ドラッグストアに行くと、風邪薬や胃薬など、さまざまな医薬品が販売されています。風邪をひいたときや胃腸の調子が悪いときなどに利用する人は多いのではないでしょうか。ところで、店内では、「薬剤師不在のため販売できません」などと掲示された医薬品を見掛けることがあります。薬剤師が不在のときに購入できない薬とは、どのようなものなのでしょうか。薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。
「第1類医薬品」は薬剤師から説明を受けないと購入不可
Q.ドラッグストアで売られている医薬品の中には、薬剤師の不在時に購入できない薬がありますが、なぜなのでしょうか。
真部さん「市販薬は『第1類医薬品』『第2類医薬品』『第3類医薬品』の3種類に分類できますが、このうち登録販売者が第1類医薬品を販売することはできません。なぜなら、第1類医薬品は市販薬の中でも特に服用について注意を必要とする性質があるため、薬剤師から説明を受けた上で購入することが義務づけられているからです。
ドラッグストアで『薬剤師不在のため販売できません』などと掲示された商品を見掛けたことがあるかもしれませんが、それは第1類医薬品に該当するからです」
Q.では、薬剤師の説明を受けただけで、第1類医薬品を服用しても問題ないのでしょうか。
真部さん「第1類医薬品の購入時は、薬剤師から説明を受けることが義務づけられていますが、処方薬とは異なる立場の薬であるため、医療機関の受診などは必要ありません。薬剤師の説明をしっかりと聞き、分からないことがあれば質問をしてください。その上で副作用や服用方法に納得したら服用しても問題ありません。
ただ、基本的に薬剤師は客から症状を聞き、その情報を基に薬を案内する形となるため、『きちんと効果が出るかどうかは自己責任』となってしまいます。『診察をしてもらいたい』『しっかりと原因究明をしたい』という場合は医療機関を受診するのがお勧めです」
Q.第1類医薬品は、家族や知人に提供しても問題ないのでしょうか。
真部さん「薬剤師からの説明を受けていない人に対して、第1類医薬品を渡すことは絶対にやめましょう。たとえ家族であっても体質や服薬状況などは全く異なりますし、第1類医薬品は、副作用や飲み合わせなどに注意が必要な薬品です。そのため、先述のように、購入時は薬剤師から説明を受けることが義務づけられています」
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同じ市販薬であっても、分類方法によって薬剤師のみが販売できる薬があることが分かりました。市販薬は手軽に入手できる一方、副作用やリスクが伴うことはしっかり覚えておきたいものです。もし第1類医薬品を購入する機会があったら、薬剤師からの説明をしっかり聞き、正しく服用しましょう。
オトナンサー編集部