルスで亡くなり(3月29日)、日本中に驚きと悲しみが広がっていたころです。
その頃は新型コロナウイルスに関する情報もまだ少なく、罹患(りかん)したら重症化するということが強調されて報道されていたこともあり、出産前から不安が大きかったことを覚えています。
幸いなことに2月中旬ごろから産休に入り、会社や街なかに出ることは減っていたので、ほとんど家にいて、人との接触は最小限に抑えていました。買い物は仕事帰りの夫にお願いしたり、通販で購入したりしていました。
怖かったのは、検診などで通院するときです。
筆者の出産病院は感染症指定医療機関であったため、新型コロナウイルス感染者も受け入れていました。新型コロナウイルスの感染者が同じ病棟にいると思うと不安で、なるべく早く終わらせて帰りたい気持ちでいっぱいでした。
出産を控えている両親を対象におこなわれる「両親学級」への参加もギリギリまで迷いましたが、結局参加することに。その後、両親学級自体中止になったそうです。
破水、そして入院
そして予定日間近の3月末、筆者は破水して、入院することになりました。ショックだったのは、夫の
・立ち合い出産
・出産後のお見舞い
もできないと病院から言われたことです。
また、退院まで荷物の受け渡しは基本的に行えず、窓口に預けなければいけませんでした。ただでさえ初めての出産で不安なのに、夫の顔が退院まで見られないのはとても心細かったです。
出産中のマスク着用は義務化されていないので、特に息苦しいといったことはありません。促進剤を打ち、比較的早く出産でき、立ち合いがないこと以外はコロナの弊害は感じませんでした。
出産後、病院に許可を得て、夫に荷物を持ってきてもらうついでに、短時間だけ子どもを抱っこしてもらいました。
コロナの影響を強く感じたのは、出産中や入院中よりも退院後です。
本来なら、1か月検診は出産した病院で受けなければならないのですが、感染が怖くて大きい病院には行きたくなかったため、近所の小さい病院で受けました。自費になってしまったので、少し出費が痛かったです。
また遠出ができないため里帰りできず、授乳やおむつ替えが多く一番大変な時期に、夫とふたりだけで子育てをしなければいけなかったのが大変でした。
不幸中の幸いは緊急事態宣言なども重なり、夫が在宅勤務になったことです。通勤による感染リスクが無くなったことと、常に家に夫がいてくれるというのが心の支えになりました。
東京都の出産応援事業とは
東京都では現在、コロナ禍で出産・育児をおこなう家庭を応援するために、約10万円相当の育児用品や子育て支援サービスを提供する事業があります。
出生時に住んでいる市区町村から対象の家庭へ専用のIDを記載したカードが配布されます。申請不要で配布されるので、申請し忘れがなく安心です。
その後、IDを使って専用ウェブサイトにアクセスすると、希望の育児用品やサービスを申し込めます。商品は
・ベビーシッターサービス
・よだれかけ
・肌着
・ロンパース
・ミルク
・離乳食
・お掃除ロボット
・食器乾燥機
・ベビーカー
・チャイルドシート
・こども商品券
などさまざまです。
対象家庭は、次のいずれかに該当する家庭です。
・令和3年1月1日から令和3年3月31日までに出産し、出生日および令和3年4月1日に出生した子どもを含む住民登録が都内にある世帯
・令和3年4月1日から令和5年3月31日までに出産し、出生日に、出生した子どもを含む住民登録が都内にある世帯
もらえる商品は出産後に役立つものばかりなので、対象者は絶対に申請しましょう。出産後は、何かと出費がかさむもの。こういった支援事業を積極的に活用して家計の足しにしていけるといいですね。
子どもの笑顔を見れば苦労も吹き飛ぶ
コロナ禍でも子どもを産み育てなければならないお母さんたちは、本当に大変です。
筆者が出産した時期に比べて、現在は新型コロナウイルスへの対処方法、ワクチンの開発、自治体の支援事業なども進んでいます。インターネットで情報を仕入れ、使えるものは積極的に活用していきましょう。
コロナ禍で大変ですが、生まれた子どもの笑顔を見れば苦労も吹き飛びます。皆さんも頑張ってください。