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国際法的には問題ナシ!? 中国の弾道ミサイルが日本のEEZへ着弾 では何が問題なのか?

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中国の発射した弾道ミサイルが日本のEEZへ着弾しました。しかしこのこと自体は、国際法的にはなんら問題のないものといいます。その理由と、日本政府がなにを問題として非難しているのかについて解説します。

中国による軍事演習 日本のEEZに弾道ミサイル着弾は初

 防衛省が発表したところによると、2022年8月4日(木)の15時過ぎから16時過ぎにかけて、中国は合計9発の弾道ミサイルを発射し、その内5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾しました。中国軍の弾道ミサイルが日本のEEZ内に着弾するのは今回が初めてです。

Large 220805 sbm 01「東風15(DF-15)」短距離弾道ミサイル(画像:IceUnshattered、CC BY-SA 4.0〈https://bit.ly/3bAbs4g〉、via Wikimedia Commons)。

 報道によれば、これらのミサイルは移動式の発射台(TEL)によって運用される短距離弾道ミサイルの「東風15(DF-15)」と分析されており、その射程距離は約900kmとされています。この弾道ミサイル発射は、中国側が同月4日から7日にかけて実施している大規模な軍事演習の一環で、そのために台湾を取り囲むように6か所の演習海域を設定しています。

 今回の事態を受けて注目されているのが、軍事演習の一環として日本のEEZ内にミサイルを着弾させることは法的に問題があるのか、という点です。

 結論から言えば、他国(今回の場合は日本)のEEZ内でそうした軍事演習を行っても、通常であれば国際法上、全く問題ありません。

中国による軍事演習は国際法的にアリ?

 そもそもEEZとは、領海などの幅を測る際の基準線である基線から200海里(約370km)の範囲で設定できる海域のことです。

Large 220805 sbm 02日本の領海等概念図(画像:海上保安庁)。

 海洋に関するさまざまなルールについて定める「国連海洋法条約(UNCLOS)」によると、沿岸国の主権が及ぶ「領海」とは異なり、EEZにおいて沿岸国(今回の場合は日本)に認められるのは、魚介類や鉱物などを含む天然資源の探査、開発、保存および管理などに関する主権的権利と、人工島、施設および構築物の設置や利用、海洋環境の保護および保全、海洋の科学的調査などに関する管轄権に限られており、たとえば沿岸国の安全保障に関する権限などは設けられていません。そのため、たとえ弾道ミサイルがEEZ内に着弾したとしても、そのことが直ちに国際法に違反するというわけではないのです。

 ただし、だからといっていつでもどこでも自由に軍事演習を実施してしまえば、もしかするとそこで操業中の漁船に被害が生じてしまう可能性もあります。そこで、EEZ内で軍事演習などを実施する際には「沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払う」ことが求められています(UNCLOS 58条3項)。今回、中国側が事前に演習を実施する海域を通告したのも、この「妥当な考慮」に基づくものと考えられます。

 しかし、たとえば中国側が日本に対して何らかの要求を伝達し、それを受け入れさせる目的で軍事演習を実施したとすれば、その場合には現在の国際社会における平和と安定の中核である国連憲章において明示的に禁止されている「武力による威嚇」に該当する可能性があり、そうであればこれは国際法に違反することになります。

国際法とは別の視点から見えてくる問題

 一方で、国際法的には問題ないとはいえ今回、中国は日本のEEZ内へ意図的に弾道ミサイルを着弾させており、日本の安全保障にとっては重大な問題となります。この事態を受け日本も外務省および防衛省が中国側に対して抗議を行っており、その内容はいずれも「(弾道ミサイルの落下は)日本の安全保障および国民の安全にかかわる重大な問題」であり、これを強く非難するというものでした。

Large 220805 sbm 03防衛省が公表した、8月4日午後に発射された中国の弾道ミサイル着弾位置。丸囲み数字がそれにあたり、5から9の5発が日本のEEZに着弾した(画像:防衛省)。

 この内容からも分かる通り、今回日本政府は、中国による行動を法的な観点からではなくあくまでも安全保障上の観点から問題としており、これがひとつのポイントといえるでしょう。

 中国による演習は日本の安全保障にとって重大な問題をはらむものではありますが、これへ感情的に反応するのではなく、あくまでも理性的に対応することが必要であると筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は思います。

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