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動くモフモフ、陸自の「偽装」技術 ペイントだけではない、戦場での身の隠しかた

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「ステルス」というのは、なにも最新の技術を駆使したものばかりではありません。これまでも、人々は戦場で身を隠すことに知恵を働かせてきました。周囲の風景に溶け込むよう「偽装」することも、そうした技術のひとつです。

動くモフモフ、その正体は…?

「なんだあれは」――筆者の目前で、ススキの生えた大きな茂みが動いていました。

Large 180510 mofu 01もはや動く茂みと化した、偽装された1/2tトラック(通称「パジェロ」)。対戦車誘導弾を装備しているのがかろうじて見える(矢作真弓撮影)。

 ここは千葉県にある習志野演習場。毎年1月中旬に行われる陸上自衛隊第1空挺団の降下訓練始めでのできごとでした。訓練開始と共に現れたススキのかたまり。なんと1/2tトラック全周に偽装として、ススキを巻いていたのです。

 この「偽装」とは、陸上自衛隊で一般的に行われる行為で、敵の監視の目から自分たちの姿を隠すことを目的に行われています。クルマに対してはもちろんのこと、人や武器などにも偽装を施します。周囲に溶け込むということは、その場の植生などに合わせた偽装材料を手に入れる必要があります。もしそこが牧場なら牧草を、お花畑なら、咲いている花を使う必要があるでしょう。

Large 180510 mofu 02「対戦車用パジェロ」こと対戦車仕様1/2tトラック(矢作真弓撮影)。

 こうした偽装材料は、1か所から多く収集してしまうと、その部分だけ不自然な状態になってしまいます。すると、あとから来た敵に「ここに部隊がいた」という情報を与えることになります。そういったことを避けるために、偽装材料を集める際には、極力広い範囲から少しずつ持ってくる必要があるのです。

準備に4時間、本番は30分

 実際の訓練では、クルマ全体を覆うような偽装は滅多にしないのですが、駐屯地一般開放日には、見た目のインパクトを狙ってか、冒頭のような偽装過多なクルマを見ることができます。一部のファンからは「モフモフ」などと呼ばれており、製作にはとんでもない時間が掛かっています。

Large 180510 mofu 031/4tトレーラを牽引する1/2tトラック。よく見ると車体の左上部に偽装された隊員の頭が見える(矢作真弓撮影)。Large 180510 mofu 04こちらも偽装した1/2tトラック(矢作真弓撮影)。Large 180510 mofu 05段差で大きく跳ねる偽装された1/2tトラック(手前)と偽装していない同車両(奥)(矢作真弓撮影)。

 某駐屯地祭で取材したときに、この偽装の製作時間について聞いてみたところ、1両あたり4時間ほど掛かっているそうです。さすがに、これだけの草を集めるのは大仕事で、集めた草をクルマに巻きつけるのは更に大変なのだそうです。慣れればもっと早く作れるといいますが、それでも3時間以上はかかるとのことでした。それほど頑張って作っても、一般開放日の訓練展示は長くて30分ほどです。訓練展示終了後は、演習場の奥でひっそりとススキを取る作業が行われます。

 では実際のところはどうなのでしょうか。偽装は、手をかければかけるほど効果が高まるように思えるかもしれませんが、前述の「モフモフ」のようにあまりに大量の草などで覆ってしまうと、少しでも動いたら簡単にバレてしまいます。効果的という意味で現実的なラインとしては、クルマの輪郭を隠し、色の反射も抑えることができれば、敵に見つかる可能性は少なくなります。ただし、エンジンや排気の温度だけはごまかせないので、隠れている最中はエンジンを切っておく必要があります。専守防衛に専念する自衛隊の作戦行動からすると、動かず待ち伏せするのは得意です。

 それでも敵に見つかったとわかったらすぐに移動して、攻撃を避ける必要があります。そうしたときにも、あの巨大なモフモフが動いては、どこに行こうにも、どこに隠れようにもすぐに見つかってしまいます。そのため、あれだけのモフモフはイベント時のパフォーマンスと見ておいて間違いではないでしょう。

戦車も偽装

 自衛隊のクルマたちはほぼ全て偽装します。その方法は草を付けることですが、ただやみくもに草木を付ければ良いものではありません。周囲に溶け込ませる、輪郭を不鮮明にするなど、ちょっとしたコツや要領がわかっていないと、効果が薄くなるのも事実です。

 草木をクルマに取り付けるためにゴムバンドをクルマに巻いたり、フックを通す穴に草を差し込んでみたり、偽装網に絡ませたり色々な方法で隊員たちはクルマを偽装しています。

Large 180510 mofu 06偽装する偵察オートと偵察隊員。バイクにも偽装の布が貼り付けられている(矢作真弓撮影)。

 対空ミサイルや戦車も例外ではありません。戦車などの大型車両の場合、全周をススキなどで覆っては、運転手が前を見ることができず、非常に危険な状態になるばかりではなく、車体の各所に設置されたセンサー類も正常に作動しなくなる恐れがあります。可動部に草が絡まってスムーズに動かなくなる場合もあれば、走行中の振動で少しずつ草が落ちて、自分の行き先が丸分かりなんてことにもなりかねません。なので、実戦を想定した訓練の場合は、必要最小限の偽装にとどめられます。

Large 180510 mofu 07周囲と同じススキを付ける10式戦車(矢作真弓撮影)。Large 180510 mofu 08ススキを取り付ける軽装甲機動車。上部ハッチには01式軽対戦車誘導弾をもつ隊員(矢作真弓撮影)。Large 180510 mofu 09偽装された81式短距離地対空誘導弾(矢作真弓撮影)。

 それでも一度だけ、砲身以外を全て草で覆った74式戦車を見たことがあるのですが、仲間に指摘されるまでその戦車の存在に気が付くことはありませんでした。自衛隊の偽装技術は非常に高いと感じた瞬間でもありました。

人も偽装

 隊員も偽装します。なかでも、最も偽装に凝っているのがスナイパー(狙撃手)たちです。スナイパーは遠い距離から目標を狙い撃ちするために、どこかに身を潜めています。そんなとき、しっかりと偽装していないと、自分たちの姿が見えてしまい、攻撃されてしまうかもしれません。

Large 180510 mofu 10UH-1Jに乗って来た、体中に偽装網をまとうスナイパーたち(矢作真弓撮影)。Large 180510 mofu 11ギリースーツを着て偽装するスナイパー(矢作真弓撮影)。Large 180510 mofu 12遮蔽物として使われた偽装リヤカー(矢作真弓撮影)。

 そんなスナイパーにまつわるエピソードをひとつ紹介します。目標を狙い撃ちするため、敵陣地に潜入したスナイパー。服装(ギリースーツなど)は周囲と完全に同化しているため、昼間でもその存在がわかりません。スナイパーたちは夜の闇に紛れて少しずつ敵陣地へ向けて進みます。目標が射程圏内に入ったあとは、ずっと身を潜めて射撃するタイミングを計るのですが、ここで敵の警戒部隊が見回りに来ました。あと数歩で踏みつけられる距離まで近づいた敵ですが、スナイパーの存在には気が付けず、そのまま離れていったそうです。その後、このスナイパーは任務を終え無事に帰隊しています。

 あくまでも訓練での話しですが、それだけ優れた偽装技術を持っているという証明になりますね。

【写真】番外編、冬季迷彩のCH-47J輸送ヘリ

Large 180510 mofu 13CH-47Jに施された冬用の冬季迷彩。これも立派な偽装(矢作真弓撮影)。

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