商業施設ができるとついオープン日に行ってしまいたくなる癖があり、渋谷スクランブルスクエアも11月1日に伺いました。
この渋谷の駅の開発は私のような方向音痴にとってはたどりつけるか自信がないくらい、年々難易度を増していっています。やっと渋谷ヒカリエに行く方法を覚え、でも渋谷ストリームは危うい、という状況でさらに巨大な商業施設ができるとは、位置関係を全然把握できません。
海外の裕福な観光客を意識?
亜空間に連れて行かれそうな駅の迷路のような通路を通り、外に出るとあちこちに渋谷スクランブルスクエアの旗がはためいていました。意外と簡単に到達できた、と思ったら、出入り口は全部入れないようになっていて入場者は列に並ばされることに。その最後尾が歩いても歩いても終わりが見えず、階段を降り延々と線路沿いを歩かされました。
途中苛立ったおじさんがおじさん突き飛ばすという修羅場を目撃。ブロックごとにわけられ、指示があってから少しずつ進めるというシステム。客に対する扱いはどうなってるのかという思いがわいてきました。
でも40分ほど並んでやっと中に入ると、想像以上の素敵な空間で、物欲と食欲がトルネードのように頭頂から立ち昇り、高揚感に満たされました。ヒカリエや東急プラザで構築されたセンスをさらに高感度にブラッシュアップしたような......。
1階のボンジュールレコードやNIKEなど入りやすいお店はかなり有利な感じですが、まず下の方にハイブランドのフロアがきて、6階という微妙な位置にコスメフロアがあって、さらに上のフロアにセレクトショップ系が入っているのも珍しいです。LUMINEとはまた違ったテナントの配置です。海外の裕福な観光客を意識しているのでしょうか。
印象的だったフロアについてメモいたします。
理性を保って訪れたい
14階 渋谷といえばNHK。チコちゃんの巨大な頭部があるので、そこに体を入れて撮影ができたりします。このフロアには2階までの直通エレベーターがあるので、13,12階でなかなか来ないエレベーターを待つよりも、14階まで上がって一気に降りた方が早いかもしれません。
13階 食事フロアは17時くらいからすでに行列ができはじめているので早めの夜ご飯がおすすめです。
10階 ハンズには珍しい高級文具も。そして建築を手がけた隈研吾へのリスペクトを感じさせる建築模型コーナーが。
9階 SHIPSやTabio、フランフランに、ランジェリーに和服の店などカオス状態でした。「混ざり合い、生み出され、世界へ」がこのビルのコンセプトというのを思い起こさせます。
7階 疲れた足が少し休まるトゥモローランドのフカフカのじゅうたん。つい服を買ってしまいました。
5階 東急プラザ銀座のShinQsみたいなコーナーで素敵なセンスです。インポートのアクセサリーなどつい購入してしまいました。
>地下1階 スイーツ すごい熱気 店員さんも喉をからして「ここでしかお買い求めできません!」と呼び込みしています あまりの混雑に一歩入って「もう無理」と出ていった男性が......。
地下2階 紀伊国屋で買ったものを食べられるイートインスペースが。コーヒーなど買えて優雅な雰囲気。
地下3階 結構深いデリフロア。他のデパートでは見られない、台湾の惣菜やハワイのビーガンフードなどあって楽しいです。全体的に若干高め。イートインは立ち食いで足腰が強そうな若い女子たちが食事していました。
素晴らしいのは地下3階が駅に直結していたことです。ということは、それだけ物欲や食欲にかられたらすぐに行けてしまうという危険な施設。煩悩のスクランブルスクエアです。理性を保って訪れたいです。
著者プロフィール
1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。