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走る雀卓? いえ“宇宙船” 異形の大阪メトロ400系 最新の通勤電車はここまで考え抜かれていた!

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近年、通勤形車両の改良は目覚ましいものがあります。特にここ数年で登場した新型車両には、それまでの車両では見られない設備も。今回は斬新なデザインで話題を呼んだ、大阪メトロの最新型通勤電車400系を紹介します。

デザイナーは秋田新幹線と同一人物

 通勤形電車といえば、ロングシートの座席とつり革以外はほとんど設備もなく、殺風景な車両というイメージがありましたが、近年はサービス改善の動きが顕著です。フリースペースやトイレ、空気清浄器を装備するなどしています。
 
 そうした最新の通勤形電車について、今回は大阪メトロで2023年6月に営業運転を開始した「400系」を取り上げます。

Large 230831 fkcym 01大阪メトロ中央線の400系電車(安藤昌季撮影)。

 大阪では、2025年より「大阪・関西万博」が開催されます。このため、大阪メトロ中央線の輸送力増強が必要となりました。また、老朽化している20系や24系電車の置き換えも急務でした。

 万博を意識した車両ということで、宇宙船をイメージしたデザインとなっており、前頭部の形状が印象的です。デザインしたのは、秋田新幹線やクルーズトレイン「トランスイート四季島」を手掛けた、工業デザイナーの奥山清行氏です。

 デザイン方針は「人間工学に配慮されたデザイン」であり、モノトーンの車内空間に、様々な色の座席を配置しています。また、天井を落ち着いた暗めの色、側壁と床面を明るい配色とすることで、メリハリのあるモダンな車内空間を再現しています。

 側扉には、戸挟みや引き込みを検知すると、自動的に開閉力を弱める機構を搭載しているほか、無通電時には、扉が鎖錠される電磁ロック機構も備えています。

 特筆すべきは先頭車両の連結面車端部に、USBポート付きのカウンターを設置したことです。充電も可能なフリースペースといえます。あわせて全車両にWi-Fiも設置。つり革は高さが何種類もあり、体格差に配慮しています。

1+1列のクロスシートも設置

 側扉の上には、同世代の通勤形よりも大きな21.5インチの大型ディスプレイが設置され、日本語・英語・中国語・韓国語表示に対応しています。防犯カメラは1両に4台、空気清浄器は1両に8台設置しています。

 座席はロングとクロスの両シートを配置。ロングシート車両では、扉間の座席が従来6人掛けだったものを5人掛けとしています。これにより出入口スペースが従来車より広がり、大型荷物に配慮しています。また、座席幅は通勤形電車としては最大級の1人あたり47cmを確保しており、ゆったりとした着座感です。

Large 230831 fkcym 02400系の車内(安藤昌季撮影)。

 クロスシートは4号車にあります。パーソナルスペースの確保、目的地に移動するワクワク感の確保を目的として、1+1列の固定式クロスシートです。ここには荷物棚がなく、すっきりとしています。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)はクロスシートに着席してみましたが、座面の奥行が広くお尻側が下がった設計で、無理なく着座できます。背もたれに、ある程度の傾斜と凹みがあります。クッション性もよく肘掛けもあって、座り心地は良好です。ちなみにロングシートには肘掛けがありません。

 ただ、せっかくのクロスシートですが、側窓の位置が高いため景色がやや見にくく、少々残念です。なお、立ちあがりを容易にするために、既存車両と比較して床面からの高さを5cm高くしているほか、優先席では荷物棚の高さを10cm引き下げることで、社会的弱者に配慮した設計となっています。車いすスペースは、その部分の床を緑にして識別しやすくしています。

 快適で、デザインも秀逸な400系ですが、いつ運行されているかは分かりません。増備されるまで出会いは偶然、乗れたらラッキーでしょう。

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