東京から消えゆく路上グラフィティー
東京の繁華街でしばしば目にする道端の落書き。
「グラフィティー」と呼ばれ、スプレーやフェルトペンを使って壁面や店のシャッターなどに(主に無断で)描かれたものを指します。
その数が特に多いとされる渋谷区では、「快適で美しいまちを目指す」として2021年度から区内全域の落書きを全て消す「落書き消去プロジェクト」を始動。都内の別の自治体でも今後、同様の取り組みが広がりを見せるかもしれません。
街の景観向上や住民の安心安全といった観点から、少しずつ姿を消しゆく路上グラフィティー。しかし2021年7月29日(木)、ツイッターに画像が投稿された作品に対しては、それを見たユーザーたちから1.5万件もの いいね が集まりました(同月30日11時40分現在)。
いったいなぜなのでしょうか。
池袋で、道に水をまいている男性が
池袋で作品を発見しツイッターに画像を投稿したのは、J・さいろー(@sairo2nd)さん。
「道にずっと水まいてるおじさんがいて、あぶない人かと思ったら素敵な『次元』描いてた」
というひと言を添えた画像には、路上の白線から白線まで目いっぱいの大きさで描かれた『ルパン三世』のキャラクター次元大介が。
J・さいろーさんの言葉通り、これは水を使ったアート作品。細かな“筆遣い”で描かれた哀愁ただよう次元が、ほんのいっときだけ路上に姿を現したのでした。
作品を見たツイッターユーザーたちからは
「上手……雰囲気が出てる」
「神絵師!」
「時間とともに消えていくアートだ」
「これは次元が違う」
と、驚きと歓喜の声が次々に寄せられました。
どんなに上手に描けても消えてしまう
J・さいろーさんによると、この光景を見たのは7月下旬。サンシャイン60通り(豊島区東池袋)付近でのことです。
「最初は(絵を描いていた)男性の方にばかり目が行ってしまって。定食屋さんなどにあるドレッシング用の容器を使っていたので、油でもまいているのかとびっくりしました。でもあらためて地面をよく見たら次元大介がいて、おおっ、とテンションが上がりました。かっこいいと思います」
ペンキなどと違って、いずれ消えていってしまう水を使ったアート。今のような夏場であればなおさらです。J・さいろーさんはその魅力について、
「道行く人をサプライズで楽しませてくれること、地域の迷惑にならないこと、どんなに上手く描けてもはかなく消えてしまうこと。どれをとっても粋だな、と感じました」
と、実際に作品を見ての思いを話します。
作者の男性は、このエリアでは有名な存在らしく、「自分も見たことがある」との声が複数寄せられていました。
次に池袋を訪れたときには、いつもより路上に目を配りながら散策してみたくなるツイート投稿です。