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60年ぶりW杯予選敗退のイタリア。伝統国がなぜ弱体化? 監督だけに帰結できない失態の責任

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W杯欧州予選プレーオフでスウェーデンに敗れ、イタリアは60年ぶりに本大会出場を逃した【写真:Getty Images】

W杯欧州予選プレーオフでスウェーデンに敗れ、イタリアは60年ぶりに本大会出場を逃した【写真:Getty Images】

11月13日、2018年ロシアW杯ヨーロッパ予選プレーオフ第2戦が行われ、イタリアはスウェーデンとの試合に臨んだ。第1戦を0-1で落としていたアッズーリ。勝利が求められる第2戦だったが0-0で引き分け、1958年のスウェーデン大会以来60年ぶりとなるW杯予選敗退となってしまった。W杯優勝4回を誇るイタリア代表はなぜこのような事態に陥ってしまったのだろうか。(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

一枚岩になれていなかったイタリア

 11月13日、2018年ロシアW杯ヨーロッパ予選プレーオフ第2戦が行われ、イタリアはスウェーデンとの試合に臨んだ。第1戦を0-1で落としていたアッズーリ。勝利が求められる第2戦だったが0-0で引き分け、1958年のスウェーデン大会以来60年ぶりとなるW杯予選敗退となってしまった。W杯優勝4回を誇るイタリア代表はなぜこのような事態に陥ってしまったのだろうか。(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

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「おまえらにはイケアしかねえ」と、スウェーデンを揶揄するチャントを地下鉄車内で歌いながら、月曜日にもかかわらず老若男女がスタジアムへ集う。トリノのチームフラッグを背中にまとって来たファンもいて、ミラノ以外の場所からもファンが応援に駆け付けたことを思い起こさせる。イタリアサッカー協会(FIGC)の公式発表によれば、観客数は72696名。サン・シーロの雰囲気は素晴らしいものだった。

「13日のサン・シーロでは、我われのファンは後押ししてくれるはず」

 第1戦でスウェーデンに敗戦を喫したイタリアのジャンピエロ・ヴェントゥーラ代表監督のリクエストにファンは応えた。もっとも彼らは選手紹介の際、その監督の名前がコールされるや大ブーイングを浴びせたのである。

 思い返せば、それが全てを象徴していたのかもしれない。ファンも含めて一丸となって臨むべき決戦で、一枚岩になれていないイタリア。他方厳格なヤンネ・アンデション監督のもとで結束し、11人が集中して守備をするスウェーデンを崩せなかったのは、当然の帰結とも言えた。

 ヴェントゥーラ監督はこの第2戦に臨むにあたって、メンバーを3人入れ替えた。故障上がりでコンディションの上がりきっていなかったアンドレア・ベロッティに替えて、マノロ・ガッビアディーニを投入。

 出場停止のマルコ・ヴェッラッティの位置には、所属クラブでインサイドハーフとしてプレーしていないアレッサンドロ・フロレンツィ。そして中盤のアンカーには、ジョルジーニョを抜擢した。その一方で批判が多かった3-5-2システムはそのまま、ファンの期待も大きかったロレンツォ・インシーニェも引きつづきベンチだ。

抜擢された3人はチームの問題解消に動いたが…

 もっともこの3人自体はそれぞれが良いプレーをして、第1戦で露呈していたチームの問題の解消に動いていた。

 チーロ・インモービレと動きが重なっていたベロッティと違い、ガッビアディーニはセカンドトップ的に左右や中盤に流れて、パスの引き出し役になる。フロレンツィは守備の際に左サイドもカバーしつつ、攻撃に回れば外にも中にも飛び出し、パサーのヴェラッティとは違った形でチャンスの演出を図った。

 そして、思いのほか機能していたのがジョルジーニョだ。所属のナポリとは違い、前線から中盤から前方やサイドに飛び出す代表では選手間に距離がある。従って持ち前のショートパスによるリズミカルなゲームメイクができないのではとも思われたが、それがなかなかどうして。

