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相手との距離感誤ると「地雷」を踏むかも 身に付けよう大人の危機管理術

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社会の複雑化や経済紛争、気象状況に自然環境の変化などと、さまざまな予測が困難になるなか、企業や自治体などでは「不測の事態」への対応が重視されている。

危機管理マニュアルが作成され、いまでは社会や職場のあちらこちらに潜む危険に対応するため、個人レベルでも必須の処世スキルになりつつある。

本書「地雷を踏むな ―大人のための危機突破術」は、そうした時世に合わせたサバイバル参考書。経験豊かな危機管理のコンサルタントが、現代の「転ばぬ先の杖」になるアドバイスを送る。

「地雷を踏むな ―大人のための危機突破術」(田中優介著) 新潮社

どうすれば、世間で「地雷」を踏まずに済むか?

著者の田中優介さんは危機管理コンサルタントで、社長を務める「リスク・ヘッジ」は、危機管理に特化した会社として国内では先駆け的な存在だ。同社は、田中さんの父、辰巳さんがリクルート勤務時代にマスコミ対応や、反社会的勢力対応などの業務を経験した。その中で、日本の企業の危機管理意識の低さを痛感したことで創業。以来、1万回以上のコンサルティングを行い、ノウハウを積み上げてきた。

蓄積してきた危機管理に関する知見やノウハウは「現場で得られた」。そのため、学者らによる研究や分析、解説などとは違い、著者は本書が「実用的である」ことを強調する。

現場での学習、経験を通じて「この危機管理のノウハウは、企業のみならず個人レベルでも通用する」という思いを強くしたことが、刊行の動機になったという。その内容は「どうやって世間で『地雷』を踏まずに歩いていくか、踏んだあとにどうすれば軽傷で済むかについてのマニュアル」だ。

複眼的観察できぬ人増え

著者の会社には、セクハラやパワハラ、消費者のトラブルなども持ち込まれる。これらの騒動の主として思われがちなのは、傲慢な人物や、自己中心的な考え方の人となろうが、面談してみるとまったくそうではないことが、しばしばあるという。共通するのは、場面に応じて複眼的観察ができず、いわば、ボタンの掛け違いのような、不適切な態度をとったこと。

意外な人によるハラスメントトラブルが重なるうち、わかってきたことがあった。

少子化や核家族化の影響で、多様な価値観に揉まれたことがないまま幼少期を過ごして大人になる人が増えた。そういう人たちにとっては、場面や相手に応じて臨機応変に振る舞うことが難しいらしいということ。

社会人になれば、多様な習性や価値観と接することになり、時には衝突に発展することもある。備えがあれば順応もできようが、トラブルの主役たちにはそれもなし。新しい環境に乗り出すにあたり人間関係を成り行き任せにし、それは「地雷だらけの原野を無防備にさまよう」のと同じ危険な行為だったのだが、マニュアルもなかったために危険な一つに足をかけてしまったわけだ。

人間関係をデザインする

地雷を踏まないための著者の提案は「『人間関係をあらかじめデザインしてから始める』という視点を持つこと」。自然界で、弱い動物が強い動物との距離を、常に一定に保つように、あるいは強い動物同士がマーキングにより縄張りを主張し衝突を防いでいるように――という。

仕事で出会った人ならまず、その相手との距離感を定める必要がある。ビジネス上の比率、プライベートの比率をイメージして考えるよう、次のような例が示される。

A 仕事みの関係で、それ以上でも以下でもない
B 基本的には仕事上の関係だが、少し私生活のでも結びつきあり
C 仕事上の関係だが、私生活でも強い結びつきがあり、信頼関係あり

これらに、さらにそれぞれ付き合いの濃さのレベル付けなどをするのだが、あくまで自分側のデザイン案であって、相手側の反応をみて微調整を施す。著者によれば、この提案に対して「そんなことは誰もが無意識にやっているのでは?」という反応がしばしばあるが、そうではないという。

多くの人がやっていると思っている距離感の設定は、それぞれが持つ習性に影響されたもの。自らの習性について人はほとんど疑いを持たず、社会の常識的なことだと思ってしまう。

だが、じつは非常に主観的で、それにより設定された距離感は必ずしも相手にとって受け容れられるものではないことがある。すべてではないが、一部のハラスメントはこのことに起因するだろう。

本書では、夫婦間、親子間、借金相手との間、上司との間などについて、どうデザインしたらよいかを具体的にアドバイス。これら「人間関係」のほか、エリートとされる人たちの危機回避術、警察が関係するようなトラブルの対処法、近年さまざまに取りざたされる「謝罪」についても具体例を挙げて、「地雷を避ける」やり方を紹介している。

「地雷を踏むな−大人のための危機突破術」
田中優介著
新潮社
税別720円

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