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神様、仏様、ケーヒル様。豪州、偉大な“守り神”の神通力でロシアW杯へ一歩前進

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ティム・ケーヒルが2ゴールの活躍でオーストラリアをW杯予選敗退の危機から救った【写真:Getty Images】

ティム・ケーヒルが2ゴールの活躍でオーストラリアをW杯予選敗退の危機から救った【写真:Getty Images】

ロシアW杯アジア最終予選で振るわず、プレーオフへと回ることになったオーストラリア。今月は北中米カリブ海地域との大陸間プレーオフ出場をかけて、シリアとホーム&アウェイで対戦した。11日に行われたホームでの第2戦、ヒーローのように現れて母国に歓喜をもたらしたのは、またしても“あの男”だった。(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

ケーヒル、豪州史上最高への階段を上る

 ロシアW杯アジア最終予選で振るわず、プレーオフへと回ることになったオーストラリア。今月は北中米カリブ海地域との大陸間プレーオフ出場をかけて、シリアとホーム&アウェイで対戦した。11日に行われたホームでの第2戦、ヒーローのように現れて母国に歓喜をもたらしたのは、またしても“あの男”だった。(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

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 何はさておき、己の不明を恥じ懺悔するところから始めたい。ティム・ケーヒルのことだ。最近、鳴りを潜めていた彼に対し「スーパーサブ起用を続けるべき」「ケーヒル依存症の克服が代表の発展に繋がる」などと、ともすれば「ケーヒル懐疑論」と取られかねない内容を書いてきた。

 もちろん、それらは彼の存在がまだまだ代表には必要だと理解したうえでの筆者なりの提言だった。それでいて、11日のロシアW杯味予選プレーオフ第2戦の先発メンバーを見て「ケーヒル先発の奇策」とも書くなど、試合前までの私が「ケーヒル懐疑論」者だったことは否定しない。だが、今回ばかりは素直に非を認め、宗旨替えに応じなければなるまい。孔子の謂うところの「過ちては則ち改むるに憚る勿れ」の精神だ。

 ケーヒルは、やはり凄かった。これまでの鬱憤をこの日のために蓄積して、敢えてこの夜に一気に爆発させたのかと思いたくなるくらいの独壇場。試合後のアンジ・ポスタコグルー監督は「ティミー(ケーヒルの愛称)は、最も偉大なサッカルーだ」と褒めちぎった。

 それもそうだ。代表103試合で50得点という得点率の高さは他の追随を許さない。今回の印象的な活躍で、少なくとも代表レベルではハリー・キューウェルやマーク・ビドゥカを抜いて、最も偉大なサッカルーの称号を得たと言っても異論は出まい。

 己をこの期に及んでまだ弁護しようという気はないが、実際、ロシアW杯アジア最終予選でのケーヒルは精彩を欠いていた。10試合中7試合出場でわずか1得点。その1点ですら1年以上前の話だ。フル出場はなく、先発すら1試合のみで、その他はいずれも試合後半でのスーパーサブとしての起用だった。

 この結果だけ見れば、「さすがのケーヒルも衰えてきたな」と感じる人がいてもおかしくない。もちろん、筆者はそれだけで判断したわけではない。初めての母国のプロリーグでのプレーとなった昨季のAリーグ、メルボルン・シティでのケーヒルは正直、期待外れだった。21試合11得点と一定以上の仕事はしているが、インパクトを欠いたのも事実だ。最近のケーヒルからは90分を通して相手チームの脅威となるような怖さを感じられなくなっていた。

まさかの失点。怪我の功名で反転攻勢に

 しかし、短時間で決定的な仕事を成し遂げる類稀なる決定力、そして神々しいまでのカリスマ性が代表チームに不可欠なものであることもわかっていたからこそ、彼の脅威を最大限に生かすスーパーサブ起用を続けていくべきだと唱え続けていた。そして、それが単眼的な見方であったことが、W杯への希望をつなぐ大事な試合でのケーヒル自身の意地によって証明された。

 後がない大一番の誰もが浮足立つ緊張感の中でこそ、様々な修羅場をくぐってきたケーヒルの経験と得点への嗅覚こそが最大の強みとして発揮され得たのだろう。もはや、それは“神通力”とも呼ぶべきレベルだ。

 さて、試合を簡単に振り返ろう。「不明を恥じる」というわけではないだろうが、ポスタコグルー監督もただの頑迷さだけではない柔軟性を見せた。得点が欲しいという意味でわかりやすくシステムをいじって、選手が長めのボールを蹴るシーンが何度も見られた。この日のシステムは、3-1-5-1とでも言おうか、攻撃的MFを3枚フラットに並べ、後ろにマーク・ミリガンの1ボランチという布陣。

 ケーヒルが前日会見での監督の示唆の通りに先発したのは驚かなかったが、最大のサプライズは当の本人も試合後に「言われたときには、少し怒りのような感情があった」と吐露したように、司令塔として今や欠かせないはずのアーロン・ムーイのベンチスタートだった。パスの受け手になれて、自らも切り込んでチャンスメイクをできる人選で、ムーイよりもジェームズ・トロイジやトム・ロギッチに強みを感じたのが理由だろうか。8月の日豪戦のような体調不良ではなく、戦術的な意味での先発見送りの意図がどこにあったかは、ポスタコグルー監督のみぞ知るところだ。

