高知を走るJR四国 土讃線の新観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」、その車両が完成。1号車「KUROFUNE(クロフネ)」、2号車「SORAFUNE(ソラフネ)」からなる、文明開化や未来を感じるキハ185系ディーゼルカー2両編成です。
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」は「クロフネ」「ソラフネ」の2両編成
JR四国の新しい観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」が2020年4月18日(土)にデビューします。これに先駆け2月21日(金)、同社の多度津工場(香川県多度津町)で、完成した車両が報道機関に公開されました。
高知県内を走る新たな観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」(2020年2月21日、恵 知仁撮影)。
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」は、「伊予灘ものがたり」「四国まんなか千年ものがたり」に続く3本目の「ものがたり列車」として、土讃線の高知~窪川間で運転を開始します。これで四国各県に「ものがたり列車」が走ることになり、JR四国の半井真司社長は「乗り比べて、四国のよさを感じていただければ」と話します。
車両は既存のキハ185系ディーゼルカー2両を改造しました。コンセプトは「文明開化ロマンティシズム」。車両の前面は、太陽、船の舵、坂本家(龍馬)の家紋を模した「組あい角」、「時代(トキ)」を刻む時計をモチーフにしたヘッドマークがあしらわれます。
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」デザインも座席配置も対照的な車内
1号車「KUROFUNE(クロフネ)」は、車体側面に龍馬像や蒸気船のモチーフが配置され、明治期の文明開化や19世紀末の芸術を想起させるデザインになっています。
2号車「SORAFUNE(ソラフネ)」は、「大空のその先、大気圏を突き抜けた宇宙空間までにもつながる未来への『夢』」(JR四国)をコンセプトとし、車体両側面に太陽と、新たな旅をイメージしたというロケットエンジンのモチーフが配置されました。
車内は、蒸気機関やロケットエンジンのモチーフと明治期の装飾表現を組み合わせた空想ファンタジーのデザインに。並んで立つ照明ポールや可変テーブルの支柱は、張り巡らされた機械配管の疑似デザインンとして表現されています。
船の操舵輪、大型スクリーンがある「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」1号車「クロフネ」(2020年2月21日、恵 知仁撮影)。
1号車「クロフネ」は、車内中央に2人用と4人用のテーブルが並んでおり、窓に背を向けて座ります。「高知家の団らんシート」(12席)は1人から、ボックス席(16席)は3人から4人で利用が可能です。
2号車「ソラフネ」は、1号車とは対照的に、テーブルと席が窓向きに配置されています(席を向かい合わせることも可能)。90度の向かい合わせ席が10席、カウンター席が9席、車いす席が1席です。いずれも1人から利用が可能です。このほか、サービスカウンターや多目的トイレ、女性用トイレも設置されています。
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」の運転時刻 料金 食事内容は?
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」は土休日を中心に、土讃線の高知~窪川間を1日1往復します。時刻は次のとおり。
・下り「立志の抄」:高知12時04分発→窪川14時43分着
・上り「開花の抄」:窪川15時10分発→高知17時56分着
途中の土佐久礼駅で、下りは下車、上りは乗車が可能です。仁淀川橋梁など景観の良い地点では速度を落とした運転が行われます。また、太平洋を望める安和駅では、下り・上りとも停車し、写真撮影などを楽しめます。
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」2号車「ソラフネ」。各客室にはコンセントも用意(2020年2月21日、恵 知仁撮影)。
「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」は特急列車で、全車グリーン車指定席です。乗車時は、乗車券のほか、特急券・グリーン券が必要になります。高知~窪川間を利用する場合、乗車券は1470円、特急券・グリーン券は2500円、計3970円です。特急券・グリーン券は全国のJR駅などにある「みどりの窓口」やおもな旅行会社で、乗車日1か月前の午前10時に発売されます。
また、車内では食事も楽しめます。下りは高知の旬の食材を使い、伝統郷土料理の「皿鉢(さわち)」風に豪快に盛り付けた洋風弁当「土佐の食材を使った創作洋風料理~皿鉢(さわち)風~」、上りは沿線地域の海・山・川でとれた食材による料理が四万十ヒノキの容器で提供される「高知家満喫“土佐流のおもてなし”コース」です。
食事は事前予約制で、どちらも5000円(税込)です。食事予約券は、四国内や四国外の一部の「みどりの窓口」、おもな旅行会社で乗車日1か月前から4日前まで販売されます。