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「精神的に弱すぎた」若きエース。3戦全敗、初の大舞台で日本代表が経験したものとは?【日本代表平成の激闘史(5)】

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無得点に終わった城彰二【写真:Getty Images】

無得点に終わった城彰二【写真:Getty Images】

時代は平成から令和へと代わり、その間、ワールドカップに6回連続出場を果たすなど、日本代表は大きな躍進を遂げた。時代は変われども、後世へと語り継ぎたい日本代表名勝負を振り返る本企画。今回は平成10(1998)年6月に行われた、フランスワールドカップでの日本代表の戦いを回顧する。(文:元川悦子)

カズ落選に動揺が走る

「外れるのはカズ、三浦カズ」

 平成10(1998)年のフランスワールドカップと言えば、本番のアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカとの3試合以上に、大会前のこの言葉が強烈な印象として残っている。

 6月2日、スイス・ニヨンで行われた青空会見で、岡田武史監督が長年エースとして君臨してきたカズ(三浦知良)を登録メンバー22人から外すという決断を下したことは、フランス大会に初参戦する日本代表に大きな影響を及ぼしたのは間違いない。

「メディアの囲み取材で、岡田さんが『城をエースにさせると言っていました』と記者の人に言われて、自分は驚きました。説明はなかったから。僕自身、三浦知良って選手は日本のパイオニアだし、FWとしての能力がすごく高くて、人間としても憧れていた。そのカズさんが『自分の存在によって外された』という思いが強かった。『自分がエースの座を勝ち取った』とは思えなかった。そこが自分の弱さでしたね」

 城彰二(解説者)はのちにそう語ったが、彼筆頭にカズ不在の代表を勝たせなければいけないという責任感を抱いた選手は少なくない。

 カズ落選の衝撃を受け、当日に負傷したキャプテン・井原正巳も「動揺はもちろんありましたけど、立場的に引きずってはいけない。チームとして1つになって戦っていくことに集中しました」と複雑な胸中を吐露した。

 岡田監督は荒療治を施して、チームの爆発力を引き出そうと狙っていたのかもしれない。後から振り返れば、平成22(2010)年の南アフリカワールドカップ直前に、中村俊輔や楢崎正剛らを先発メンバーから外した時もそうだった。

急造の3バックも実らず

 混乱を経て、日本は6月14日のアルゼンチン戦を迎えた。会場はトゥールーズのムニシパル。現在、昌子源がプレーするクラブの本拠地だ。チケット問題が起きてフランス入りしているのに試合を見られない日本人サポーターが続出する中、日本サッカー協会から優先的に購入したチケットを片手に申し訳ない気持ちでスタジアムに向かったのをよく覚えている(※筆者は当時取材ADをもらえずにチケット取材だった)。

 青い紙吹雪が舞う中、選手たちがピッチに登場。バティストゥータやクラウディオ・ロペスら世界最高峰FWを揃える強敵にどこまで戦えるのか。そこは非常に興味深かった。

 日本の先発はGK川口能活、DF(右から)中西永輔、井原、秋田豊、右サイド・名良橋晃、左サイド・相馬直樹、ボランチ・山口素弘、名波浩、トップ下・中田英寿、2トップに中山雅史と城という3-5-2だった。

 3月までは4バックをベースにしていた岡田監督は、アルゼンチンとクロアチアと同組に決まってから3バックへのシフトを決断。C・ロペスを中西、バティストゥータを秋田にマークさせる形を徹底させた。そうやって守備を固めなければ絶対に勝てない。強い覚悟の表れだった。

 指揮官の狙い通り、序盤の日本の強力2トップを封じ、いいペースで試合を運んだ。が、前半28分に一瞬のスキを突かれる。オルテガが前線に出したパスが名波の足に当たってバティストゥータの目の前にこぼれ、1点を先制されてしまう。

 これは不運以外の何物でもなかったが、世界舞台初参戦の日本に重くのしかかった。後半には中山に代えて呂比須ワグナー、相馬に代えて平野孝を投入し、1点を取りに行ったが、最大のチャンスだった後半37分の秋田のヘッドも左ポストの脇を通過。結局、追いつくことができず、0-1で黒星発進となった。

世界との差を感じた

 内容こそ悪くなかったが、勝てなければ何の意味もない。そう痛感した指揮官と日本選手たちは20日のクロアチア戦へと切り替えた。第2戦の地はナント。現在、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指揮するチームの本拠地である。ここで勝ち点3を貪欲に取りに行くことだけを考えて、同じスタメンで挑んだ。

 気温が35度に達する猛暑の中、日本は後半勝負を選択。スローペースな戦いで前半を0-0で折り返す。そして後半に入ると相馬の左クロスから城や中山が頭で狙うなど攻撃の形が見えてくる。途中から岡野雅行を送り出してスピード勝負に出るが、それも実らない。

 ゴールをこじ開けられずに苦しむ日本をあざ笑うかのように、クロアチアはワンチャンスを決めにかかる。後半32分、中田のバックパスを拾ったアサノビッチが右サイドを突破。最後のクロスをエースFWシュケルが確実に左足で仕留め、とうとう1点が入ってしまう。

 ボバンという絶対的司令塔を欠き、攻撃の形を作れず苛立っていたクロアチアだが、やはり決めるべきところは決めてくる。その決定力こそ、日本と世界のトップの最大の違いだった。

 2連敗でまさかの最下位。しかもこの時点でグループリーグ敗退が決まってしまった。岡田監督は辞意をほのめかし、チーム全体が沈滞したムードに包まれる。それでも3戦全敗で帰国するわけにはいかない。26日の最終戦・ジャマイカ戦は絶対に勝ちたかった。

 キャンプ地・エクスレバンからほど近いリヨンのジェルランでの試合とあって、移動の負担も軽かったはず。最後はいいコンディションで戦えるはずだった。岡田監督は中西に代えて小村徳男を先発起用。積極的な戦いを仕掛けた。

 けれども、この試合もまたゴールが遠い。攻めあぐねているうちに、前半39分と後半9分にウイットモアにゴールを叩き込まれる。

希望の光となったのは

 ワールドカップ初勝利の夢が遠のく中、一矢報いたのは中山だった。後半30分に相馬の左クロスを途中出場の呂比須がファーで落とし、中山が右足でゴール。彼は骨折しながら痛みを押して日本の爪痕をフランスに残した。

 そしてもう1つ希望を感じさせたのが、後半34分に名波と代わった18歳の小野伸二だ。彼が華麗な技術を駆使して相手を股抜きしたシーンで留飲を下げたサポーターも少なくなかったはず。結局のところ日本は1-2で敗れた。しかし、世界の凄さを痛感させられたこの経験がその後の糧になったのは確かだ。

 カズに代わるエースとして期待された城は1点も挙げられず、帰国した成田空港でサポーターに水をかけられた。

「自分は精神的に弱すぎた。本番3日くらい前から食事が喉を通らなくなり、夜中に嘔吐することもあった。吐くものがないから胃液しか出てこない状態になってました。ドクターも点滴を打ちながら『監督に言った方がいい』と言ったけど、それも言えなかった。いい時の20%のコンディションだったと思うし、フラフラしながら戦ったって結果が出せるわけがない。ホントに最悪でしたね。成田のことも予期してなかったけど、自分にそこまで多くの人が期待してくれていたんだと思い知らされました」

 城は悔恨の念を口にしたが、フランスに赴いた誰もが同じような不完全燃焼感を抱いたはず。その悔しさがその後のワールドカップ6回連続出場への第一歩。その重要性を改めて多くの人々が胸に刻むべきだ。

(文:元川悦子)

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