 いずれにしても、まさかのムーイ不在で始まった試合は、立ち上がりから意外な展開を見せた。前半6分、中盤のど真ん中でのミリガンの不用意なパスをカットされると、素早い縦への展開から最後はエースFWオマール・アルソーマに冷静に決められ、シリアに先制を許してしまう。

 まさかの早い段階での失点を受けて、多くの人々の「ムーイを早く出せ」との思いが通じての天の配剤か、前半10分過ぎに左サイドハーフで先発していたブラッド・スミスが特に接触のないところで左足の付け根を負傷してしまい、交代を余儀なくされる。そこで呼ばれたのが、ムーイだった。3枚の攻撃的MFの一翼を担っていたロビー・クルーズがスミスの代わりに左サイドへ移り、ムーイが本来であれば試合開始から収まっているべきポジションに収まった。これで、サッカルーズの反転攻勢の準備が整った。

もはや神通力…。千両役者ケーヒルが豪州に歓喜をもたらす

 実際、ムーイ投入直後からボールがよく回るようになって、動きが目に見えてよくなった豪州。そして、13分には右サイドを駆け上がりながらロギッチからのパスを受けたマシュー・レッキーが、前線に素晴らしいクロスを上げる。そこで待ち構えていたのが、千両役者のケーヒル。トレードマークの打点の高いヘディングをタイミングよく叩きつけ、同点ゴールを押し込んだ。この1点で、ケーヒルは2004年の代表デビュー以来、毎年代表でゴールを挙げたことになった。まさに、コンスタントに母国の代表に尽くし続けたレジェンドに相応しい功績だ。

 その後の前半は、豪州が圧倒的にポゼッションしてゲームをコントロールするが、シリアもよく堪えて、なかなか得点を許さない。実にポセッションでは72:28という分かりやすい展開だったが、1-1のまま熱戦の行方は残り45分に持ち越された。ポゼッションを取りながらもなかなか決定機を作れない豪州と、時折、鋭い突破で虎視眈々と勝ち越し点を狙うシリアと一進一退の攻防となった後半でも決着がつかずに、試合は延長戦に突入。場内の緊張感はピークに達しようとしていた。

 延長前半4分に試合は大きく動く。シリアのマフマド・アルマワズが2枚目のイエローカードを受けて痛恨の退場処分。体力消耗の激しいシリアは、残り時間を10人で戦うことを余儀なくされた。それでもなかなか決定機を作れない豪州は、攻撃的MFのロギッチに代えてFWトミ・ユリッチを前線に投入する。

 数的優位を得つつパワープレー、飛び道具で試合を決めに掛かろうとする姿勢を見せた。延長後半4分にその狙いが結果に繋がる。ゴール前左サイドにするすると抜け出してボールを受けたロビー・クルーズが上げたボールを、ゴール前でケーヒルが再び頭で合わせると、ボールはシリアGKの右手をかすめネットを揺らした。ケーヒルの代表通算50得点目は豪州を土俵際で踏ん張らせる決勝点の貴重なゴール。千両役者の大見得に場内のボルテージは最高潮に達する。

“守り神”の劇的な復活劇。次なる決戦の相手はホンジュラス

 そして、試合終了間際。シリアにとってのビッグ・モーメントが訪れたかに見えた。ゴール前絶好の位置でのフリーキックを得たシリア。ボールをセットしたエースのアルソーマの顔は紅潮して泣いているように見える。熱い祈りを込めたボールは壁を越え、GKマット・ライアンの指先をかすめるように弧を描いた。しかし、僅か数センチの誤差でゴールポストに嫌われ、スタジアムに乾いた音が響いた。万事休す。内戦で荒廃した祖国の人々の思いを乗せた、シリアのW杯への挑戦は潰えた。

 “守り神(talisiman)”の劇的な復活劇で、豪州は苦しい戦いを乗り切って次なる関門へと歩を進めた。次は、大混戦となった北中米カリブ海予選で何とか踏ん張ったホンジュラス。相手に不足はない。

 11月のホーム&アウェイの2試合を前に、シリアとの激戦の翌日「ポスタコグルー監督、ホンジュラスとの大陸間プレーオフ後に退任」との報道が駆け巡った。プレーオフの結果に関わらず既に退任の意思を固めているとの報道だが、その内容自体は驚かない。ここ最近のファンやメディアからの激しい批判に腹を据えかねている様子は、メディア対応の時の態度や受け答えで十分すぎる程に伝わってきていた。

 いずれにしても、運命の大陸間プレーオフまでは既に1ヶ月を切った。監督自身の「(自身の去就に関する)報道のことは把握している。今の私の唯一無二のフォーカスは来月の2試合にしっかり備えること。4回目のW杯出場を決めるためのチームの戦いの過程に、何も妥協するつもりなどない」との強い言葉を借りるまでもなく、監督の去就は一旦置いて、万全な準備のために全力を尽くすべき時だ。

 泣いても笑っても、あと2試合。シリアとのプレーオフで理想よりも勝ちにこだわる現実路線に若干修正することで何とか結果を引き寄せたサッカルーズだが、もはや恰好や内容など、どうでもいい。次も形振り構わぬ戦いで、とにかく勝って、サッカルーズがロシアの舞台に胸を張って上がれる機会を掴みとって欲しい。その決戦の後に誰がサッカルーズを率いるかなんて気にしている段ではないーーアジアの誇りを胸に、サッカルーズが全てを懸ける決戦の日は迫っているのだから。

(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

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