 複数のプレスを受けながらも軽快なドリブルでかいくぐり、中盤からの縦パスすら皆無だった第1戦と違いスルーパスを前線に通していた。

 結果イタリアは、第1戦と比べて人もボールも良く動くサッカーを展開できていた。そして自陣を固めていたスウェーデンの守備組織を縦横に引っ張り出し、スペースを捻出することにも成功した。

 ただ惜しむらくは、相手組織を崩してエリア内にパスやクロスを送りこんでも、シュートまで持って行く精度が足りなかったことだ。左右からの折り返しにはなかなか合わず、40分にジョルジーニョから縦パスを受けたインモービレが反転してシュートを放つもミートせずにDFがクリア。43分にはフロレンツィ自らが左から切り込んでシュートを放ったが、GKに弾かれた。

選手交代は裏目。スウェーデンの術中に

 良い内容で試合を進めることができていたこの前半にゴールを決められなかったことが、イタリアにとっては痛かった。一方そんな彼らを尻目に、スウェーデンのアンデション監督は着実な采配で守備の修正を測った。

 その際たるものが、54分に切ったカードだ。オラ・トイヴォネンに代わり、イサク・キーセ・テリンを投入。するとテリンは守備時に、ジョルジーニョを牽制しプレスを掛けるポジションを取った。これで厄介だったジョルジーニョのパスワークが阻害され、ふたたびイタリアのパスの展開は時間の経過とともに遅くなっていった。

 イタリアは58分、インモービレが右サイドに開いてボールを折り返し、ジョルジョ・キエッリーニにシュートさせるビッグチャンスを作ったものの、これでもゴールは破れない。するとそこから、アンデションとは対照的にヴェントゥーラが焦った。

 61分にベロッティとステファン・エル・シャーラウィを一度に途中出場させる。追い込まれた状況での2枚替えは仕方のないところだが、問題なのは動いてパスの出しどころにはなっていたガッビアディーニをさっさと取ってしまったことだ。

 これでインモービレとベロッティが重なる第1戦の状態に逆戻り。ジョルジーニョがプレスを掛けられているのでパスのスピードが上がらず、中央ではスウェーデンに守備を固められて、縦パスが前に出ない。そして攻撃はサイドを経由せざるをえず、エル・シャーラウィの突破からシュートという形以外はクロスが中心となる。しかしスウェーデンのCB陣を前に、空中戦ではボールが通らなかった。

強化方針を打ち出せていないイタリアサッカー協会

 ボールを支配し敵陣に押し込んでも、中途半端な精度の攻撃を続けて相手を崩せないイタリア。その一方でスウェーデンは集中した守備を見せ、ゴール前に入ったボールは誰彼問わずフォローに回って弾き返した。インモービレへのスペースは絶対に空けず、最後まで無失点。イタリアは、戦術的な守備でもスウェーデンにお株を奪われた格好で屈した。

 スタンドからは確認できなかったが、試合中にアップを命じられたダニエレ・デ・ロッシが拒否するシーンがテレビ中継で大写しになっていたという。その際の読唇術で「オレを入れてる場合じゃないだろ、勝たなきゃダメだ、引き分けじゃまずいんだから」とスタッフに怒っていたことがあきらかにされていた。

 試合後に彼は「ロレンツォ・インシーニェやエル・シャーラウィあたりを入れるべきなのではと思った」と地元メディアに告白していた。こういったところからイタリアの、とりわけヴェントゥーラ監督の混乱が見てとれた。

 スペイン戦の大敗以来、混乱を立て直せないままプレーオフに突入し、そして敗退。「史上最弱のアズーリ」呼ばわりされたアントニオ・コンテ前監督時代とは違って、若手を中心に多少充実した戦力を手にしていたにもかかわらず、結果的にチームを弱体化させてしまったヴェントゥーラ監督の責任は小さいとは言えない。だがそもそも、そんな彼をバックアップする体制も果たして整っていたのかどうか。

 2014年のブラジルW杯グループリーグ敗退をきっかけに、ポゼッションサッカーへの転換という育成路線を放棄してからそれに代わる強化方針を、FIGCは打ち出せていない。アズーリの不振は、決してプロビンチャばかりで国際経験の少ない指揮官ひとりをすげ替えれば済む、という問題ではあるまい。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

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